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alea jacta est
sex
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「天弥は、過去を見て知ることが出来るんです。後、現在も……」
予想にも出来なかったことを語られた。
「未来は……?」
首を横に振り天弥が答える。
「そうか……」
残念なような安心したような不思議な感覚を覚えた。
「でも、過去も現在も分かるから、かなり確率の高い未来を予測出来るみたいです」
「確率が高い……」
それは、希望的な数字なのだろうが、画策をすれば更に確率を上げられるのだろう。
「後は空間を使える?」
使用していても、どういう原理なのか分からないため、説明の仕方が分からなかった。
「それは?」
「えっと……色んな所に行ける?」
小首を傾げながら答えた。
「空間移動? 座標移動?」
斎の問に答えられず、天弥は俯いた。
「自分と触れているものが移動できるのか、触れていない物だけを移動できるのか……」
天弥が顔をあげた。
「僕が移動できます」
「そうか」
再び、斎が考え込む。
「距離は関係ないのか?」
「たぶん、本当の天弥はそうだと思う……」
能力の差がどこで決められているのかが分からないが、神を召喚できというだけでも、どの神の信者も喉から手が出るほど欲しい存在だ。
「ごめんなさい……僕、よく分からなくて……」
「いや……」
よく分かっている方がありえない。
「確かに、それらの能力があると色々と便利だな。どこで神が呼ばれるのかも分かるだろうし……」
天弥はジッと斎の顔を見つめる。
「どうした?」
天弥の視線に気がついた斎が尋ねた。
「あの……たぶん……コモちゃんが知っているはず……」
「こもちゃん……?」
小首を傾げ、斎が考え込む。記憶にある言葉だと思考が言葉を漁り始める。あまり昔では無いと判断をする。
「えっと……先生の先生」
「胡桃沢教授……?」
天弥が頷いた。
「神様が呼ばれるって教えてくれたから、どこかは知っていると思う……」
「教えてくれたって、会ったのか?」
天弥が言葉に詰まる。元凶であることを教えても良いのか悩んでいた。
「まぁ、それはどうでも良い。胡桃沢教授に聞けば分かる可能性があるんだな?」
「たぶん……」
胡桃沢が場所を知っているのかハッキリとは分からなかったが、おそらく間違いないだろうと思った。そして、なぜ天弥にそれを教えたのかも分からずにいたが、手がかりはそれしかなかった。
「明日、教授に会いに行くぞ」
「あ、はい」
返事をした天弥の頭を撫でる。
「今日は疲れただろう? ゆっくり休め」
斎は立ち上がると椅子に腰掛ける天弥の隣に移動した。ただでさえ身長差があるのに、更に差が出来て天弥は首が痛くなるぐらいの角度で斎を見上げる。
「俺は少し情報を整理するから、先に休んでてくれ」
言い終わると天弥の額に軽く唇を落とす。一瞬、驚きの表情を浮かべた後、天弥は嬉しそうに微笑んだ。
「はい」
予想にも出来なかったことを語られた。
「未来は……?」
首を横に振り天弥が答える。
「そうか……」
残念なような安心したような不思議な感覚を覚えた。
「でも、過去も現在も分かるから、かなり確率の高い未来を予測出来るみたいです」
「確率が高い……」
それは、希望的な数字なのだろうが、画策をすれば更に確率を上げられるのだろう。
「後は空間を使える?」
使用していても、どういう原理なのか分からないため、説明の仕方が分からなかった。
「それは?」
「えっと……色んな所に行ける?」
小首を傾げながら答えた。
「空間移動? 座標移動?」
斎の問に答えられず、天弥は俯いた。
「自分と触れているものが移動できるのか、触れていない物だけを移動できるのか……」
天弥が顔をあげた。
「僕が移動できます」
「そうか」
再び、斎が考え込む。
「距離は関係ないのか?」
「たぶん、本当の天弥はそうだと思う……」
能力の差がどこで決められているのかが分からないが、神を召喚できというだけでも、どの神の信者も喉から手が出るほど欲しい存在だ。
「ごめんなさい……僕、よく分からなくて……」
「いや……」
よく分かっている方がありえない。
「確かに、それらの能力があると色々と便利だな。どこで神が呼ばれるのかも分かるだろうし……」
天弥はジッと斎の顔を見つめる。
「どうした?」
天弥の視線に気がついた斎が尋ねた。
「あの……たぶん……コモちゃんが知っているはず……」
「こもちゃん……?」
小首を傾げ、斎が考え込む。記憶にある言葉だと思考が言葉を漁り始める。あまり昔では無いと判断をする。
「えっと……先生の先生」
「胡桃沢教授……?」
天弥が頷いた。
「神様が呼ばれるって教えてくれたから、どこかは知っていると思う……」
「教えてくれたって、会ったのか?」
天弥が言葉に詰まる。元凶であることを教えても良いのか悩んでいた。
「まぁ、それはどうでも良い。胡桃沢教授に聞けば分かる可能性があるんだな?」
「たぶん……」
胡桃沢が場所を知っているのかハッキリとは分からなかったが、おそらく間違いないだろうと思った。そして、なぜ天弥にそれを教えたのかも分からずにいたが、手がかりはそれしかなかった。
「明日、教授に会いに行くぞ」
「あ、はい」
返事をした天弥の頭を撫でる。
「今日は疲れただろう? ゆっくり休め」
斎は立ち上がると椅子に腰掛ける天弥の隣に移動した。ただでさえ身長差があるのに、更に差が出来て天弥は首が痛くなるぐらいの角度で斎を見上げる。
「俺は少し情報を整理するから、先に休んでてくれ」
言い終わると天弥の額に軽く唇を落とす。一瞬、驚きの表情を浮かべた後、天弥は嬉しそうに微笑んだ。
「はい」
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