落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

文字の大きさ
上 下
170 / 224
第24章 王国騎士団

第170話 休日~編成会議~

しおりを挟む
 レックスやメリッサと別れた後アッシュは騎士団本部に戻り、武闘部隊の編成会議を行う部屋に向かった。

 部屋に入ると既にブライ教官が座っていた。「ああ教官。もう来てたんですか?」「おおアッシュ。特にやる事もなかったからなぁ」「そうですか」と言ってアッシュも席に座った。

「しかし昨日のお前さんとレックスの対決は相当あちこちで話題になっとるぞ」「そうなんですか?」「団長はじめ全隊長と教官が私に状況を聞いてきたぐらいだったからなぁ」「ぜ、全員がですか?」「あぁ。特に各隊長はレックスを面接試験の時一度見ていてお前の事もよく知っているだけに、そのお前を倒したと聞いてとても驚いておったわい」「ハハハッ。まぁそうなるでしょうね」「全くな」と言ったところでパーシバル団長が入って来た。

「何盛り上がってるんだ?」「あぁ団長」「昨日のコイツらの対決の事でお前さん達が驚いておった事でだよ」

「あぁその事か。本当に最初にブライさんから聞いた時は驚いたが、何となく私はやっぱりかと思ったがね」「どうしてですか?」

「去年北東部の高山地帯にあった坑道内でのフレイムリザードの件覚えているか? 奴を倒したのはレックス君だろ?」「えっ? ええ。そうですが、どうして分かったんですか?」

「君達の姿を見てアッシュの方はボロボロだったのに対し、レックス君の方はそれほどではなかったから、恐らく少なくとも途中からはレックス君が主体となって戦ったんだと思ったし、この訓練中も色々驚く事をやっていたからね、彼は」「そういう事でしたか」

「まぁ取り敢えず揃ったところで始めますか、"編成会議"を」とブライ教官が言って編成会議が始まった。

 
「まずレックスは文句なく第1小隊ですな。全ての面で非の打ち所が無いでしょうから」「ですね」「ああ、そうだな」レックスに関してはあっさりと決まった。

「あともう一人、彼も第1小隊で決まりでしょう」とブライ教官はデビットの資料を提示した。

「今回の中で唯一鞭をメインで、しかも前々から扱っているみたいですし、試験終了後の組手大会も決勝まで残ったのですから。十分戦力になるでしょう」「確かに。レックス君が接近タイプなら、デビット君はメインが鞭でサブが槍だけに遠距離タイプだから、どんな状況下でも二人で対応出来るだろう」「確かにそうですね」こちらもすんなり決まった。

「後は······彼はどうでしょう? こちらもメインでボウガンを選んだのは珍しい事でしたが上手く扱えれていますし、サブの小剣も使いこなせてボウガンとの使い分けも上手く出来ていましたし」ブライ教官はジャックの資料を提示した。

アッシュは一瞬押し黙ったが、騎士団全体の事を考え「······そうですね」とブライ教官に同意した。パーシバル団長も異論は無かったので決まった。

「第1小隊は残りあと1枠かぁ。どうします?」パーシバル団長がブライ教官に尋ねた。

「うーん、このメンバーで足りない部分といえば······パワータイプですな」「パワータイプ······」とアッシュが呟いた。

「ああ。レックスはメインが爪でサブが短剣。デビットはメインが鞭でサブが槍。そしてジャックはメインがボウガンでサブが小剣ですから。本格的なパワータイプの武器を扱う者がいないからなぁ」「確かにそうですね」とアッシュも同意した。

 そして残りの中からパワータイプの武器を扱う者を探していて、アッシュが「彼はどうでしょう?」とライアンの資料を提示した。

「斧がメインですしサブが槍ですから、他の3人の武器を考慮してもバランスが取れるのではないでしょうか?」「そうだな。しかもライアンに教えた槍のスキルは防御にも使えるから、よりバランスも良くなるだろうな」「では、決まりだな」こうして第1小隊のメンバーは決まった。

 そして「では次に第2小隊は······」残りの小隊メンバーも次々決定していった。

「小隊メンバーはこれで決まりだな」「ああ」「そうですね」全ての団員の小隊分けは終わった。

「後はそれぞれの小隊長を誰にするかだな」「「はい」」とパーシバル団長が言った事にアッシュとブライ教官は賛同した。

「で、それぞれ誰が適任だと思うかね? アッシュ」とパーシバル団長はアッシュに意見を求めた。

「やはり今の小隊順で、その中でもまた実力順に配属させていくべきでしょう」「そうだな。それじゃあ第1小隊には······」とこちらも次々決定していった。

「良し! これで決まりだな」「ええ」「だな」「後の各先輩団員への連絡は君に任せるよ、アッシュ」「分かりました」と言ったところで会議は終わり、パーシバル団長とブライ教官は部屋を出て行った。

 残ったアッシュは第1小隊のメンバーリストを見て(まっ、しょうがねぇか。悪く思うなよ、レックス)と思ったのだった······。

 
 夕方、メリッサとのお出掛けから帰って来た僕は、兄ちゃんから第1小隊に配属となった事を伝えられた。

「そっか」「まぁお前の場合は当然の結果だろうがな」「そうだね。けど、今日で兄ちゃんとも離れるって事だね」

「離れるって言っても食堂や風呂で一緒になる事だってあるんだし、任務で一緒になる事も大いにあるだろうからよ」「ハハッ、そうだね。それにしても」「ん?」

「もう騎士団に入団して1ヶ月経つんだよね?」「あぁ、そうだな」「その分、魔王軍との決戦の日も近付いたんだよね」

「レックス」「これからの任務も、それに向けての実践訓練のつもりで当たらないとね」「······ああ。そうだな」兄ちゃんも僕の意見に同意してくれた。

 
 そう、運命の魔王軍との決戦の日まで、あと約5ヶ月。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

野生子グマの人生変転記

きこうダきこう
ファンタジー
「それじゃあ今日からコイツの事を······子グマだから"ベアーズ"って呼ぶ事にしよう、アッシュ兄ちゃん」「ハハッ。そうだな、レックス」  ある森に父ちゃんと暮らしていたボクは、ヒトが仕掛けていたワナによってケガをして動けなくなってしまった。そうしてうずくまっていたボクの所に来てケガを治してくれたのもヒトの子供達だった。そしてケガが治って自由にまた動き回れるようになった事でボクはケガを治してくれたその子供達、とりわけ皆から"レックス"って呼ばれている子を気に入った。  それからレックスが森に来る度にボクはレックスの傍に寄り、ついには彼が住んでいる"ムラ"の中にまで付いて行ったりした。そうした事もあってレックス達はボクや父ちゃんに名前を付けてくれたのだ。  けれども、ある時レックスは森から遠く離れた所にある"ガッコウ"って所に行くため森を離れてしまったのだった。  レックスに会えなくなって寂しがっていたんだけど、そのレックスがまた森に帰ってきた! と思ったらそのガッコウの用事でボクの力を一時的に借りに来ただけだった。  その用事が終わったらまたレックスと離ればなれに······そんなのイヤだ! そう思ったとたんボクはレックスの背中にしがみつき、絶対に離れまいとしたのだった。  そのボクの思いが通じて······レックスが行っているガッコウでレックス達と一緒に過ごせれるようになったのだった······。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...