落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

文字の大きさ
上 下
93 / 224
第16章 閑話

第93話 夢〜メリッサ・ローテン〜

しおりを挟む
 ある休日の朝、養成学校寄宿舎に設けられた自室に朝日が射し込んできて私、メリッサ・ローテンはいつもの様に気持ちよく目を覚ましました。

 ベッドから起きて着替えた後に食堂で朝食を今日は1人で食べ、食べ終えた後にそのまま寄宿舎を出て王都の中にある孤児院に向かいました。


 孤児院の前に着いたら「あっ、お姉ちゃーーん!!」孤児院の子供達が走り寄って来ました。

「あそぼー! あそぼー!」「きょうはいつまでいるの?」「ワー! ワー!」皆がいつものように大騒ぎで迎えてくれました。

「フフフッ、ハイハイ皆、まずはマザーのお手伝いをしに行かせてね」と諭すように言うと、「チェー」「ハーイ」いつもの返事でマザーの所に行かせてくれました。


「おはようございます、マザー」「あぁメリッサさん、おはようございます」2人で挨拶を交わした後、いつものように子供達が寝ていた布団干しや着替えたパジャマの洗濯を手伝いました。    

 それらを終えたところで皆の所に行って遊んだり、最近実施するようにしたお勉強などを行いました。

 そしてお昼近くになったので昼食の準備をマザーや女の子達と行い、皆で昼食を食べました。 

 その後は1、2時間お昼寝をするのでその間にジニー神父様とお話をする事にしています。

 今日も神父様のいる教会に一番年齢の低い男の子を抱え(どうしても私が近くにいないとぐずって寝ないので)てお話をしに来ました。


「神父様」「あぁ、メリッサさん。今日もお疲れ様です」「いいえ。もう日課のようになりましたから」そう言って2人で一番前の椅子に並んで座りました。

「それにしましても、あなたがこの孤児院に関わりだしてもうどれ位経ちましたかねぇ?」「確か、2、3ヶ月位経つと思います」「もうそんなにも経ちますか」「えぇ」

 2、3ヶ月くらい前、夏季休暇に入る前からレックス君が神父様に言われて直接寄付を渡しに孤児院へ訪れていて、何度もレックス君が訪れた後それに私達も付いて行ったのが始まりでした。

 いつものレックス君がいたから皆私達を見ても緊張することなくすぐ打ち解けて私やアリスちゃんは皆と遊び出しました。

 その後も皆とまたはレックス君と2人で訪れ、少し前からは休日の1日は1人で訪れてマザーや神父様のお手伝いをするようにもなりました。


「今では本当に皆一番あなたに懐いているみたいですからねぇ。特にその子は」と言って私が抱いている子に目線を向けました。

「えぇ、本当にそうですね。前にレックス君が1人で寄付を届けに来た時『お姉ちゃんは?』ってしつこく聞かれたと言っていましたから」「ハハハ。レックス君には申し訳ないですね」と楽しく談笑していました。


「でも、前にも言いましたが今は本当に幸せだと思っています。この子達と付き合え出した事もそうですし、アッシュと恋人になれた事も」

「そうですか。本当にレックス君も喜ぶ事でしょう。それに、アッシュ君と今回は付き合えるようになり、それが縁でレックス君と、また私達とも付き合えるようになったのも何か意味があるのかもしれませんねぇ」

「······実は神父様」「はい?」「この子達や神父様達と接する事になるのは、前から知っていたんです」

「えぇ? それはどうして······」「去年の夏季休暇にレックス君とハウル様の家に訪れた時の事です······」


 あの頃アリスちゃんに訪れる運命を変えるために海人族に伝わる命の石を手に入れる過程で、数日ハウル様の家に滞在しなければならなくなった。

 その時、頂上への洞窟内にある赤い扉に呼ばれた気がしたのでハウル様と共に訪れ、扉を開けて中に入ったらあの水晶玉が置かれている部屋に出た。

 そして水晶玉に手を置いたら上空に映像が映し出され、そこには私が多くの子供達と接している姿がいくつもの映像に映されていた。

 映像に映された私や子供達はそれぞれ年齢や相手が違うのは分かったのですが、恐らく私が年を取っていくにつれてその時の子供達と付き合うのだと理解出来た。


 その事を説明したら、「そうでしたか。あの運命の洞窟に」「はい。神父様もご存知だったのですね?」

「えぇ。私は一度も入った事はありませんでしたが、ハウル様からお話は伺っていましたので」「その事があって今年に入りレックス君が孤児院へ寄付をするという話を聞いた事で、あの時の映像が現実となるのではと思いだしましたから。それに······」

「それに?」「その事で正直将来の夢も持てるようになりましたし」「夢、ですか?」 


「はい。······将来はこの孤児院でないにしても、子供達を直接助けていけるような仕事に関わりたいと思うようになりました」「そうですか。確かに子供達の手助けとなる仕事はいくらでもあるはずですから、頑張って下さい」

「はい!」と言い終えたところで抱いていた男の子が起き出したみたいで、腕の中で動き出した。

「時間みたいですね。では皆の所へ戻りますか」「はい!」そうして神父様と教会を後にしました。

 その後も子供達と少しの間遊んだ後に孤児院を後にして寄宿舎へ帰りました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

野生子グマの人生変転記

きこうダきこう
ファンタジー
「それじゃあ今日からコイツの事を······子グマだから"ベアーズ"って呼ぶ事にしよう、アッシュ兄ちゃん」「ハハッ。そうだな、レックス」  ある森に父ちゃんと暮らしていたボクは、ヒトが仕掛けていたワナによってケガをして動けなくなってしまった。そうしてうずくまっていたボクの所に来てケガを治してくれたのもヒトの子供達だった。そしてケガが治って自由にまた動き回れるようになった事でボクはケガを治してくれたその子供達、とりわけ皆から"レックス"って呼ばれている子を気に入った。  それからレックスが森に来る度にボクはレックスの傍に寄り、ついには彼が住んでいる"ムラ"の中にまで付いて行ったりした。そうした事もあってレックス達はボクや父ちゃんに名前を付けてくれたのだ。  けれども、ある時レックスは森から遠く離れた所にある"ガッコウ"って所に行くため森を離れてしまったのだった。  レックスに会えなくなって寂しがっていたんだけど、そのレックスがまた森に帰ってきた! と思ったらそのガッコウの用事でボクの力を一時的に借りに来ただけだった。  その用事が終わったらまたレックスと離ればなれに······そんなのイヤだ! そう思ったとたんボクはレックスの背中にしがみつき、絶対に離れまいとしたのだった。  そのボクの思いが通じて······レックスが行っているガッコウでレックス達と一緒に過ごせれるようになったのだった······。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...