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第19章 最終学年

第120話 報告と孤独

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 今日も何度目かの中間発表会の日を向かえ、最初の中間発表会以降各人とも将来の事を見据えてクエストを選ぶようになり、それぞれ一貫した内容となっていたのでハインリヒ先生も満足していた。

 そして中間発表会の後僕はある人の所へ向かった。「失礼します、マックス先生」「おぉレックス君、何だね?」「月間の報告をしにきました」「そうか」と言って月に一度のマックス先生への報告をしに来たのだった。

 そして今月完了させたクエストの依頼書をマックス先生に渡した。

「確かにハインリヒ先生から話があったように、海人族からのクエストが多いな」「はい。ギルドの配慮もあり結果的にそうなってしまいまして」「まぁそれは別に構わないがな。それだけ海人族の人達から信頼されているというわけだから。それに、その合間にもAランクやBランクのクエストもこなしているしな」「ありがとうございます」マックス先生から誉められたのだが、この後事態が大きく動く事となった。


「ところでレックス」「はい」「ひとつ聞くが、この中で君1人だけで完了させたクエストはいくつあるんだ?」「えっ? 1人だけで?」「そうだ。”他の者“やの力を借りずに完了させたクエストだ」とマックス先生から尋ねられた。

(生き物······はっ!)そこでようやくマックス先生がベアーズの手助け無しに完了出来たクエストが有るのか聞いているのだと理解した。

「そ、それは······」「どうした? 1つも無いのかね?」「いえ、あるにはあるのですが······ディ、Dランクのクエストを2、3個だけで」「そうか」さすがに正直に答えるしかなく、実際Dランクでベアーズが付いて来られない場所で行ったクエストが2、3個だけあった。

 しかしその事でマックス先生から特に何も言われはしなかったのだが、「まぁ今は別に構わないだろうが、お前、いつまでベアーズと一緒にいるつもりでいるんだ?」「い、いつまで?」突然マックス先生からそう質問され驚いた。

「養成学校を卒業して騎士団に入団する時どうなるかは分からないが、それでもいつまでも一緒にいるわけにはいかんだろ?」言われてみれば、確かにそうだ。

「そこまでは今まで考えた事なかったみたいだな」「は、はい」痛い事を突かれてしまった。

 そして、「そこでレックス、私から君に課題を与える」「課題?」「これから1ヶ月間、ベアーズの力を借りる事を一切禁止する」

「べ、ベアーズの力を?」「そうだ」マックス先生からの思いがけない課題提案に一瞬戸惑った。

「出来ないのかね?」「いえ、そんな事は······」現にDランクであれ最近も1人で完了出来てるクエストはあるし、休暇前試験の実技試験は1人で完了出来ていたし······。

「ではそのようにこれから1ヶ月頑張りたまえ」「はい。失礼します」と言ってマックス先生の下を離れた。

(これから1ヶ月、ベアーズの力を借りずに、か)と考えながらベアーズの所に向かっていた。


 そしてベアーズのいるスペースに着いたところでベアーズをじっと見た。その僕の様子にベアーズも不思議がった。

 そして「ベアーズ、今日マックス先生から1ヶ月お前の力を借りる事を禁止させられたんだ」と伝えたらベアーズは首を傾けた。

「つまり、お前とは暫く昼間には付き合えないんだよ」と言ったらベアーズはその直後突然スペースを抜け出し、どこかへ向かって歩き出したのだ。

(ベアーズ)僕はその姿をただ見続けるだけしか出来なかった。

(しょうがないよな。確かにいつまでもあいつの力を借りてはいられないもんな)と思い直してギルドへクエストを探しに行った。

 何とかレナさんから渡された海人族からのクエストがDランクだった事もあり、1人でクエストを完了させる事が出来てベアーズを迎えに来たがまだ帰って来てなかった。

(どうしたんだろう? あいつ)と思いながらもその場を離れた。しかしその行き先はすぐに判明するのだった······。


 結局あれからベアーズに会うことが出来ずに取り敢えず食堂で夕ご飯を食べることにした。

 夕ご飯を食べていたら「レックス!」アリスが声を掛けてきた。

「やぁ、アリス」「ねぇレックス、ベアーズと何かあったの?」「な、何で?」突然アリスからベアーズの名前が出て聞き返した。

「昼間私の部屋へ突然やって来てそのまま居座っちゃったのよ。レックスの所に帰らないの? って聞いてもそっぽ向いちゃって」と言ったところで、ガツン! と顔を目の前の机に突っ伏した(あ、あいつめぇ。アリスの所に行ってやがったのかぁ······)。

「ど、どうしたの? レックス」と聞いてきたので、「いや、実は······」マックス先生からの課題の事を話した。

「そういう事だったのね」「うん。だから1ヶ月間はベアーズとは付き合わない事にしたんだ」

「じゃあ、1ヶ月間は私がベアーズを預かってた方が良さそうね」「そうしてもらえると有り難いよ」と言ったら、「やったぁ!」とアリスは喜んだ。

「ア、アリス?」「だって私達のクエストは何かの採集とか物の運搬関連が多いから、ベアーズがいると早く終われそうだし、安心して出来そうだもん!」と言ったので、呆れながら「あ、そう」と答えた。 

(まぁ、お互い大丈夫そうだな)と思いながら食事を続けたのだった······。
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