落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第24章 王国騎士団

第182話 ポピー王子即位式2

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 国王様から指定された部屋の前に着いてドアをノックし、中から返答があったので「失礼します」と入ったら、そこには国王様だけでなくポピーもいたのだった。

 そして僕を見るなりポピーは「レックスー!」以前みたいに叫びながら僕に駆け寄って来た。流石にその光景を見て僕はキョトンとしてしまった。そして僕に抱き付いてきたところで「久しぶり!」と声を掛けてきたのだった。

 それを見て「昼間の姿はやっぱり他の人の目があったからだったんだな?」と聞くと、「うん!」と笑顔で答えてきたので、(なるほど)と納得して国王様の近くに向かった。

「すまないね、レックス君」「いいえ。でもどうしてポピーまで?」「······レックス君。正直をコイツにも話しても良いのではと私は思ってね?」(っ!)

「しかし、それは君が決める事だし、話すなら君から直接の方が良いと思ってね。同席させたんだ」と国王様は説明なさってくれた。何の事か分かっていないポピーは僕と国王様を交互に見渡した。

「······そうですね。昼間のポピーの様子を見たら大丈夫でしょう」「えっ?」そう言って僕はポピーと向き合い、「ポピー、実は僕は······」ポピーにも僕の正体を伝えた。

 
 流石にポピーも驚いてはいたがすぐに受け入れてくれた。その上で、「じゃあ······」「うん。今はまだどうなるか分からないけど、最悪数ヶ月後に訪れる魔王軍との戦いで僕は死ぬ事になってるんだ」「そんなのヤダ!!」と僕に引っ付いてきた。

「それを防ぐ為の話をこれからするんだよ」「えっ?」「やはりあの青い玉についての事だったんですね?」「ああ。ようやくあれの正体が分かったよ」と言ってあの青い玉を出した。

「古い古文書を調べてようやくこれが"導きの玉"と呼ばれる海人族に伝わる秘宝の1つだと分かったんだ」「導きの玉?」

「うん。この玉を持ちながら所在を知りたい物や人等の姿をイメージすると、この玉に映し出されてその所在を光で導いてくれるのだと書かれていたんだ」「そんな凄い物だったんですか!?」玉の正体を聞きとんでもない物だと知って驚いた。

「ああ。それと、これはまだ不確かな情報ではあるんだが、どうやらを見させてくれる事もあるようなんだ」「予知夢を?」

「うん。それで先人らは外部からの危機を事前に察知して対処していたと伝えられてきたようなんだが、その当たりの事が曖昧に書かれているんだ」「そうなんですか」

「しかし、いずれにしてもこれらの力が他の種族の者の手に渡ったり、また海人族内の悪しき者に渡ったら大変だと考えたある代の王が、この玉を海人族の守り神に守って頂くように渡されたんだよ」「守り神?」

「君も少なくとも一度は会っている、あの"ビッグクラブ"の事だよ」「「え、えーーっ!?」」

(あ、あのビッグクラブが海人族の、守り神だったの!?)流石にその事を聞いて僕もポピーも驚いた。

「まぁ驚くのも無理はないだろう。我々も古文書を見るまで知らなかったのだから。以降はずっと守り神のビッグクラブが守り続けていたんだ」

「それをあの時ビッグクラブはベアーズを通じて僕にその導きの玉を託して下さったのですね」「ああ、恐らくね。だからこそ、君の未来のために存分に使ってくれたまえ」

 そう言って国王様は導きの玉を僕に差し出してきたので受け取り、「ありがとうございます、国王様。大切に使わせて頂きます。そして······」「そして?」

「あの戦いが終わった後に、必ずお返し出来るように致します!」「っ! ああ。待っているよ」「はい!」と会話を交わして僕は部屋に戻った。

 部屋に戻ったところで兄ちゃんに玉の事やポピーにも正体を話した事、兄ちゃんは一度も会ってはいないがビッグクラブの事などを話した。流石にどれもこれも話を聞いた直後は驚いていた。


 翌日、即位式が始まる少し前にグレン王子と僕達3人 (兄ちゃんを含めて他の人は各部屋でお留守番)は会場へ向かっていた。その途中フィンラル様らエルフ族御一行と鉢合ったので、グレン王子とフィンラル様が挨拶を交わして一緒に向かう事となった。流石にグレン王子がいるため僕は後を付いていくだけにした。

 そうして僕達を始め招待客が全員揃ったところでポピー王子の皇太子即位式が始まった。色々な儀式が行われたり話がなされ、最後に以前僕やジェシーと一緒に取りに行ったあの命の石の原石が運ばれてきて、ポピーがその原石に血を滴らして命の石を錬成させたところで即位式は終わった。

