apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

quinque

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 天弥は、自分を見上げるひなを抱き上げた。すぐに、ひなは嬉しそうに笑う。
「なんでよ?」
「なんでって、生徒と堂々と外でデート出来る訳ないだろ」
 すぐに神楽がため息を吐く。天弥とひなは、姉弟の言い合いを余所に、お互い楽しそうに笑顔を向けている。
「あんたは、相変わらず頭が悪いんだから……。女子生徒ならあれだけど、たかみくんは男の子なんでしょ? 普通に一緒にいる分には、特に何も問題ないじゃない」
 そういえばそうだと今までなにを悩んでいたのかとすぐに納得する。お互いの立場や関係から、深く考えすぎていたのだ。それに、幸いな事に家が近所という事もあり、実は知り合いだったという事にも出来る。それなら、一緒にいても不思議ではない事になる。
「天弥、どこか行くか?」
 唐突に向けられた斎の言葉に、天弥が不思議そうに視線を向けた。
「ひなたん、どーぶつえんいくー」
 天弥に抱えられているひなが、笑顔で答えた。
「あー、ひなはママに連れて行ってもらえ」
 ひなはジッと斎を見つめる。
「よし、じゃあ、みんなで動物園ね」
 ひなはうれしそうな顔で笑う。
「いや、だから俺は天弥と二人で行きたいんだって……」
 ひなの表情が笑顔から悲しそうなものへと変わる。
「ひなたん、どーぶつえんだめなの?」
「あー、いや……」
 悲しそうなひなの顔と言葉を聞き、斎は罪悪感を感じ言葉に詰まる。
「先生、僕も動物園に行きたいです」
 いきなり割り込んできた言葉に、神楽は思いっきり天弥に抱きついた。天弥の腕の中のひなが、少し苦しそうな表情をする。
「たかみくん、なんていい子なの!」
 嬉しそうな神楽とひな、天弥を見て、斎はガックリと肩を落とす。だがすぐに、四人で出かけるのは無理だという事に気がつき、表情が変わった。
「あー、無理。俺の車、二人乗りだから」
「お父さんの車で行けばいいでしょ」
 勝ち誇ったような斎に、神楽が即座に答える。
「あんな怖い車、運転できるか」
「なんで? あんたの車より簡単でしょ」
 即答する神楽の言葉に、斎は再び肩を落とした。
「アクセル踏んでないのに勝手に動くし、エンブレも殆ど効かないし、任意にギアは選べないし……オートマなんて怖くて運転できるか」
 言い終わると斎は神楽たちを見た。そこには、斎の言葉を無視し、楽しそうに動物園について話している三人の姿があった。天弥までとガックリと肩を落とし落ち込む。
「なんでもいいから、早く車だして」
 追い討ちをかけられ、この姉に敵うはずが無かったと諦め、鍵や財布を取りに渋々と自分の部屋へと向かいだした。
「あ、斎」
 急に呼び止められ、足を止めて振り向く。そこには、何かを考え込んでいるような神楽の姿があった。
「何?」
 黙り込む神楽に促すように声をかける。すぐに表情が元に戻るのを確認した。
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