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quaecunque sunt vera
viginti septem
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分かっている。二人を見ながら斎は、そう何度も心の中で繰り返した。これは、天弥の性格なのだ。素直で、自分に好意を向ける相手を疑わないで受け入れる。そして、与えられた好意を相手にも同じように返す。そのおかげで、勘違いをした生徒同士での争いが起きたことも、一度や二度ではない。
おそらく、サイラスにも好意を向けられ、友人として認識してしまったのだと思われる。
だからといって、なぜここに連れてくるのか、今すぐにでも天弥に問いただしたくて仕方がない。
「先生の弁当も、手が込んどるんやな」
斎の弁当を覗き込み、サイラスが感心したように言葉を続ける。
「それ、先生が作ったんか?」
「いや」
視線を向けるサイラスを見もせずに、斎は答えた。
「ほな、先生のもお母はんが作ったんか?」
「ああ」
斎の言葉に、サイラスは手元にある弁当を見つめた。
「お母はんって、凄いんやな」
しみじみと響くその言葉に、サイラスの資料を思い起こす。それを読んだ限りでは両親共に健在で、普通の家庭という印象を受けたのだが、今の状態からは別の印象を受ける。
確かにアメリカの子供達の弁当といえば、ピーナッツバターを塗っただけのサンドイッチ、ポテトチップス、ジュースというのが定番だ。日本の弁当を見たら驚くとは思う。だが、サイラスのそれは弁当への驚きではなく、母親というもの自体への想いが感じられる。
「これ、美味いな」
サイラスの言葉に、天弥は嬉しそうに微笑む。
「これも美味しいよ」
「そうやろ? 俺が作ったんやで」
斎は、二人の会話を聞きながら、黙々と食事を続けた。そしてサイラスは、なぜ天弥に近づくのかを考える。実際、天弥に近づいたとしても、何か得があるわけではない。天弥が好きだというのなら話は別だが、昨日の今日でそれは考えられない。
考え込みながらサイラスを見た。一番、可能性が高いのは天弥が所有する本だ。サイラスに関して起きている出来事も、天弥の本もラブクラフトの創作世界という繋がりがある。サイラスの目的は、あの本だと考えると天弥に近づく理由も頷ける。
「食ったら、勉強を始めるからな」
出来ればこの二人を引き離したい、そう思いながら斎は天弥に声をかける。
「あ、はい」
サイラスから視線を斎へと移し、天弥が答えた。
「勉強?」
サイラスが食事の手を止めた。
「うん、僕、先生に勉強を教えてもらってるから」
サイラスが斎を見た。
「俺も勉強してええか?」
斎の箸が止まる。
「Don't give me any more trouble……」
斎は思わず今の感情を口にする。英語にするだけの余裕があったことに、少し安堵を覚えた。
「せんせー、俺、日本語わかるって言ったやろ」
面白そうに日本語を返す。斎はサイラスを見た。
「俺に教わる必要はないだろう?」
実際、資料を見た限りでは、かなり優秀な生徒なのだ。なのになぜ、そんな事をいいだすのか。思わず、嫌がらせでもされているのではないかと思えてしまう。
「えー? ダメなんか? 俺、天弥と一緒に勉強したいんやけど」
おそらく、サイラスにも好意を向けられ、友人として認識してしまったのだと思われる。
だからといって、なぜここに連れてくるのか、今すぐにでも天弥に問いただしたくて仕方がない。
「先生の弁当も、手が込んどるんやな」
斎の弁当を覗き込み、サイラスが感心したように言葉を続ける。
「それ、先生が作ったんか?」
「いや」
視線を向けるサイラスを見もせずに、斎は答えた。
「ほな、先生のもお母はんが作ったんか?」
「ああ」
斎の言葉に、サイラスは手元にある弁当を見つめた。
「お母はんって、凄いんやな」
しみじみと響くその言葉に、サイラスの資料を思い起こす。それを読んだ限りでは両親共に健在で、普通の家庭という印象を受けたのだが、今の状態からは別の印象を受ける。
確かにアメリカの子供達の弁当といえば、ピーナッツバターを塗っただけのサンドイッチ、ポテトチップス、ジュースというのが定番だ。日本の弁当を見たら驚くとは思う。だが、サイラスのそれは弁当への驚きではなく、母親というもの自体への想いが感じられる。
「これ、美味いな」
サイラスの言葉に、天弥は嬉しそうに微笑む。
「これも美味しいよ」
「そうやろ? 俺が作ったんやで」
斎は、二人の会話を聞きながら、黙々と食事を続けた。そしてサイラスは、なぜ天弥に近づくのかを考える。実際、天弥に近づいたとしても、何か得があるわけではない。天弥が好きだというのなら話は別だが、昨日の今日でそれは考えられない。
考え込みながらサイラスを見た。一番、可能性が高いのは天弥が所有する本だ。サイラスに関して起きている出来事も、天弥の本もラブクラフトの創作世界という繋がりがある。サイラスの目的は、あの本だと考えると天弥に近づく理由も頷ける。
「食ったら、勉強を始めるからな」
出来ればこの二人を引き離したい、そう思いながら斎は天弥に声をかける。
「あ、はい」
サイラスから視線を斎へと移し、天弥が答えた。
「勉強?」
サイラスが食事の手を止めた。
「うん、僕、先生に勉強を教えてもらってるから」
サイラスが斎を見た。
「俺も勉強してええか?」
斎の箸が止まる。
「Don't give me any more trouble……」
斎は思わず今の感情を口にする。英語にするだけの余裕があったことに、少し安堵を覚えた。
「せんせー、俺、日本語わかるって言ったやろ」
面白そうに日本語を返す。斎はサイラスを見た。
「俺に教わる必要はないだろう?」
実際、資料を見た限りでは、かなり優秀な生徒なのだ。なのになぜ、そんな事をいいだすのか。思わず、嫌がらせでもされているのではないかと思えてしまう。
「えー? ダメなんか? 俺、天弥と一緒に勉強したいんやけど」
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