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第20章 将来
第126話 休暇前試験
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いよいよ今日は夏季休暇前の試験日だ。取り敢えず数日前から中間発表会でハインリヒ先生が仰られた内容を振り返っていたけれど、どういう内容が出てくるのか。
そしてハインリヒ先生が教室に入って来られ試験が始まった。配られた試験問題を見て驚いた。
問題数はたったの3問だが、どれも癖のある問題だった。
まず問1、養成学校を卒業後、どんな組織に所属し、どんな仕事を行いたいのか説明せよ。
これは事前にハインリヒ先生から投げ掛けられていた内容だけあって想定していたが、正直まだ答えを導き出していないため、(取り敢えず、"卒業後はサンドリア王国の騎士団に入団する予定ですが、何をしたいのかは現在考え中です。"っと)と正直な気持ちを書いた。
問題は後の2問だ。
問2、卒業するために後1週間でSランクのクエスト完了分のポイント(5ポイント)を獲得しなければならない。現在クエストボードにはSランクのクエストが1つだけあるが、今まで経験した事の無い内容であった。一方、Aランク(4ポイント)やBランク(3ポイント)のクエストは経験した事のある内容であったが、その後他のクエストを受けられるかは微妙なところであった。
さて、あなたならSランクとAランクやBランクのどちらを選ぶ。その理由も説明せよ。
流石にこれはすぐには答えられなかった。
そしてさらに厄介だったのが最後の問題だ。
問3、ある人の生死に関わるクエストを受け、そのクエストを成功させるのに必要となる重要な道具を求めて仲間達と迷宮に挑んだ。目の前に目的の物が見えた直後、仲間が罠に掛かって絶体絶命のピンチに陥ってしまった。今仲間を助けに行くと目的の物は二度と手に入らなくなり、クエストは失敗して対象の人物が死亡してしまう場合、あなたは仲間の命と他人の命、どちらを選ぶか理由も書け。
(······こんなのすぐに選べるわけ無いだろー!)と心の中で叫んだ。しかし試験なんだから解答しなければならない。
結局、後半の2問も今の自分なりの意見を正直に書いた。
そして試験時間が終了し、解答用紙が回収された。
その直後、ハインリヒ先生から思いもよらないとんでもない事が言い渡された。
「さて、解答用紙を回収させてもらったが、実を言うと君達は全員筆記試験を受ける前の時点で今期は"合格"となっていたんだ」「「え? ······えーーっ!?」」僕も含めてクラス中の誰もが驚きの声を上げた。
「最初の中間発表会で私が言い渡した内容を理解してその後は各自クエストに挑み、またマックス先生から各自最低1つ課題を言い渡されてそれも全員がほぼ完了させた様だったので、協議した結果全員合格とする事にしたんだ」(そうだったんだ)僕は心の中で納得していた。
けど、「じゃあ今やった試験は無意味じゃ無いですか!」「「そーだ! そーだ!」」一部の生徒から野次が飛んだ。
「意味はある!」そんな野次にハインリヒ先生はハッキリ答えた。それを聞いて全員がまた黙った。
「まず最初の問だが、今回は解答出来なくても構わない。だが、次の試験の時も同じ問題を出すので、その時答えられなかった場合は即不合格とする!」とハッキリ伝えられた。
「そして後の2問だが、これらは今後君達の身に起こる可能性のある内容だ。特に3問目の内容はどんな人生を送るにしろ、一度や二度は似たような事態だとしても必ず降りかかるだろう。そんな時、今回の試験を思い出させる意味も含めて出題したんだ」と答えられた。
流石にここまで聞いたところで、全員が今回の試験の意味を理解して納得したのだった。
「全員納得したようだな。では改めて、これでこのクラスの今期の課程は全て終了とする。後は各自自由に過ごすがよい。但し、他のクラスとの兼ね合いもあるため、王都外へ帰省する事は暫く禁止とする。あと······」新学期の連絡を言ってハインリヒ先生は教室を出られた。
そしてハインリヒ先生が教室に入って来られ試験が始まった。配られた試験問題を見て驚いた。
問題数はたったの3問だが、どれも癖のある問題だった。
まず問1、養成学校を卒業後、どんな組織に所属し、どんな仕事を行いたいのか説明せよ。
これは事前にハインリヒ先生から投げ掛けられていた内容だけあって想定していたが、正直まだ答えを導き出していないため、(取り敢えず、"卒業後はサンドリア王国の騎士団に入団する予定ですが、何をしたいのかは現在考え中です。"っと)と正直な気持ちを書いた。
問題は後の2問だ。
問2、卒業するために後1週間でSランクのクエスト完了分のポイント(5ポイント)を獲得しなければならない。現在クエストボードにはSランクのクエストが1つだけあるが、今まで経験した事の無い内容であった。一方、Aランク(4ポイント)やBランク(3ポイント)のクエストは経験した事のある内容であったが、その後他のクエストを受けられるかは微妙なところであった。
さて、あなたならSランクとAランクやBランクのどちらを選ぶ。その理由も説明せよ。
流石にこれはすぐには答えられなかった。
そしてさらに厄介だったのが最後の問題だ。
問3、ある人の生死に関わるクエストを受け、そのクエストを成功させるのに必要となる重要な道具を求めて仲間達と迷宮に挑んだ。目の前に目的の物が見えた直後、仲間が罠に掛かって絶体絶命のピンチに陥ってしまった。今仲間を助けに行くと目的の物は二度と手に入らなくなり、クエストは失敗して対象の人物が死亡してしまう場合、あなたは仲間の命と他人の命、どちらを選ぶか理由も書け。
(······こんなのすぐに選べるわけ無いだろー!)と心の中で叫んだ。しかし試験なんだから解答しなければならない。
結局、後半の2問も今の自分なりの意見を正直に書いた。
そして試験時間が終了し、解答用紙が回収された。
その直後、ハインリヒ先生から思いもよらないとんでもない事が言い渡された。
「さて、解答用紙を回収させてもらったが、実を言うと君達は全員筆記試験を受ける前の時点で今期は"合格"となっていたんだ」「「え? ······えーーっ!?」」僕も含めてクラス中の誰もが驚きの声を上げた。
「最初の中間発表会で私が言い渡した内容を理解してその後は各自クエストに挑み、またマックス先生から各自最低1つ課題を言い渡されてそれも全員がほぼ完了させた様だったので、協議した結果全員合格とする事にしたんだ」(そうだったんだ)僕は心の中で納得していた。
けど、「じゃあ今やった試験は無意味じゃ無いですか!」「「そーだ! そーだ!」」一部の生徒から野次が飛んだ。
「意味はある!」そんな野次にハインリヒ先生はハッキリ答えた。それを聞いて全員がまた黙った。
「まず最初の問だが、今回は解答出来なくても構わない。だが、次の試験の時も同じ問題を出すので、その時答えられなかった場合は即不合格とする!」とハッキリ伝えられた。
「そして後の2問だが、これらは今後君達の身に起こる可能性のある内容だ。特に3問目の内容はどんな人生を送るにしろ、一度や二度は似たような事態だとしても必ず降りかかるだろう。そんな時、今回の試験を思い出させる意味も含めて出題したんだ」と答えられた。
流石にここまで聞いたところで、全員が今回の試験の意味を理解して納得したのだった。
「全員納得したようだな。では改めて、これでこのクラスの今期の課程は全て終了とする。後は各自自由に過ごすがよい。但し、他のクラスとの兼ね合いもあるため、王都外へ帰省する事は暫く禁止とする。あと······」新学期の連絡を言ってハインリヒ先生は教室を出られた。
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