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veritas liberabit vos
undecim
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昼休み、すでに名前で呼んでいる事や、それについての理由も述べていたことなどから、名前を呼ぶことにした。自分の名に反応し、すぐに天弥が斎へと視線を向ける。
「この本の、元の持ち主について知りたいんだが」
手にした本を少し掲げながら、質問を投げかけた。それに対し、天弥の表情が少し困ったようなものに変わる。
「すみません……。祖父とは一度も会ったことがないので、よく知らないんです」
予想外の答えに、斎はどう返事をして良いのか考え込む。
「その本も、ある日突然、郵送で送られてきたんです」
言葉を続けながら天弥は目を伏せた。
「お祖父さんは、遠くに住んでいるとか?」
斎の問いに、天弥は首を横に振る。
「どこに住んでいるのかも知りません」
「そうか、悪かった」
謝罪の言葉に、天弥は静かに首を横に振った。
「祖父のことなら、父に聞けば分かると思うのですが……」
そう告げながら、天弥の表情が暗くなる。斎の望む答えを与えられなかった事に、落ち込んだのだ。
「いや、分からないならいい」
家庭の事情もあるだろうし、無理に立ち入るべきではないことだ。そう判断をし、斎は冷めかけたコーヒーに再び口をつける。
「羽角恭一郎」
そう言いながら、天弥は顔を上げ斎を見た。
「祖父の名前です。すみません、これぐらいしか分からなくて……」
申し訳なさそうな顔で、天弥は再び俯く。
「いや、ありがとう」
名前が分かれば、調べることは可能かもしれない。あの専門家曰く、この世界は意外と狭いのだそうだ。熱狂的なマニア同士なら、どこかで繋がっていたりする。気は進まないが、後で追加情報としてメールを送っておくことにした。
天弥は、斎が手に持つ本を見た。自分には、何が書いてあるのか分からない、ただの古い本でしかない。祖父から贈られたいうこと以外、価値の無いものであった。なぜ、斎がそこまで興味を持つのか分からないが、その様子に少しだけ興味を惹かれる。だが、おそらくその本について聞いたとしても、理解出来ないのだろうと思う。
天弥は、空になったマグカップをテーブルの上に置いた。もう、斎の用事は済んだのだろうかと考えると、何ともいえない寂しさを覚えた。だが、もし用が済んだのであれば、聞きたいことが一つある。
斎は天弥を見ると、手にした本を机の上に置き、その傍へ向かいテーブルの上に置かれた空のマグカップを手に取った。それを見ながら天弥は、もう用事は何も無く、帰らなければならないのだろうかと考える。
「コーヒーしかないんだが、それでいいか?」
不意に聞こえた問いかけに、まだここに居ても良いのだという事を理解し、表情には自然と笑みが浮かぶ。
「はい」
嬉しそうな返事を聞くと斎は、二杯目のコーヒーを淹れに行く。
「今度は、ジュースでも用意しておく」
その言葉に天弥は、今日だけではなくまたここへ来ても良いのだと知り、嬉しさが込み上げてきた。
「ありがとうございます」
「この本の、元の持ち主について知りたいんだが」
手にした本を少し掲げながら、質問を投げかけた。それに対し、天弥の表情が少し困ったようなものに変わる。
「すみません……。祖父とは一度も会ったことがないので、よく知らないんです」
予想外の答えに、斎はどう返事をして良いのか考え込む。
「その本も、ある日突然、郵送で送られてきたんです」
言葉を続けながら天弥は目を伏せた。
「お祖父さんは、遠くに住んでいるとか?」
斎の問いに、天弥は首を横に振る。
「どこに住んでいるのかも知りません」
「そうか、悪かった」
謝罪の言葉に、天弥は静かに首を横に振った。
「祖父のことなら、父に聞けば分かると思うのですが……」
そう告げながら、天弥の表情が暗くなる。斎の望む答えを与えられなかった事に、落ち込んだのだ。
「いや、分からないならいい」
家庭の事情もあるだろうし、無理に立ち入るべきではないことだ。そう判断をし、斎は冷めかけたコーヒーに再び口をつける。
「羽角恭一郎」
そう言いながら、天弥は顔を上げ斎を見た。
「祖父の名前です。すみません、これぐらいしか分からなくて……」
申し訳なさそうな顔で、天弥は再び俯く。
「いや、ありがとう」
名前が分かれば、調べることは可能かもしれない。あの専門家曰く、この世界は意外と狭いのだそうだ。熱狂的なマニア同士なら、どこかで繋がっていたりする。気は進まないが、後で追加情報としてメールを送っておくことにした。
天弥は、斎が手に持つ本を見た。自分には、何が書いてあるのか分からない、ただの古い本でしかない。祖父から贈られたいうこと以外、価値の無いものであった。なぜ、斎がそこまで興味を持つのか分からないが、その様子に少しだけ興味を惹かれる。だが、おそらくその本について聞いたとしても、理解出来ないのだろうと思う。
天弥は、空になったマグカップをテーブルの上に置いた。もう、斎の用事は済んだのだろうかと考えると、何ともいえない寂しさを覚えた。だが、もし用が済んだのであれば、聞きたいことが一つある。
斎は天弥を見ると、手にした本を机の上に置き、その傍へ向かいテーブルの上に置かれた空のマグカップを手に取った。それを見ながら天弥は、もう用事は何も無く、帰らなければならないのだろうかと考える。
「コーヒーしかないんだが、それでいいか?」
不意に聞こえた問いかけに、まだここに居ても良いのだという事を理解し、表情には自然と笑みが浮かぶ。
「はい」
嬉しそうな返事を聞くと斎は、二杯目のコーヒーを淹れに行く。
「今度は、ジュースでも用意しておく」
その言葉に天弥は、今日だけではなくまたここへ来ても良いのだと知り、嬉しさが込み上げてきた。
「ありがとうございます」
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