apocalypsis

さくら

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alea jacta est

decem

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「足りないんやったら、まだあるで?」
 菓子と飲み物を取りにサイラスが立ち上がる。
「うん」
 更に菓子を食べられる喜びからか、天弥は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「そんで先生」
「なんだ?」
 菓子とペットボトルを手にしたサイラスが戻ってくる。
「この後、胡桃沢斉彬のところへ行くんか?」
「その予定だ」
 サイラスが少し考え込むような表情をした。天弥は変わらず菓子を口に運んでいる。
「それやったら、俺も連れて行ってくれへん?」
「どういうことだ?」
「どういうもこういうも、一緒に連れて行って欲しいんや」
 もしかすると、なにかの罠なのかと、今度は斎が考え込む。天弥は、ペットボトルの蓋が開けられずに苦戦していた。それに気がついた斎は、天弥の手からペットボトルを取り開ける。
「ありがとうございます」
 蓋の開いたペットボトルを受け取ると口を付け、美味しそうに飲み始めた。
「なにか理由があるのか?」
「そやな。ハズミの手がかりでもあれば儲けもんやな」
 羽角恭一郎のことを育ての親と言っていた。聞いた情報で判断するに、今は連絡が取れないのだろう。なにか情報を求めるのは当たり前なのだ。
「問題が一つあるのだが?」
「なんや?」
「俺の車は二人乗りだ」
 天弥が再び菓子を口にしだした。
「そういえば、そうやったな」
 サイラスが考える。すぐに、良いことを思いついたと言わんばかりに天弥を指差した。
「天弥に連れて行って貰えばええやん!」
 不思議そうに小首を傾げながら、天弥は自分を指差した。
「僕?」
「そや!」
 天弥は、更に小首を傾げサイラスを見た。
「天弥に連れて行って貰えばええやん」
「ちょっと待て!」
 斎が驚きサイラスを止める。
「なんや?」
「まだ、空間移動なのか座標移動なのかも分からないものは使えない」
 サイラスも天弥と同じく小首を傾げた。
「空間移動やろ? 俺、南極まで連れて行ってもろたし、帰って来られたし大丈夫やろ?」
「そうなのか……」
 天弥の答えではよく分からなかったことが理解できたのは収穫だった。やはり南極へはその方法で行ったのかと納得をする。
「先生の車は置いておいても大丈夫やで。せやから、三人で胡桃沢斉彬のところへ行こうや」
「……分かった」
 しぶしぶというような感じで斎が了承をする。確かにサイラスが居れば有利なこともあるかもしれないのだ。
「よし! さっさと行こうや!」
 天弥がサイラスを見る。
「大学で良いの?」
「いや、今日は自宅に居るそうだ」
 天井を見上げ、天弥が考え込む。
「場所、分からないから行けない」
「あー南極みたいに分かっとるところとちゃうしな……」
 斎がメモを取り出し何かを書き始めた。
「ここだ」
 メモには住所が書かれており、天弥とサイラス二人揃って見つめる。
「住所じゃ分からない……」
 斎が困った表情をする。
「とりあえず、近くの天弥が分かるところへ行けばええんとちゃう?」
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