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第16章 閑話
第95話 決断~メリッサ・アッシュ~
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アッシュが目の前のメリッサが本物なのかロストフォレスマタンゴなのか迷っている一方、メリッサも茂みの中でアッシュと一瞬手を離してしまったかと思ったら、再び手を握ってくれたのでそのまま茂みを出て暫く森の中を歩いた。
「全然見つからねぇな」アッシュがそう言い出したので私も「そうね」と答えた。
すると突然「なあ、もしかして本当はそんな木なんて無いんじゃないか?」「えっ?」アッシュがそんなことを言い出した。
「無いんじゃって、マザーが私達に嘘を言ったっていうの?」「嘘かどうかは分かんねぇだろ。マザーだって実際に見たわけじゃあなく、恐らくどっかで誰かから聞いただけだろうから」「なら······」
すると「そんなにもマザーの事を信じているのか? 俺よりも」「アッシュ?」突然アッシュがそんなことを言い出して私は驚いた。
「メリッサ、お前マザーと知り合ってまだほんの数ヵ月だよな? それに比べて俺とは1年以上の付き合いだよな? それなのに、俺の言うことよりマザーの言うことを信じるのかよ」
「そんなつもりは」「じゃあどんなつもりなんだよ!」私の返答にしびれを切らしたのかアッシュが語気を強めてそう言ってきた。
「アッシュ、どうしちゃったの?」「別にどうもしてないさ。これが俺の本来の姿だよ。お前がこれまで俺の事をどう思ったり見てたかは知らねぇけどな」私の疑問にアッシュがそう淡々と答えた。
「それで。俺とマザー、どっちの事を信じるんだよ?」「······」さすがにどちらも選べず、黙るしかなかった。
すると「今度はだんまりか。そんなんだから1年の時男達にすぐ言い寄られてたんだろ!」「っ!?」1年のあの頃の事を言われ、流石に私も反応をした。
「あの時だって、嫌なら嫌とハッキリ断ったり、話し掛けてくるなと言ってやれば男達だってすんなり諦めたんじゃねぇのかよぉ!」また語気を強めてそう言ってきた。
この頃から私は(ひょっとして、ロストフォレスマタンゴの変装?)目の前のアッシュがロストフォレスマタンゴが変装した姿ではないかと思い始めた。
(なら······)そう思って私は目の前のアッシュに「ねぇ、アッシュ」「何だよ、メリッサ」「あの頃、私あなたにも優柔不断な態度をとっちゃってたわよね?」と尋ねた。
するとアッシュは「ああそうだ。それで何度イライラさせられたことか」と答えたが、それを聞いて私は確信した。
「で結局俺とマザー、どっちを······」ぎゅっ「っ!?」アッシュがまた自分とマザーのどっちを信じるのかと聞き終わる前に私は目の前のアッシュを抱き締めた。
「メ、メリッサ?」「もちろん、アッシュもマザーもどっちも信じるわ。ただし······」「ただし?」
そこで私はアッシュを見つめ「本物の、アッシュやマザーをね」と告げた。
「っ!?」その返答に偽アッシュは驚き、「どうして、分かった?」と私に尋ねた。
「確かにあの頃、私は色んな男の人達に言い寄られてもすぐに返答をしなかったり出来なかった時があったわ。でも、アッシュとのやり取りでは一度だってそんな態度をとったことが無かったから、さっきのような事を本当のアッシュが言うはず無いのよ」
「じゃあ、さっき俺にあんなことを聞いた時には俺が偽物だと気付いていたのか?」と聞かれて私は笑顔で「うん」と答えた。
そんな私の姿を見て偽アッシュは穏やかな顔になり、そして正体(ロストフォレスマタンゴの姿)を現した直後にスゥっと私の目の前から消えたのだった······。
その一連の出来事を見終えて私はアッシュを探しに森の中へと入って行った······。
その頃、俺は未だに目の前のメリッサが本物なのかロストフォレスマタンゴなのか迷い続けていた。
(どっちなんだ?)すると目の前のメリッサは「どうしたのアッシュ? 刺さないの?」「ぐっ!」「ロストフォレスマタンゴだと思ってるんでしょ? なら刺さないとアッシュが危険に陥るんじゃない?」「そ、それは······くっ!」俺はとうとう地面に伏してしまった。
