婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー

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マーレンの言い分は支離滅裂で、仕事上がりのフラフラの脳内で理解するのはなかなかに骨でした。私は言葉の通じない国の人と話すかのような気持ちで聞きます。
「ええと、つまりまとめると、私がしっかりしてそうだから好きになったけど一緒に暮らしてみたらいちいち世話を焼いてくるのがうっとうしくなったと・・・・・・」

よく吠える子犬のように、すぐさまマーレンが口を開きます。
「そうだ!僕は立派にやっているのにお前ときたらやれ服を脱ぎっぱなしにするなだの、音を立てて食事をするなだのうるさく言いやがって!お前は僕の母親かよ!」
「はあ・・・・・・」
とりあえず、言いたいだけ言わせてガス抜きをさせてあげましょう。
「明日には大事な国王様への謁見があるのに、こんなうるさい女がいたんじゃ集中して最後の追い込みができない!僕が何枚の資料を作って持っていかないといけないと思ってるんだ!」
「知らんがな」
年下ということもあって、時に弟のように思いながらかいがいしくやっていましたが、こうもワンワンキャンキャンと言われると応援しようという気も失せてきます。

(というか、長くなりそうだなこの話)
ちょっと謁見前でナイーブになっているのかもしれません。私は夕飯を作るのを諦め、立ち上がって台所へパンを取りに行きました。
「おいっ、僕の話を聞いているのかセシーヌ!」
「はいはい。聞いてるわよ、はいパン。今日はもうそれで済ませなさい」
ふくれっ面のままパンをかじるマーリンでしたが、半分くらい食べ進めたところで叫び出しました。
「ううう~!もっと肉とかが食べたい!」
「今日は豚のシチューの予定だったのに、あなたが急に癇癪を起こすからこうなったのよ」
「なんだと~、この生意気女っ・・・・・・。はっ、そうだこんなことしてる場合じゃない!お前に大事な話があるんだった!」
マーリンはガバッと立ち上がります。
「ああ。なんか、婚約破棄・・・・・・、でしたっけ?」
パンをかじりながら聞いている私に、マーリンはビシッと人差し指を突きつけます。
「そうだっ、真面目に聞け!パンを食いながらじゃなくて!」
早くお風呂に入りたいなと思っている私に、マーリンはとんでもない爆弾を投下しました。

「いいか、お前の荷物はもう僕がまとめてお前の実家に送ってやった。お前の自室にはもう何もない。ざまぁ!!」
「ざまぁって。子供みたいな言い回しやめてくださいよもうじき23なんだから。・・・・・・って、ええええーーー!!??」
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