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errare humanum est
undeviginti
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斎に促され、天弥は荷物を手に取りドアへ向かう。その様子を見ながら、闇の神の言葉を伝えるべきかどうか斎が悩む。楽しませてくれ……それは、人の世に混乱と災いを起こせということだ。それは、契約者と思われる天弥の祖父も同じものを望んでいるのか、それとも、望みを叶えるための副産物になるのか分からなかった。
「先生?」
考え込む様子の斎に不安を覚え、声を書ける。
「あぁ、すまない。今、行く」
斎もドアに向かい、天弥と共に廊下へ出た。
病室に着くと、ベッドに腰掛けるサイラスに向かって天弥は深々と頭を下げた。
「ごめんなさい……。危ない目に合わせて……」
目の前の天弥の様子に、どちらなのかをサイラスは理解する。
「えぇって。ほら、別になんとも無いやろ?」
天弥は頭を上げる。大丈夫と言っているが、全身、あちこちに火傷があり、長かった髪が短くなっている。居たたまれず、思わず視線を反らすように目を伏せた。
「僕、守るって言ったのに……」
「無事に帰って来られたんやから、問題あらへん」
いつ、天弥が入れ替わったのかと考えてみるが、分からなかった。本来の成瀬天弥は、もう戻らないだろうと言っていたはずだ。それがどうやって戻ったのかは謎である。しかし、この天弥ならまだ願いを叶えてくれる可能性が高い。問題は、望みを叶える力があるかどうかになる。そろって、なにも出来ない状態だというのなら、この天弥になっても意味がない。
「あのそれで……僕たち、どうやって戻ってきたの?」
途中から意識が無かったため、疑問を投げかける。
「行くときと一緒やないんか? 俺はよう分からんし……」
「そうなんだ……」
先ほどまでの記憶が無いため、本来の天弥が助けてくれたのだと思ったが、分からなくなる。もしかすると、斎がいるからそのことについてなにも言わないのかと思い付き、後日、一人で来ようと考えた。
「何をしに南極へ行っていた?」
二人の会話に割り込むように斎から質問が飛んでくる。
「もしかして……バレとる?」
「あぁ」
サイラスがため息を吐く。
「さよか……」
本来の天弥が言ったのかもしれないが、どう答えてよいのかサイラスは悩む。
「えっと……散歩?」
小首を傾げながら天弥が答えた。さすがにそれは無いだろうと、サイラスはこころの中で突っ込む。
「どうやって南極まで散歩に行ったんだ?」
「あ、歩いて?」
表情と声音が語るまでも無く、嘘だというのは誰でも分かることだった。斎がため息を吐いてみせた。
「俺は、そんなに信用されていないのか?」
天弥は、思いっきり首を横に振る。
「それはちゃうで。天弥は、先生を巻き込みたくないって言ったんや」
斎とサイラスの視線が絡まる。
「俺はむしろ、巻き込んで欲しいんだが?」
「まー俺も、先生の方が役に立つって言ったんやけどな……」
サイラスは、がっくりと肩を落とした。
「天弥は嫌やって言うし、こっちも事情があってな……」
サイラスが言うことは、手に取るように理解できた。だが、何も言わずに消えたこと、サイラスの方を頼ったことには怒っていた。
「先生?」
考え込む様子の斎に不安を覚え、声を書ける。
「あぁ、すまない。今、行く」
斎もドアに向かい、天弥と共に廊下へ出た。
病室に着くと、ベッドに腰掛けるサイラスに向かって天弥は深々と頭を下げた。
「ごめんなさい……。危ない目に合わせて……」
目の前の天弥の様子に、どちらなのかをサイラスは理解する。
「えぇって。ほら、別になんとも無いやろ?」
天弥は頭を上げる。大丈夫と言っているが、全身、あちこちに火傷があり、長かった髪が短くなっている。居たたまれず、思わず視線を反らすように目を伏せた。
「僕、守るって言ったのに……」
「無事に帰って来られたんやから、問題あらへん」
いつ、天弥が入れ替わったのかと考えてみるが、分からなかった。本来の成瀬天弥は、もう戻らないだろうと言っていたはずだ。それがどうやって戻ったのかは謎である。しかし、この天弥ならまだ願いを叶えてくれる可能性が高い。問題は、望みを叶える力があるかどうかになる。そろって、なにも出来ない状態だというのなら、この天弥になっても意味がない。
「あのそれで……僕たち、どうやって戻ってきたの?」
途中から意識が無かったため、疑問を投げかける。
「行くときと一緒やないんか? 俺はよう分からんし……」
「そうなんだ……」
先ほどまでの記憶が無いため、本来の天弥が助けてくれたのだと思ったが、分からなくなる。もしかすると、斎がいるからそのことについてなにも言わないのかと思い付き、後日、一人で来ようと考えた。
「何をしに南極へ行っていた?」
二人の会話に割り込むように斎から質問が飛んでくる。
「もしかして……バレとる?」
「あぁ」
サイラスがため息を吐く。
「さよか……」
本来の天弥が言ったのかもしれないが、どう答えてよいのかサイラスは悩む。
「えっと……散歩?」
小首を傾げながら天弥が答えた。さすがにそれは無いだろうと、サイラスはこころの中で突っ込む。
「どうやって南極まで散歩に行ったんだ?」
「あ、歩いて?」
表情と声音が語るまでも無く、嘘だというのは誰でも分かることだった。斎がため息を吐いてみせた。
「俺は、そんなに信用されていないのか?」
天弥は、思いっきり首を横に振る。
「それはちゃうで。天弥は、先生を巻き込みたくないって言ったんや」
斎とサイラスの視線が絡まる。
「俺はむしろ、巻き込んで欲しいんだが?」
「まー俺も、先生の方が役に立つって言ったんやけどな……」
サイラスは、がっくりと肩を落とした。
「天弥は嫌やって言うし、こっちも事情があってな……」
サイラスが言うことは、手に取るように理解できた。だが、何も言わずに消えたこと、サイラスの方を頼ったことには怒っていた。
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