落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第22章 告白

第146話 クリスマスの夜に・・・

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 二度目の騎士団からの依頼以降も捜索系クエストをこなし続け、マックス先生からの"Sランク系捜索クエストを1人で"という課題も無事完了させられた。

 そうして冬季休暇前の試験日を迎えた。今回も試験問題は3問で1問目は夏季休暇前試験時に予告されていた問題であった。

 そのため"卒業後はサンドリア王国の騎士団に入団し、非常時は他の者とその対応に当たり、平常時には遭難者や遺失物などの捜索業務に従事したいと考えています。"と答え、他の2問も大丈夫だろうと思える解答を書けた。

 そうして試験が終了し、後日結果が発表され無事合格だった。

 そして数日後から冬季休暇が始まり、休暇に入ってすぐ今年も孤児院でクリスマスパーティーが開催された。

 今年は兄ちゃんはお城で開かれているパーティーへの警備と参加で来れないし、アリスはマーシュと食事 (デート)と言っていたので、参加しているのは僕とお姉ちゃんとコリーの3人にベアーズ。そして······。


「はい、ジョンくん」「ありがとー。ジェシーおねえちゃん!」お城でパーティーが開かれているのだが、ジェシーも孤児院でのクリスマスパーティーに参加していたのであった。

 当然お城のパーティーに比べて料理も内容も質素で簡素なもののはずだが、それでもジェシーは心の底から楽しんでいたのだった。

 そしてパーティーも終わって僕とジェシーは2人で寄宿舎に帰っていた(もちろんベアーズも)。


「とっても楽しかったわね。みんなも嬉しそうだったし。こっちに参加して本当に良かったわ」「でもよく国王様とか許してくれたね?」「うん。レックスやベアーズと"孤児院の"パーティーに参加するって言ったら、二つ返事で許してくれたわ」

(孤児院のって言ったから許してもらえたのかなぁ? それともまだジェシーの傷を治した事への恩義を感じてるのかなぁ?)と思った所で、とにもかくにも渡すなら今だと思ってジェシーに話し掛けた。

「······あのさ、ジェシー」「何? レックス」「本当はジャックと一緒で傷が全快したお祝いで渡すつもりでいたんだけど、渡しそびれてクリスマスプレゼントと兼ねる事になっちゃったんだけど、これ」と言ってずっとポケットに入れ続けていた物を取り出した。

「っ! それって?」「ジャック同様海底洞窟の地底湖に落ちていたそこそこの大きさの真珠を1個拾ったんだ。それでお姉ちゃんに教えてもらいながら首飾りを作ったんだよ」「レックスの手作り!」と驚きながら首飾りを両手で受け取った。

 それを眺めて「嬉しい」と言って僕も手伝いながら首に掛けた。

 その後改めて真珠部分を両手で包んで「レックス、本当に、ありがとう。絶対に一生大事にするわ」と涙を溜めながら言った。

「喜んでもらえて良かったよ」そう言った直後ジェシーは涙を流しながら僕の方を見て「レックス」と呟いて僕に抱き付いて来た。

 そして「今年に入って、あなたと出会えて本当に良かったって今でも思っているわ」と言われたが、僕は坑道から出た時同様ただ呆然と立ち尽くしているだけだった。

 さらに「それにあの坑道の崩落事故の時、レックス達も生き埋めになってしまったかもって聞こえてきた時には本当に心配して、もう会えないんじゃないかと本気で思ったのよ」そこまで言われたところで、「ジェシー」と呟いた。

 直後、「レックス」と言ってジェシーは僕の顔を見て「······大好き······」とひと言呟いたのだった。

 それを聞いて僕は目を見開き驚いた。そしてジェシーはゆっくり目を閉じた。

(ジェシー)目の前のそんなジェシーの様相を見ながら、(やっぱり、僕も君の事が好きになったよ。だけど······)そこまで思って前世で騎士団の誰かに小剣で腹を刺された場面を思い出した。

(あの出来事を話さずに付き合ったりしたら、いずれジェシーを悲しい思いにさせるだけだ!)と心で強く思い、やはりここは······。

       ケジメをつけなければ         


 そう思って僕は一度ジェシーの両肩に手を置いて彼女の体を僕から離した。

 突然の僕の行動にジェシーは驚いて「レックス?」と聞いてきた。

「ジェシー、僕も君の事が大好きだよ。だからこそ、今から僕が大事な話をするから、それを聞いた上で改めて僕への気持ちを考えて欲しい。それでも僕を好きと言ってくれるなら、僕も君の気持ちを真剣に受け止めるよ」と伝えた。

「大事な話?」と聞いてきたので無言で頷き、そして「今のままだと、僕はもうすぐ······死んでしまうんだ!」「えっ?」

「もうじき、多くの種族が連合軍を結成して魔王の軍勢と戦う事になって、僕もその戦いに参加する事になるんだ。その時、仲間の誰かによって僕は······殺されてしまうんだよ!」「ころ、される?」

「うん。ただ僕の死は神様も予期していない出来事だったと後から言われたんだ。だからその出来事を無かった事にするために、僕の人生を······赤ん坊時代からやり直す機会を与えてくれたんだ!」

「人生を、やり直す? ······じゃあ」無言で頷き「今の僕は、2度目の人生を送っているんだよ。もうすぐ訪れる、誤った死の運命を回避するために!」「っ!」それを聞いてやはりジェシーは凄く驚いていた。

「そのための行動はこれまでもしてきたんだけど、まだ具体的にどうすれば良いのかは分かってないんだ。だから、もしこのままあの戦いが始まれば、また誰かに殺されてしまう事になるかもしれないんだ」

 そこまで言ってジェシーを見たが、驚いたり今の話を疑うような表情ではなく、真剣な顔つきで僕を見つめていた。

「だからもし今君と付き合ったとしてもすぐに、しかも悲しい別れ方をしてしまう事になるかもしれないんだ」この事を聞いてやはりジェシーの表情は驚きを隠せないでいた。 

「正直、君にそんな悲しい思いをさせたくなくて僕の秘密を話したんだ」(っ! レックス)それを聞いてジェシーは僕に感謝の気持ちを抱き、そしてあるを固めたのだった······。

「それでも、僕と付き合っても良い······っ!」僕が話を言い終わる前に、ジェシーは僕にキスをしてきたのだった。

 突然の事態だったが、(ジェシー)彼女の行為の真意を理解したため彼女のキスを素直に受け入れ、僕は目を閉じジェシーを抱き締めたのだった。

 暫くしてジェシーが唇を離した。そして、「たとえあなたにどんな未来が待っていても構わないわ。だって······」と言って再び僕を見つめ出し満面の笑顔で「今のあなたを、好きになったのだから」と答えてくれた。

「ジェシー」「レックス」そう呼び合ったところで、どちらからともなく再びキスをした。  

 こうして、僕はこの日ジェシーと正式に恋人同士となったのだった······。
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