27 / 236
veritas liberabit vos
viginti septem
しおりを挟む
斎の手が天弥の服の中へと滑り込み、初めてその肌へと触れた。続いて唇が離れるとすぐに、天弥の首筋へと唇を置いた。
「せ……んせ……」
キスだけの時とは違う快楽に、斎を呼びしがみ付く。斎の手と唇が動くたびに駆け抜ける快楽にどうにかなってしまいそうで、少し不安と恐れを覚える。
「俺の部屋へ行くか?」
快楽に酔う天弥の耳に突然、斎の声が響く。与えられる快楽でまともに働かない思考でも、その意味は理解でき、なんのためらいもなく頷いた。
天弥の身体を解放すると、斎は手に持つメガネをかけた。すぐに天弥の手を取り、足を踏み出す。斎に手を引かれリビングを後にした天弥は、自分の胸元に手を置くと服を強く握り締めた。いつのまにか涙は止まっていたが、その代わりに壊れそうなほど大きな音を立て、鼓動が早くなる。
家に遊びに行きたいとねだった時から、微かな期待を抱いていた。だが、実際にその状況を目前にすると身体は小刻みに震え、痛いほど心臓が激しさを増し、この場から逃げだしてしまいそうになる。
斎は自室へ入るとドアを閉め、天弥を抱きしめた。腕の中の温もりと震えを感じながら、こんなつもりではなかったのだと少し後悔をする。相手は、まだ十六歳の子供なのだ。そう何度も自分に言い聞かせたが、火が点いてしまった欲情を抑えることが出来なかった。軽く天弥と唇を重ねた後、その身体を抱き上げた。天弥は斎の首に腕を回し、その肩に顔を埋める。
積み上げた本を崩さないように、ゆっくりとベッドへ向かう。抱きかかえる天弥の軽さに、少し戸惑う。腕の中の華奢な感触や軽さもそうだが、私服姿の天弥は女の子にしか見えず、女を相手にしているような錯覚さえ覚える。
天弥の身体を静かにベッドの上に置くとメガネを外し、スタンドが置かれた小さなサイドテーブルの上に置く。少しぼやける視界で天弥の姿を捉えた。はやる気持ちを抑え、ゆっくりとベッドに腰を下ろし天弥の頬に触れた。身体の震えが伝わり、不安を抱いている事を知る。
昨日の放課後、天弥が家に来る事になった時に両親が旅行に行くなど知らなかった。気軽に、生徒が遊びに来る感覚で了承をしてしまったのだ。帰宅後、食卓の上に置かれたメモでそれを知った時、今のような事を考えなかった訳ではない。だが、男との経験などある訳もなく、さらに天弥の年齢や自分の立場など色々と考慮した結果、それは思い留まる事にした。
斎は軽く何度も天弥に口付ける。天弥の腕が、戸惑いながら斎の身体に回された。斎の手が、ゆっくりと天弥の服を脱がし始める。
身体を繋げるのが全てではないと分かっているが、心を奪われた相手を前にしてそれを抑えられるほど、達観出来ている訳ではない。泣きながら想いを告げる天弥の姿や、その素肌に触れた感触などが押さえ込んでいたものを引き出した。
唇が重なり合う間隔が長くなり、口内を蹂躙される快楽で天弥の思考が鈍りだし、震えが少し治まり出す。代わりに体温が上昇し鼓動が早鐘を打つ。唇がゆっくりと離れると、天弥は名残惜しそうに潤んだ瞳を向ける。すぐに斎は天弥の白い首筋に唇を這わせた。
「あっ……」
「せ……んせ……」
キスだけの時とは違う快楽に、斎を呼びしがみ付く。斎の手と唇が動くたびに駆け抜ける快楽にどうにかなってしまいそうで、少し不安と恐れを覚える。
「俺の部屋へ行くか?」
快楽に酔う天弥の耳に突然、斎の声が響く。与えられる快楽でまともに働かない思考でも、その意味は理解でき、なんのためらいもなく頷いた。
天弥の身体を解放すると、斎は手に持つメガネをかけた。すぐに天弥の手を取り、足を踏み出す。斎に手を引かれリビングを後にした天弥は、自分の胸元に手を置くと服を強く握り締めた。いつのまにか涙は止まっていたが、その代わりに壊れそうなほど大きな音を立て、鼓動が早くなる。
