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第15章 成長
第83話 図書委員3~オリバー・クンツェン~
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今日は新学期になって最初の図書委員の担当日だ。早速授業終了後図書室に向かい仕事を行った。
少ししてピエールがやって来た。どうやら新学期になってから毎日来ていたみたいで、今日は僕とお姉ちゃんが担当の日という事でカウンター近くの席でいつもの鉱石分布録を読み出した。
暫くしてそのピエールに1人の男子生徒が近付き、「図書室に毎日通っているってのは、本当だったようだな! ピエール!」と話し掛けた。
話し掛けられたピエールは体をビクッとさせてゆっくり後ろを振り返った後「オ、オリバー兄さん」と話し掛けた人物をそう呼んだ(兄さん?)。
「(お姉ちゃん。あの人は?)」「(ピエール君の2番目のお兄さんで、3年生のオリバー・クンツェン君よ)」僕の質問にお姉ちゃんが答えてくれた。
「よくこんな本を読んでる余裕があるなぁ!」と言ってピエールの読んでいた鉱石分布録を取り上げた。
「あっ!」「こんな本が何の役に立つって言うんだ? こんなのを読む暇があったら特訓部屋で武器の特訓をしに行ったらどうなんだ!」と言って本を机に叩き置いた。
「だからこの間の試験で昇格出来なかったんだろうが! このクンツェン家のお荷物が!」(お荷物!?)
「そ、そんな······」「兄さんも養成学校で1年からずっとSクラスで、今では騎士団の中ででも地位のある位置にいて、俺も1年はAクラスだったが2年からはSクラスになったが、お前はどうだ。入学時にDだと? 今までクンツェン家からBより下となった者は1人もいなかったのにな! しかもDになったにも関わらず、成績を上げるよう努力するどころか図書室に籠って読書だぁ? おまけに読んでるのがこんな本とはな!」と鉱石分布録を指した。
「どんだけクンツェン家を貶めるつもりなんだ?」と言ったところで流石に黙っていられず、オリバー・クンツェンに文句を言おうとした。
その時、「そこまでだ、オリバー・クンツェン!」「何ぃ?」「あっ」図書室の入り口付近に兄ちゃんがいてオリバーに声を掛けた。
「アッシュ」「アッシュ・ハーメルン」お姉ちゃんとオリバーが兄ちゃんに声を掛けた。
「それ以上図書室内で騒ぐというのであれば、風紀委員長として処罰させてもらうぞ!」とオリバーに伝えた。
「ちっ、分かりましたよ。アッシュ"風紀委員長"様。いいな! ピエール」と言ってオリバーは図書室を去った。
「ありがとう、アッシュ」「なに、たまたま図書室の前を通り掛かった時、中から騒々しい声が聞こえたから風紀委員長として黙っていられなかっただけだ」お姉ちゃんに言われてそう兄ちゃんは答えた。
けど、(たまたま、ねぇ)と思いながら時計を見たら、もう図書委員の仕事を終える時間となっていた。
(どうせお姉ちゃんを迎えに来て遭遇したんでしょ)と思いながらもピエールの方を見た。ピエールは未だに席で項垂れたままでいた。
(ピエール)僕が心の中でピエールを心配していたら、お姉ちゃんがピエールの傍に寄って「ピエール君、部屋に帰ろっか」と声を掛け、ピエールも無言で席を立った。
「後の事はお願いね、レックス君」「うん」お姉ちゃんと兄ちゃんはピエールと共に図書室を出て行った。
残った僕は鉱石分布録を棚に戻し、一通り図書室を見回りながら(クラスかぁ。クラスや地位が高いのがそんなに偉いのかなぁ······)と考えながら、これまで出会ったそれぞれの組織などの中での地位が高い人達の事を思い返していた。
エルフの里の長のヨートス様に海人族の国王様、エルフの国の国王のフィンラル様、それに同じ4大貴族の子供であるメリッサお姉ちゃんにSクラスの兄ちゃん······。
お姉ちゃん以外は全員それぞれの組織の中で地位が最も高い位置にいる人達だけど、オリバーのように全然威張っている感じはなかった。それどころか他の人達と同じ様に他人と付き合っていた。
(やっぱり、別にクラスや地位の問題じゃあないはずだ)けど、オリバーの言うことを覆す方法が無いのも事実だ。その方法を見つけられれば······。などと思いながら図書室を出た。
少ししてピエールがやって来た。どうやら新学期になってから毎日来ていたみたいで、今日は僕とお姉ちゃんが担当の日という事でカウンター近くの席でいつもの鉱石分布録を読み出した。
暫くしてそのピエールに1人の男子生徒が近付き、「図書室に毎日通っているってのは、本当だったようだな! ピエール!」と話し掛けた。
話し掛けられたピエールは体をビクッとさせてゆっくり後ろを振り返った後「オ、オリバー兄さん」と話し掛けた人物をそう呼んだ(兄さん?)。
「(お姉ちゃん。あの人は?)」「(ピエール君の2番目のお兄さんで、3年生のオリバー・クンツェン君よ)」僕の質問にお姉ちゃんが答えてくれた。
「よくこんな本を読んでる余裕があるなぁ!」と言ってピエールの読んでいた鉱石分布録を取り上げた。
「あっ!」「こんな本が何の役に立つって言うんだ? こんなのを読む暇があったら特訓部屋で武器の特訓をしに行ったらどうなんだ!」と言って本を机に叩き置いた。
「だからこの間の試験で昇格出来なかったんだろうが! このクンツェン家のお荷物が!」(お荷物!?)
「そ、そんな······」「兄さんも養成学校で1年からずっとSクラスで、今では騎士団の中ででも地位のある位置にいて、俺も1年はAクラスだったが2年からはSクラスになったが、お前はどうだ。入学時にDだと? 今までクンツェン家からBより下となった者は1人もいなかったのにな! しかもDになったにも関わらず、成績を上げるよう努力するどころか図書室に籠って読書だぁ? おまけに読んでるのがこんな本とはな!」と鉱石分布録を指した。
「どんだけクンツェン家を貶めるつもりなんだ?」と言ったところで流石に黙っていられず、オリバー・クンツェンに文句を言おうとした。
その時、「そこまでだ、オリバー・クンツェン!」「何ぃ?」「あっ」図書室の入り口付近に兄ちゃんがいてオリバーに声を掛けた。
「アッシュ」「アッシュ・ハーメルン」お姉ちゃんとオリバーが兄ちゃんに声を掛けた。
「それ以上図書室内で騒ぐというのであれば、風紀委員長として処罰させてもらうぞ!」とオリバーに伝えた。
「ちっ、分かりましたよ。アッシュ"風紀委員長"様。いいな! ピエール」と言ってオリバーは図書室を去った。
「ありがとう、アッシュ」「なに、たまたま図書室の前を通り掛かった時、中から騒々しい声が聞こえたから風紀委員長として黙っていられなかっただけだ」お姉ちゃんに言われてそう兄ちゃんは答えた。
けど、(たまたま、ねぇ)と思いながら時計を見たら、もう図書委員の仕事を終える時間となっていた。
(どうせお姉ちゃんを迎えに来て遭遇したんでしょ)と思いながらもピエールの方を見た。ピエールは未だに席で項垂れたままでいた。
(ピエール)僕が心の中でピエールを心配していたら、お姉ちゃんがピエールの傍に寄って「ピエール君、部屋に帰ろっか」と声を掛け、ピエールも無言で席を立った。
「後の事はお願いね、レックス君」「うん」お姉ちゃんと兄ちゃんはピエールと共に図書室を出て行った。
残った僕は鉱石分布録を棚に戻し、一通り図書室を見回りながら(クラスかぁ。クラスや地位が高いのがそんなに偉いのかなぁ······)と考えながら、これまで出会ったそれぞれの組織などの中での地位が高い人達の事を思い返していた。
エルフの里の長のヨートス様に海人族の国王様、エルフの国の国王のフィンラル様、それに同じ4大貴族の子供であるメリッサお姉ちゃんにSクラスの兄ちゃん······。
お姉ちゃん以外は全員それぞれの組織の中で地位が最も高い位置にいる人達だけど、オリバーのように全然威張っている感じはなかった。それどころか他の人達と同じ様に他人と付き合っていた。
(やっぱり、別にクラスや地位の問題じゃあないはずだ)けど、オリバーの言うことを覆す方法が無いのも事実だ。その方法を見つけられれば······。などと思いながら図書室を出た。
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