apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

quattuor

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「いつきー! あんたチェーンなんか掛けて、真昼間から何してんのよ!」
 いきなり神楽の声が響き、斎は慌てて天弥の身体から離れ、メガネをかける。状況を把握できずに考え込んでいると今度は、立て続けにインターフォンが鳴り出した。
 状況を理解したのか、斎は慌ててソファーから降りると玄関へと向かう。天弥は脱がされた服を拾い上げ、それを身につけ整え始める。服を着終わっても身体から熱が引くことは無く、火照った身体を少しでも治めようとまだ冷たいジュースを飲んだ。
 玄関へ向かうと斎は、チェーンの範囲内でうるさくドアを何度も開け閉めしながら、インターフォンを鳴らす神楽の姿を確認する。
「今、開ける……」
 そう伝えるとすぐに、ドアの動きとインターフォンが治まった。ため息を一つ吐くとチェーンを外し、玄関のドアを開ける。すぐに、ひなを連れた神楽が家の中へと入ってきた。玄関のチェーンだけでこの姉を止められる訳がなかったと、斎は自分の計画の甘さを呪った。
「ったく……、いい天気なんだから、外で健全にデートでもしなさいよ」
 奥のリビングへと向かう神楽に斎も続いた。途中、それが出来ればとっくに出かけていると、口には出さずに目の前の背中に向かって答えた。天弥が卒業をするか、自分が教師を辞めない限り、今の状況では外で堂々と一緒にいることも難しいのだ。
 リビングへ戻ると、まだ少し赤い顔をした天弥が立ち上がった。
「いやーん、やっぱり可愛い!」
 喜びの声を上げると、神楽は天弥の傍へと駆け寄り、いきなり抱きつく。
「抱きつくな!」
 斎が慌てて二人に近寄ると、神楽は天弥から離れて傍にいたひなを抱き上げた。
「ひな、おじちゃんに遊んでもらいなさい」
 そう言い、神楽は斎に向かってひなを差し出す。反射的に斎はひなを受け取った。
「おじちゃん。あしょぶ?」
 ひなの呼びかけに斎は慌てて言葉を返す。
「違う、お兄ちゃんだって教えただろ?」
「何バカな事を言ってんの? あんたは、おじちゃんでしょうが」
 確かに、叔父と姪という関係から姉の言うことは正しいと思うが、それでも斎は必死になってお兄ちゃんだと、ひなに教え始める。
「こんな良い天気なのに、家の中にいるなんて嫌よね? お姉さんが美味しいものご馳走するから、どこか遊びに行きましょう」
 お出かけを提案しながら、再び天弥に抱きついた。
「おい、抱きつくなって言っただろ! それに天弥は俺のだ、勝手に連れ出そうとするな」
 神楽は、すぐに斎へと視線を向ける。
「うるさいわね! こんな綺麗な子がいたら、連れて歩いて自慢したくなるでしょ」
 天弥から離れ、神楽は斎に近づく。斎は、抱きかかえたひなを床に下ろす。
「だいたい、あんたがどこにも連れて行ってあげないから、たかみくんかわいそうじゃないの」
 自由になったひなは、天弥の傍へ行きその顔を見上げた。
「連れて行けるもんなら、とっくに連れて行ってる」
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