家に遊びに行きたいとねだった時から、微かな期待を抱いていた。だが、実際にその状況を目前にすると身体は小刻みに震え、痛いほど心臓が激しさを増し、この場から逃げだしてしまいそうになる。
斎は自室へ入るとドアを閉め、天弥を抱きしめた。腕の中の温もりと震えを感じながら、こんなつもりではなかったのだと少し後悔をする。相手は、まだ十六歳の子供なのだ。そう何度も自分に言い聞かせたが、火が点いてしまった欲情を抑えることが出来なかった。軽く天弥と唇を重ねた後、その身体を抱き上げた。天弥は斎の首に腕を回し、その肩に顔を埋める。
積み上げた本を崩さないように、ゆっくりとベッドへ向かう。抱きかかえる天弥の軽さに、少し戸惑う。腕の中の華奢な感触や軽さもそうだが、私服姿の天弥は女の子にしか見えず、女を相手にしているような錯覚さえ覚える。
天弥の身体を静かにベッドの上に置くとメガネを外し、スタンドが置かれた小さなサイドテーブルの上に置く。少しぼやける視界で天弥の姿を捉えた。はやる気持ちを抑え、ゆっくりとベッドに腰を下ろし天弥の頬に触れた。身体の震えが伝わり、不安を抱いている事を知る。
昨日の放課後、天弥が家に来る事になった時に両親が旅行に行くなど知らなかった。気軽に、生徒が遊びに来る感覚で了承をしてしまったのだ。帰宅後、食卓の上に置かれたメモでそれを知った時、今のような事を考えなかった訳ではない。だが、男との経験などある訳もなく、さらに天弥の年齢や自分の立場など色々と考慮した結果、それは思い留まる事にした。
斎は軽く何度も天弥に口付ける。天弥の腕が、戸惑いながら斎の身体に回された。斎の手が、ゆっくりと天弥の服を脱がし始める。
身体を繋げるのが全てではないと分かっているが、心を奪われた相手を前にしてそれを抑えられるほど、達観出来ている訳ではない。泣きながら想いを告げる天弥の姿や、その素肌に触れた感触などが押さえ込んでいたものを引き出した。
唇が重なり合う間隔が長くなり、口内を蹂躙される快楽で天弥の思考が鈍りだし、震えが少し治まり出す。代わりに体温が上昇し鼓動が早鐘を打つ。唇がゆっくりと離れると、天弥は名残惜しそうに潤んだ瞳を向ける。すぐに斎は天弥の白い首筋に唇を這わせた。
「あっ……」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―
三條すずしろ
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞:痛快! エンタメ剣客賞受賞】
明治6年、警察より早くピストルを装備したのは郵便配達員だった――。
維新の動乱で届くことのなかった手紙や小包。そんな残された思いを配達する「御留郵便御用」の若者と老剣士が、時に不穏な明治の初めをひた走る。
密書や金品を狙う賊を退け大切なものを届ける特命郵便配達人、通称「剣客逓信(けんかくていしん)」。
武装する必要があるほど危険にさらされた初期の郵便時代、二人はやがてさらに大きな動乱に巻き込まれ――。
※エブリスタでも連載中
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。


ルール
新菜いに/丹㑚仁戻
ホラー
放課後の恒例となった、友達同士でする怪談話。
その日聞いた怪談は、実は高校の近所が舞台となっていた。
主人公の亜美は怖がりだったが、周りの好奇心に押されその場所へと向かうことに。
その怪談は何を伝えようとしていたのか――その意味を知ったときには、もう遅い。
□第6回ホラー・ミステリー小説大賞にて奨励賞をいただきました□
※章ごとに登場人物や時代が変わる連作短編のような構成です(第一章と最後の二章は同じ登場人物)。
※結構グロいです。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
©2022 新菜いに
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる