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第13章 依頼

第75話 寄付

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 休暇前試験も終わり夏季休暇まで数日という日のある朝、(ウーーーーーン)僕は部屋である袋を目の前にして唸っていた。

 そこに珍しくアリスが食事へ誘いに入って来てその光景を見てキョトンとした。

「何してるの?」と聞いてきたので、「もうすぐ夏季休暇になるんだけど、どうしようかと思って」と目の前の袋を指した。

「これって?」「頼み事のアルバイトで貯めた"例の計画"の軍資金だよ」「例の計画······あっ!」そう聞いてアリスもすぐに思い出した。

 例のーー孤児院の子達のために何かしてやりたいと考えてるのーー計画を······。

「大分貯まったのね。いくらぐらい貯まったの?」「多分5万Gぐらい」「5万!? 凄いじゃない!!」

「ほとんど兄ちゃんの報酬分なんだけどね」「あっ。そうなんだ」2人にバラしてからは兄ちゃんやアリスも協力してくれ、特に兄ちゃんはSクラスだけに報酬の高い頼み事も受けれるようだったのでどんどん貯まっていったのだ。

「取り敢えずお兄ちゃんとも相談したら?」「そうだね」と言って食堂に向かった。


 食堂に行ったら兄ちゃん達が既に食べていた。そしてお姉ちゃんが僕達に気付いて手を振って招いてくれた。

 席に着いて「遅かったな」と兄ちゃんが言ったので「例の軍資金を夏季休暇中どうしようかと考えてたの」「軍資金? あーあれか! いくら貯まったんだ?」「5万Gちょっと」「5万! 凄いな」「ほとんど兄ちゃんが稼いだんでしょ」「ん? そうだったっけ? それで、どうすんだ?」「だからそれを考えてたんだって!」全くぅ。

 などと言い合っていたら、「何の話?」お姉ちゃんが聞いてきたので計画の話をしたら、「やっぱりそうだったのね」と笑顔で答えた。

「やっぱりって?」兄ちゃんが聞き返した。僕達も同じ気持ちだった。

「レックス君から孤児院の話を聞いてて、それで今お金に困ってなさそうだからきっと孤児院のためなんじゃないかなって思っていたから」

「それじゃあ、自分で引き受けた頼み事に僕を誘ってくれてたのは、そのため?」と聞いたら「うん!」と笑顔で答えた。······お見それ致しました。

 それはともかく、「本当にどうしよう」「ああ」「そうね」僕達が食べながら考えている間、お姉ちゃんはそれ以降何も話さず、それでいて何かを考えていた。


 食べ終えて部屋に向かっている時「(レックス君)」お姉ちゃんが小声で僕に話し掛けてきた。

「ん?」僕が顔を向けると「(······)」(っ!)驚く事を言ってきて「じゃあ、後でね」と自分の部屋に向かった。

 そして学校が終わった後、部屋に戻ってお金の入った袋を担いで朝お姉ちゃんに言われたーー授業後袋を持って学校の正門に来てーー通り学校の正門に向かった。

 正門には既にお姉ちゃんがいて「じゃあ行こっか」と言って歩き出し僕も続いた。


 大分歩いた辺りで僕が「どこに行くの?」と聞いたら「私の実家よ」と答えた。

 その後「お城の中には生活に困窮している人達を何とかしようとしている部署があるみたいで、そこにそれを持ってって孤児院のために使って下さいと頼めば確実に孤児院のために使われるはずでしょ?」あ、確かにそうだ。

「でもお城へ直接行っても会わせてもらえないだろうから、お父様に紹介状を書いてもらってから行こうと考えて家に向かってるの。その時には実際にそれを見せた方がお父様にも信じてもらえてすぐ書いてもらえると思って、持ってきてもらったの」(そういう事ね)と話しているうちにお姉ちゃんの実家に到着した。

 着いてすぐ応接間に通してもらい、暫くしてお姉ちゃんのお父さんでありこの家の家主が現れた。

 そして僕の事を軽く紹介した後に例の計画について説明した。話を聞いてお姉ちゃんのお父さんは感動してくれてすぐに紹介状を書いてもらえた。

 そのままお姉ちゃんの実家を出て寄宿舎に戻り、お城へは後日その紹介状だけ持っていく事にしようと話し合った。


 後日僕とお姉ちゃんと(なぜか)兄ちゃん(も)とお城へ行って用件を伝えて紹介状を見せ中に案内してもらった。
 
 そして担当部署の担当者に説明して寄付の承諾を得てすぐにお金を持ってきて渡した。
 
 その後風の噂で孤児院への配給などが良い物になったと聞いたのだった······。


 その孤児院を運営している神父様はある時よりお城からの支給品が少し豪勢な物になった事に驚き、運んで来たお城の人に聞いて見たら、最近孤児院のために使ってくれと大金をお城に持って来た人がいるんだと話してくれた。

 その事を聞いて後々教会に入って神に感謝の祈りを捧げた。

(神様。どこの誰かは知りませんが、あなた様の使者と思われる方を遣わして頂きまして感謝致します)と祈っていると、「確かに神の使いかもしれんのぉ」という声が聞こえたので後ろを振り返ると、そこにはあのハウルがいた。

「あ、あなた様は!」「久しぶりじゃな、ジニーよ」そう言われたジニー神父はハウルの方に向き直して深くお辞儀をし、

「お久しぶりです。ハウル様」と泣きながら言い、「うん。数十年ぶりじゃな」「ハイ」と受け答えをした後、「ところで、先ほどの神の使いと申されたのは?」と尋ねた。

「うむ。此度の大金をお城に納めたのはのぉ、お主と同じ"タイムリターナー"何じゃよ」「何ですって!?」

 ハウルからの返答にジニーは大きく驚いた。

「しかもその者は前世でお主の孤児院に預けられ育てられた時期があったのじゃ」「そ、そうだったのですか」「じゃからこの孤児院のために何かしたいと思い続け、結果お金を寄付するという考えに至ったのじゃ」「······よく分かりました」

 そう答えた後、「あの、ハウル様」「ん? 何じゃ?」「お願いしたい事がございます」とジニーはハウルにをした······。


 その頃、僕はベアーズとじゃれ合いながら(もうお金も孤児院に寄付しちゃったし、流石に何回もこの手を使うわけにもいかないだろうから頼み事を受けるのはもういいかなぁ······)と思っていた。

 すると突然「続けるべきじゃぞ」という声が聞こえた。僕は驚いて声が聞こえた方を見たら、スゥッとハウル様が現れた。

「ハ、ハウル様!」「久しぶりじゃな」「は、はい。でも、どうしてここに?」「ちと旧友に会いに来たついでにのぉ」

 きゅ、旧友ってと思っていたら、「その旧友からお主に伝言じゃ」「えっ?」「これからもお世話を受けたお礼のための寄付をしたければ、直接私"神父"に渡すように、との事じゃ」

(っ!?)ど、どうして神父様がその事を知って······と思っていたら、最初にハウル様の所へ赴いた時確かーーわしも以前に1人だけ会うた事があってのぉーーと仰っていた。

 ということは、「ま、まさか、神父様が······」言葉を続けようとしたらハウル様が制した。

「それ以上は無しじゃ」「······はい」「今後もお互いその事は知らない者同士という事で通すんじゃぞ」

「分かり、ました」「うむ。ではな」と言ってハウル様は消えた。

 まさか、神父様がもう1人のタイムリターナーだったなんて······。

 そこまで思ったところでベアーズと見つめ合い、(よし!)こうして翌日以降も頼み事を引き受けていく事を決意したのであった······。
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