(ど、どうすれば······)そう思った時、ふとある事に気付き目の前のメリッサに尋ねた。
「······なぁ、メリッサ」「何? アッシュ」「じゃあお前は、マザーの言ったことを信じてないってことか?」と聞いたら「そうね」と答えた。
「そうか······」その瞬間、ズバッ!「えっ?」何の躊躇いもなく俺は目の前のメリッサを切り捨てた。
「な、何故?」メリッサの姿から元のロストフォレスマタンゴの姿に戻りながらそう聞いてきた。
「残念だったな。あいつは一度だってマザーの言ったことを信じなかったことは無いんだよ!」と告げたら「そ、そうだった······か」そこまで言ってロストフォレスマタンゴは息絶えた。
(ふぅ。危なかったぜ)ロストフォレスマタンゴを倒せて一息ついたその時、ガサガサッ! ビクッ! すぐ近くの茂みが急に揺れたので驚き身構えた。
するとそこから「アッシュ!」メリッサが出て来たのだ。
「メリッサ?」と問いかけるように反応したら笑みを浮かべてこっちに近寄って来た。
「アッシュも惑わされたんだね?」「メリッサもか?」「うん」「······そっか」と答えたところでメリッサが手を握ってきてくれて「先に進もうか?」「······あぁ」と答えて再び森の奥に進んだ。
それから少し進んだところでようやく大きな木が見え、その木に何かが実っているのが分かったので近付いたら、「あった!」びっくりバナナとビッグアップルがたくさん木に実っていた。
「ようやく見つけられたな」「うん!」そうして俺達はびっくりバナナとビッグアップルを5つずつ取って帰路に着いた。
その道中「ねぇ、アッシュ」「何だ? メリッサ」「本当に最近、何を悩んでいるの?」メリッサからそう聞かれて「······実は」ブラックスコーピオン討伐の一件から、どんな事もあと一歩を踏み込めないでいることを話した。
「確かに、あの時はそうだったわね」「あぁ。だからどんな事に対してもこの判断は正しいのかと迷ったりしてどうしても躊躇ってしまうんだ」と伝えたところで少し沈黙が続いた。
するとメリッサが、「でもアッシュ」「ん?」「結果的には間違ったって事にはなったけど、それまでは皆アッシュの指示を信じて疑わずにいたんでしょ?」「ああ」「なら、それがその時には正しかったって事なのよ」「でも······」
「それに」「それに?」「アッシュの悩んでいる事は、結果が分かったから悩める事でしょ?」「っ!」「それはどんな事にでも言えることじゃないかしら?」「ああ、そうだな」
「だから、その時その時最善だと判断した事を自信もってすれば、周りの皆も従ったり協力してくれるはずよ」と答えてくれた。
「······ありがとう。メリッサ」「うん!」と言ってメリッサは笑みを浮かべた。
そうして会話が一段落するのを待っていたと言わんばかりに、会話が終わったところで迷いの森を抜けれた。
その後王都に戻ってマザーに食材を渡して報酬をもらい、それをすぐ神父様に渡して寄宿舎に向かった。
「終わったな」「そうね」「······メリッサ」「ん? 何?」「今日は色々ありがとな」「良いのよ、別に。そ・の・か・わ・り」「そのかわり?」
後ろを振り向き満面の笑みを浮かべてメリッサは、「今から1週間アッシュとは一切口をきかないから」と言ってきた。
「······え゛っ??」「だってあんなにも彼女が本物か偽物か判断出来ない彼氏とは付き合いたくないもん」「いや、あ、あれは······」「それじゃあねぇ」とメリッサはまた歩き出した。
「いや、ちょ、ちょっと待ってくれよメリッサ」「······」「なぁ、メリッサ」「······」「ホントに口をきかないつもりかよ!」「······」「そ、そんなぁ······」と俺は顔を項垂らせた。
メリッサは振り返ってそんな俺の姿を見たところで、クスッと笑ってまた前を向き、(一度くらいこういう事もしておかないとね)と思ったそうだ······。
それ以来俺はまた······「没収!」とか「おい、そこ!」とか「何をやっている!······そうだったか。すまんな疑って」などと以前のような雰囲気で風紀委員の活動を行いだし、一般の生徒からはもちろん、他の風紀委員やフレッドにボブ、さらにはレックスにまで若干恐れられたのだった······。
