apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

viginti octo

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 斎は少し考え込む。
「……分かった」
 生徒に勉強を教えて欲しいと言われ、それを断るわけにもいかず、渋々それを了承する。
「せんせー、おおきに」
 礼を告げると、サイラスは食事を続けた。やはり邪魔をしているとしか思えないと、斎は手に持つ箸を握り締めた。
 ここ一週間ほど、サイラスの事も含めて色々な事がありすぎだ。肝心の胡桃沢とは連絡が取れないため、自分自身の考えや判断ではそろそろ限界に近い。
 斎は、天弥とサイラスを見る。仲良く話す二人を見て、一つの感情が沸き起こる。天弥を自分だけのものしたい。どこかへ閉じ込めて、自分の事しか考えられないようにしてしまいたい。今の天弥ならまだ我慢もできるが、あの総てを魅了する天弥は、誰の目にも触れさせたくはない。
「ごちそうさまでした」
 天弥の声で斎は意識を戻す。
「じゃあ、始めるか」
 斎は、まだ少し残っている弁当を片付け始めた。天弥は、いつもと違う斎の様子を見つめる。そして、サイラスを連れてきたのは、やはり良くなかったのだろうかと考える。
 まだ日本に慣れていないというし、一人で弁当を食べるのは寂しいかと思い、一緒に来たいというのを断らなかった。斎と一緒に居られれば、それだけで良いと思っていたのだ。
 斎が顔を上げ、お互いの視線が絡み合う。天弥は居たたまれなくなり、思わず視線を下ろす。
 自分から視線を逸らした天弥に、斎は思わず声を出しそうになる。もう、サイラスには知られているのだし、この際その存在は無視してもかまわないかと一瞬考えたが、天弥はその事を知らないため何とか思いとどまった。
 なぜ、天弥の事となると、ここまで余裕がなくなるのかと斎は考え込む。
「Hey!」
 突然の呼びかけに、斎は視線をそちらへ向けた。
「Do you know that your lover is in danger?」
 思いもかけない言葉に、斎は一瞬戸惑う。
「What kind of meaning is it?」
 英語で話しかけてきたということは、天弥には聞かれたくないことなのだろうと、同じく英語で聞き返す。
「Your lover is aimed at」
「Is he aimed at?  Why is it?」
 サイラスが少し考え込む。
「Sorry, It can't teach」
 謝罪を口にするとサイラスは立ち上がる。斎と天弥の視線が、その様子を追う。
「If that's the case,who is it?」
 斎の問いに、サイラスはまた少し考え込む。その様子に、これも答えられないということなのかと少し諦めを覚えた。
「……Deep One」
 予想に反して得た答えに、斎は思わず立ち上がった。
「You've got to be kidding……」
 あまりにも馬鹿げた事だが、今現在、自分を取り巻く状況を考えると、それは冗談ではないのかもしれないと思えてしまう。
「If you think so, I don't care even so」
 サイラスは、隣に座る天弥を見下ろした。
「悪いんやけど、俺、先に戻るわ」
 サイラスはドアへと向かって歩き出す。天弥はその様子を目で追った。
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