 その後昼食を兼ねた会食会が行われ、即位式の出席者はもちろん兄ちゃんやエドガーさんらを始め、付き添いや警護で来た人達も呼ばれて楽しい時間を過ごした。

 僕もその会場内で懐かしい顔を見たので、兄ちゃんらに一声掛けてその人物の下へ向かった。

 
「やぁ、マール」「あっ、レックス! 久しぶり」その人物とは養成学校の2年生の時クラスメイトとなったマールだった。

「無事お城勤めに就けたんだね」「うん! レックスも騎士団に入れたの?」

「うん。僕だけじゃなくジャックにアイラもね」「そうなんだ。おめでとう」「ありがとう。お互いこれからもそれぞれで頑張ろうね」「うん!」と言葉を交わしてその場を離れた。

 
 兄ちゃんらのところに帰ろうとしていたら「よぉ! レックス!」聞き覚えのある声に呼ばれたのでそちらの方をみたら、「ジ、ジルコニー校長!?」がいた。

「久しぶりだな」「お、お久しぶりです。校長も招待されてたんですね?」

「ああ。今年は海人族の入学者が多かったし、海人族からの依頼を授業で多く扱うようになったからな。そうした繋がりでな」「そうなんですか! 凄いですね」

「なぁーにが凄いですねーだ! 全部お前の影響だろ」「え? 僕の?」「お前が以前海人族の子供達に養成学校を見学させただろ?」

 そういえば、孤児院の子供達をマリンタウンへ連れて行った代わりに養成学校を案内したっけ。

「それがきっかけで養成学校に興味を持ち出した子が増えたみたいで、決定的になったのがお前がクエストでマリンタウンによく訪れていたからだそうだ」「えーっ!?」3年の授業の方針でギルドのクエストを行うこととなっていたので、最初の頃は海人族からの依頼を確かに頻繁に受けていた。

「えーじゃないわ。お前が養成学校の生徒なのは多くの人は知っていて、そのお前が自分達のクエストを頻繁に引き受けてくれているのを見て、ヒト族の養成学校に行っても自分達の同族のお役に立つ事が出来るのを知り入学しようと思ったり、させようと思うようになった親御さんが増えたんだ」「そ、そうなん、ですか」

「それに比例するかのように王都のギルドにも海人族からの依頼が増えてな。それをアランが養成学校へ優先的に割り振ってくれて扱いが増えたんだよ」「······」ジルコニー校長の話を聞き、驚きすぎて言葉が出なかった。

「ホントお前には在学していた時も色々と驚かされたが、卒業してからも驚くような事を色々残していきおって」「アハハハハ」

「全く。で······」「で?」「お前のの事はどうなっているんだ?」とジルコニー校長は尋ねてきた。

「······やっぱり、ジルコニー校長はご存知だったんですね? 僕の事」「当たり前だ! 奴とは旧知の仲だと言っただろ。そのあいつからお前の入学が決まった直後に『今度入学するレックスというのは2代目のタイムリターナーじゃ』と教えてもらってたからな」

「もうそんな時からハウル様に教えてもらってたんですね。······今のところはまだ何か進展したという事はありませんし、原因も分かっていない状態です」

「そうか。まぁそっちの事も含めてこれからも頑張るんだな」そこまで言ってジルコニー校長は僕の肩に腕を回し「養成学校で学んだ事が無駄にならんようにな」と鋭い眼差しで声を低くしてそう言ってきたため、怯えながら「ぜ、善処致しまーす」と答えた。

「ハハハハハッ! じゃあなっ!」とジルコニー校長はその場を離れた。(全く)そう思いながら兄ちゃんらの下に向かった。

 
 兄ちゃんとジェシーのいる所 (お姉ちゃんはポピーらの所に行っているみたい)に戻って「あっ! レックス」「よぉ、結構長かったな?」「帰ってくる時にジルコニー校長とバッタリ会っちゃって」

「えっ! ジルコニー校長も来てるのか!?」「うん。実は······」今の養成学校の状況を2人に話した。

 僕の話を聞き2人とも驚いていて「そりゃあすげぇな」「うん! また一歩ポピー王子様の夢が近付いたんじゃない?」「夢? ああ、そうだね」

 そう、命の石の原石を取りに行った時に言っていたーーヒト族とより一層親交を深めていくーーという夢にね。

 こうして会食会の時間も過ぎ、僕達は再び王都に向けてマリンタウンを後にした。その道中の車内で僕はジェシーとお姉ちゃんにも導きの玉の事を説明したのだった。

 その後ウッド村のある森を少し過ぎた所の町で一泊し、翌日王都に到着したのだった。
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