ちなみに、メリッサは本当にあれから1週間俺とだけ一切口をきいてくれなかった······。
「全然見つからねぇな」アッシュがそう言い出したので私も「そうね」と答えた。
すると突然「なあ、もしかして本当はそんな木なんて無いんじゃないか?」「えっ?」アッシュがそんなことを言い出した。
「無いんじゃって、マザーが私達に嘘を言ったっていうの?」「嘘かどうかは分かんねぇだろ。マザーだって実際に見たわけじゃあなく、恐らくどっかで誰かから聞いただけだろうから」「なら······」
すると「そんなにもマザーの事を信じているのか? 俺よりも」「アッシュ?」突然アッシュがそんなことを言い出して私は驚いた。
「メリッサ、お前マザーと知り合ってまだほんの数ヵ月だよな? それに比べて俺とは1年以上の付き合いだよな? それなのに、俺の言うことよりマザーの言うことを信じるのかよ」
「そんなつもりは」「じゃあどんなつもりなんだよ!」私の返答にしびれを切らしたのかアッシュが語気を強めてそう言ってきた。
「アッシュ、どうしちゃったの?」「別にどうもしてないさ。これが俺の本来の姿だよ。お前がこれまで俺の事をどう思ったり見てたかは知らねぇけどな」私の疑問にアッシュがそう淡々と答えた。
「それで。俺とマザー、どっちの事を信じるんだよ?」「······」さすがにどちらも選べず、黙るしかなかった。
すると「今度はだんまりか。そんなんだから1年の時男達にすぐ言い寄られてたんだろ!」「っ!?」1年のあの頃の事を言われ、流石に私も反応をした。
「あの時だって、嫌なら嫌とハッキリ断ったり、話し掛けてくるなと言ってやれば男達だってすんなり諦めたんじゃねぇのかよぉ!」また語気を強めてそう言ってきた。
この頃から私は(ひょっとして、ロストフォレスマタンゴの変装?)目の前のアッシュがロストフォレスマタンゴが変装した姿ではないかと思い始めた。
(なら······)そう思って私は目の前のアッシュに「ねぇ、アッシュ」「何だよ、メリッサ」「あの頃、私あなたにも優柔不断な態度をとっちゃってたわよね?」と尋ねた。
するとアッシュは「ああそうだ。それで何度イライラさせられたことか」と答えたが、それを聞いて私は確信した。
「で結局俺とマザー、どっちを······」ぎゅっ「っ!?」アッシュがまた自分とマザーのどっちを信じるのかと聞き終わる前に私は目の前のアッシュを抱き締めた。
「メ、メリッサ?」「もちろん、アッシュもマザーもどっちも信じるわ。ただし······」「ただし?」
そこで私はアッシュを見つめ「本物の、アッシュやマザーをね」と告げた。
「っ!?」その返答に偽アッシュは驚き、「どうして、分かった?」と私に尋ねた。
「確かにあの頃、私は色んな男の人達に言い寄られてもすぐに返答をしなかったり出来なかった時があったわ。でも、アッシュとのやり取りでは一度だってそんな態度をとったことが無かったから、さっきのような事を本当のアッシュが言うはず無いのよ」
「じゃあ、さっき俺にあんなことを聞いた時には俺が偽物だと気付いていたのか?」と聞かれて私は笑顔で「うん」と答えた。
そんな私の姿を見て偽アッシュは穏やかな顔になり、そして正体(ロストフォレスマタンゴの姿)を現した直後にスゥっと私の目の前から消えたのだった······。
その一連の出来事を見終えて私はアッシュを探しに森の中へと入って行った······。
その頃、俺は未だに目の前のメリッサが本物なのかロストフォレスマタンゴなのか迷い続けていた。
(どっちなんだ?)すると目の前のメリッサは「どうしたのアッシュ? 刺さないの?」「ぐっ!」「ロストフォレスマタンゴだと思ってるんでしょ? なら刺さないとアッシュが危険に陥るんじゃない?」「そ、それは······くっ!」俺はとうとう地面に伏してしまった。
(ど、どうすれば······)そう思った時、ふとある事に気付き目の前のメリッサに尋ねた。
「······なぁ、メリッサ」「何? アッシュ」「じゃあお前は、マザーの言ったことを信じてないってことか?」と聞いたら「そうね」と答えた。
