apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

viginti sex

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 当時、セイラム村には判事がいなかったため、セイラム市より判事が招かれた。現在、このセイラム市は魔女の町として有名であり、それが重要な観光資源になっている。そして、アーカムは、このセイラムをモデルとして作られた架空の都市なのだ。
 サイラスが、アーカムから来たと言ったのは、この事と関係があるのだろうか。
 授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り、斎は我に返る。まともに授業が出来ていたのかどうか、自分でも分からない。
「今日は、ここまで」
 改めて天弥を見る。いつもと変わらぬ微笑がすぐに返ってきた。教室内の生徒達から多少の視線を感じ、教科書や資料をまとめ、教室から出て行く。
 明日も、明後日もこの後も授業のある日は続く。教壇に立つ度に、このような状態になる訳にはいかない。理解はしているが、感情が付いてはいかなかった。
 とにかく昼休みに天弥と話すしかない、そう思い足を速めた。
 
 昼休み、斎はソファーに座る天弥を見下ろした。そして、大きくため息を吐く。
「せんせー、どないしたん?」
 天弥の横に座るサイラスが、声をかける。
「いや……、何でもない」
 斎は肩を落とすと、テーブルを挟んだ天弥とサイラスの向かいのソファーに腰を下ろした。
 目の前に仲良く並んで座る二人へ、視線を向ける。なぜ、自分がここであの二人は並んで座っているのか考え込む。本来ならこの時間は、二人だけで過ごすはずだった。
 斎の苦悩を余所に、天弥は嬉しそうに弁当を手に取る。サイラスも紙袋からジッパー付きのビニール袋に入った食パンを取り出した。天弥は、それをジッと見つめる。
「なんや?」
 視線に気がつき、サイラスが声をかけた。
「サンドイッチ?」
 サイラスは思わず自嘲気味に軽く笑う。
「そんなたいそうなもんやないって」
 天弥に手にしたものを見せる。
「ただ単に、peanut butterとchocolate creamを塗っただけや」
 天弥の瞳が輝いた。
「チョコレート?」
 天弥の視線が、サイラスの手の動きに合わせて動く。それに気がついたサイラスは、手にした食パンをあちこちへと動かす。天弥の視線が食パンを追う。
「そうやけど、食いたいんか?」
「うん」
 視線を食パンから動かさずに、天弥が答えた。
「ほい」
 サイラスが食パンを差し出した。
「いいの?」
 嬉しそうに天弥が聞き返す。
「別にかまへん」
 天弥は、サイラスに自分の弁当を差し出した。
「じゃあ、僕のお弁当と交換」
 自分の前に差し出された弁当に、サイラスは少し戸惑いながらそれを受け取る。
「ありがとう」
 食パンを受け取った天弥は礼を言い、嬉しそうに微笑んだ。
 斎は、手にした弁当を投げつけたい気持ちを抑えながら、二人のやり取りを見ていた。なぜ、自分が疎外感を感じないといけないのか、そう思いながらサイラスを見る。
「これ、天弥が作ったんか?」
 しかも、呼び捨てで天弥を呼ぶサイラスに、さらに怒りがこみ上げる。
「違うよ。お母さんが作ってくれるんだよ」
 自分と話す時とは少しだけ違う話し方をする天弥にも、斎は苛立ちを覚える。
「お母はん……」
 サイラスは呟きながら、手元の弁当を見つめた。
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