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date et dabitur vobis
duodecim
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自分を見上げている天弥の顔を見つめ、考え込む。学校には、天弥が家出をしたと報告されていない。未だ病欠扱いとなっているため、このままここに天弥が居るのも不味いと考える。
「早退の手続きをしてくるから、ここで待っていろ」
あまり気は進まなかったが、天弥を自宅まで送り届ける事にした。たとえ母親の態度が腑に落ちないとしても、天弥は未成年であり、家出した事になっているのなら、自宅へ帰さない訳にはいかない。
「家まで送る」
その言葉に天弥は、斎の身体に回した腕を名残惜しそうに下ろした。天弥を抱きしめる斎の腕から、そのぬくもりと感触が消えた。自分に背を向けソファーへと向かう天弥の姿と、腕の中の喪失感に心は不安で掻き立てられる。慌てて腕を伸ばし、天弥の身体を抱き寄せた。
「先生?」
突然、後ろから抱きしめられ、斎の腕を掴むと少し驚いたような声を上げる。斎は強く天弥を抱きしめると、そのこめかみに唇を落とした。その行動に、天弥の胸が高鳴る。
「天弥、家に帰すのが遅くなってもいいか?」
この手を離したら、この場から立ち去ったら、再び天弥は自分の前から消えてしまうのではないかと心乱れる。
天弥は迷い無く頷く。それを確認すると、少しだけ斎の中の不安が和らいだ。懸念があるとはいえ、このままでいる訳にもいかず、意を決して天弥の身体から腕を放した。天弥の手も、斎の腕から離れる。
「すぐに戻る」
そう言い残し、斎はドアへと向かい部屋を後にした。
一軒の家の前で車を停めると、斎は時間を確認した。時計の針は、二十一時を過ぎている事を示している。続けて助手席に視線をやり、眠りについている天弥の姿を確認する。
「天弥」
手を伸ばし、天弥の頬に触れると優しく呼びかけた。眠りが浅かったのか、天弥は呼び声に反応するかのように、ゆっくりと目を開けた。
「着いたぞ」
眠そうに目を擦りながら斎を確認した後、天弥は車外へと視線を向けた。寝ぼけた天弥の思考が、自宅に到着したのだと判断できるまで三十秒ほど要した。
「眠いか?」
今にも眠りに落ちそうな天弥の頬に触れ、空いた手は天弥の頭へと移動する。その柔らかい髪の間に指を滑り込ませ、斎は優しく頭を撫でた。
「起きろ」
再び目を覚ました天弥は、斎の顔をじっと見つめた後、眠そうな顔で頷いた。それを確認した斎は、天弥の頭から手を離し、ドアの鍵を開けシートベルトを外した。続けて、天弥のシートベルトも外す。そのままドアを開けて車外へと出た斎に続き、天弥もドアに手をかけた。
斎は車から降りてきた天弥を見つめる。半分ぐらい眠っているような表情と、身体を動かすのが辛そうなその様子に、天弥へ手を差し出した。
「大丈夫か?」
天弥は少しの間、自分に向かって手を差し出している斎を見つめた。
「たくさん怒られると思うけど、大丈夫です」
寝ぼけた意識で、質問に答える。
「それもあるが……」
「早退の手続きをしてくるから、ここで待っていろ」
あまり気は進まなかったが、天弥を自宅まで送り届ける事にした。たとえ母親の態度が腑に落ちないとしても、天弥は未成年であり、家出した事になっているのなら、自宅へ帰さない訳にはいかない。
「家まで送る」
その言葉に天弥は、斎の身体に回した腕を名残惜しそうに下ろした。天弥を抱きしめる斎の腕から、そのぬくもりと感触が消えた。自分に背を向けソファーへと向かう天弥の姿と、腕の中の喪失感に心は不安で掻き立てられる。慌てて腕を伸ばし、天弥の身体を抱き寄せた。
「先生?」
突然、後ろから抱きしめられ、斎の腕を掴むと少し驚いたような声を上げる。斎は強く天弥を抱きしめると、そのこめかみに唇を落とした。その行動に、天弥の胸が高鳴る。
「天弥、家に帰すのが遅くなってもいいか?」
この手を離したら、この場から立ち去ったら、再び天弥は自分の前から消えてしまうのではないかと心乱れる。
天弥は迷い無く頷く。それを確認すると、少しだけ斎の中の不安が和らいだ。懸念があるとはいえ、このままでいる訳にもいかず、意を決して天弥の身体から腕を放した。天弥の手も、斎の腕から離れる。
「すぐに戻る」
そう言い残し、斎はドアへと向かい部屋を後にした。
一軒の家の前で車を停めると、斎は時間を確認した。時計の針は、二十一時を過ぎている事を示している。続けて助手席に視線をやり、眠りについている天弥の姿を確認する。
「天弥」
手を伸ばし、天弥の頬に触れると優しく呼びかけた。眠りが浅かったのか、天弥は呼び声に反応するかのように、ゆっくりと目を開けた。
「着いたぞ」
眠そうに目を擦りながら斎を確認した後、天弥は車外へと視線を向けた。寝ぼけた天弥の思考が、自宅に到着したのだと判断できるまで三十秒ほど要した。
「眠いか?」
今にも眠りに落ちそうな天弥の頬に触れ、空いた手は天弥の頭へと移動する。その柔らかい髪の間に指を滑り込ませ、斎は優しく頭を撫でた。
「起きろ」
再び目を覚ました天弥は、斎の顔をじっと見つめた後、眠そうな顔で頷いた。それを確認した斎は、天弥の頭から手を離し、ドアの鍵を開けシートベルトを外した。続けて、天弥のシートベルトも外す。そのままドアを開けて車外へと出た斎に続き、天弥もドアに手をかけた。
斎は車から降りてきた天弥を見つめる。半分ぐらい眠っているような表情と、身体を動かすのが辛そうなその様子に、天弥へ手を差し出した。
「大丈夫か?」
天弥は少しの間、自分に向かって手を差し出している斎を見つめた。
「たくさん怒られると思うけど、大丈夫です」
寝ぼけた意識で、質問に答える。
「それもあるが……」
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