「そうか······」その瞬間、ズバッ!「えっ?」何の躊躇いもなく俺は目の前のメリッサを切り捨てた。
「な、何故?」メリッサの姿から元のロストフォレスマタンゴの姿に戻りながらそう聞いてきた。
「残念だったな。あいつは一度だってマザーの言ったことを信じなかったことは無いんだよ!」と告げたら「そ、そうだった······か」そこまで言ってロストフォレスマタンゴは息絶えた。
(ふぅ。危なかったぜ)ロストフォレスマタンゴを倒せて一息ついたその時、ガサガサッ! ビクッ! すぐ近くの茂みが急に揺れたので驚き身構えた。
するとそこから「アッシュ!」メリッサが出て来たのだ。
「メリッサ?」と問いかけるように反応したら笑みを浮かべてこっちに近寄って来た。
「アッシュも惑わされたんだね?」「メリッサもか?」「うん」「······そっか」と答えたところでメリッサが手を握ってきてくれて「先に進もうか?」「······あぁ」と答えて再び森の奥に進んだ。
それから少し進んだところでようやく大きな木が見え、その木に何かが実っているのが分かったので近付いたら、「あった!」びっくりバナナとビッグアップルがたくさん木に実っていた。
「ようやく見つけられたな」「うん!」そうして俺達はびっくりバナナとビッグアップルを5つずつ取って帰路に着いた。
その道中「ねぇ、アッシュ」「何だ? メリッサ」「本当に最近、何を悩んでいるの?」メリッサからそう聞かれて「······実は」ブラックスコーピオン討伐の一件から、どんな事もあと一歩を踏み込めないでいることを話した。
「確かに、あの時はそうだったわね」「あぁ。だからどんな事に対してもこの判断は正しいのかと迷ったりしてどうしても躊躇ってしまうんだ」と伝えたところで少し沈黙が続いた。
するとメリッサが、「でもアッシュ」「ん?」「結果的には間違ったって事にはなったけど、それまでは皆アッシュの指示を信じて疑わずにいたんでしょ?」「ああ」「なら、それがその時には正しかったって事なのよ」「でも······」
「それに」「それに?」「アッシュの悩んでいる事は、結果が分かったから悩める事でしょ?」「っ!」「それはどんな事にでも言えることじゃないかしら?」「ああ、そうだな」
「だから、その時その時最善だと判断した事を自信もってすれば、周りの皆も従ったり協力してくれるはずよ」と答えてくれた。
「······ありがとう。メリッサ」「うん!」と言ってメリッサは笑みを浮かべた。
そうして会話が一段落するのを待っていたと言わんばかりに、会話が終わったところで迷いの森を抜けれた。
その後王都に戻ってマザーに食材を渡して報酬をもらい、それをすぐ神父様に渡して寄宿舎に向かった。
「終わったな」「そうね」「······メリッサ」「ん? 何?」「今日は色々ありがとな」「良いのよ、別に。そ・の・か・わ・り」「そのかわり?」
後ろを振り向き満面の笑みを浮かべてメリッサは、「今から1週間アッシュとは一切口をきかないから」と言ってきた。
「······え゛っ??」「だってあんなにも彼女が本物か偽物か判断出来ない彼氏とは付き合いたくないもん」「いや、あ、あれは······」「それじゃあねぇ」とメリッサはまた歩き出した。
「いや、ちょ、ちょっと待ってくれよメリッサ」「······」「なぁ、メリッサ」「······」「ホントに口をきかないつもりかよ!」「······」「そ、そんなぁ······」と俺は顔を項垂らせた。
メリッサは振り返ってそんな俺の姿を見たところで、クスッと笑ってまた前を向き、(一度くらいこういう事もしておかないとね)と思ったそうだ······。
それ以来俺はまた······「没収!」とか「おい、そこ!」とか「何をやっている!······そうだったか。すまんな疑って」などと以前のような雰囲気で風紀委員の活動を行いだし、一般の生徒からはもちろん、他の風紀委員やフレッドにボブ、さらにはレックスにまで若干恐れられたのだった······。
ちなみに、メリッサは本当にあれから1週間俺とだけ一切口をきいてくれなかった······。
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