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第12章 新学年
第68話 合同授業~鉱山、VSハイトロル~
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翌朝になって早朝にバーミリアン先生がベアーズを連れて再度山の様子を確認しに行き、特にオークもトロルも見当たらず危険も感じられなかったのでサポート科が到着次第入山する事となった。
サポート科が着くまでは各ペア昨日の下見での内容などを確認し合っていて、僕もジャックとサポート科が採掘中の配置などを確認し合い、たまに昨日の事やこれまでの訓練ならびに魔物との戦いの事について聞かれたので答えて時間を過ごしていた。
暫くしてサポート科が保養所に到着して先生方が昨日の下見での内容を伝えていた。
少ししてからサポート科の先生と生徒らが驚いた顔をしていたので、恐らくハイオークの事が伝えられたんだろうと感じた。
その後バーミリアン先生が「全員出発準備をして外に集合だ!」と号令をかけられたので僕達は外に出た。
外に出たところでまず武力科とサポート科が今それぞれ2人1組状態になっているので、今後は4人チームで動くことになるのでその組み合わせが発表された。
僕とジャックは偶然にもアリスともう1人はオスターという亜人族の男の子とのチームとなった。
全てのチーム分けが発表されたところで、武力科とサポート科の先生方から改めて今回の授業の目的やら注意事項が伝えられた。
そして各チーム内での情報伝達とサポート科生徒の休憩時間として30分与えられ、30分後に出発する事になったので僕らはアリス達と合流した。
アリス達と合流して軽く自己紹介などをした後、昨日下見をした結果をアリス達に伝えた。
アリス達からはどんな鉱石があったり多かったのか聞いてきたので鉄鉱石や銅鉱石、黒鉛などを見掛けたと伝えた。
そして伝える事を一通り伝えてまだ時間が残っていたので、やはりあの事を聞いてきた。
「ねぇレックス、ハイオークをバーミリアン先生と2人で倒したって本当?」やっぱりな。
「うん。ベアーズもいたけどね。あと子供の頃一度オークを見掛けた事があったよね?」「うん。森の中でよね?」「あの時のオーク、実はハイオークだったみたいなんだ」「ウソ!?」などと話していたら時間となった。
そして昨日と同じバーミリアン先生を先頭に僕達のペア、近接攻撃が得意な生徒のいるペア、ここにサポート科の先生と生徒、遠距離攻撃が得意な生徒のペア、そして最後尾にスティーブン先生と並んで鉱山を登りだした。
今日はトロルだけでなくオークにも1匹も遭遇する事なく目的の採掘場所に辿り着いた。流石に初めて訪れたサポート科の生徒は全員が驚いていた。
「それじゃあ各自解散して採掘作業を始めるように。何かあれば近くの先生へ報告をするんだぞ!」と言われて各自解散して僕達も指定の場所に向かった。
場所に着いた所で早速アリスとオスターは採掘作業に取り掛かった。僕とジャックは事前に決めていた配置について周りを警戒し、そして······なぜかベアーズも僕の配置場所近くの地面を掘り出していた。
昨日はおとなしく周りを見回していたのに今日はなぜか所々の地面を掘っていたのだ。
(もしかして、昨日は下見だとわかっていたから大人しかったのかなぁ)と思いながらベアーズの動きも多少気にしていた。
暫くしてアリス達の採掘も順調に進んでいるみたいで、やはりこの辺りは鉄鉱石や黒鉛が多く採れ、たまに銅鉱石が採れるようであった。
他の場所では中には銀鉱石が採れた所もあったみたいで、一時周りが騒がしくなった時があった。
ちなみに、ベアーズの穴掘りでもやはりいくつかの鉱石(こちらは銅鉱石ばかり)が見つかったみたいでその都度僕に渡してきた。それを僕も合間を見てアリスやオスターに渡していた。
少ししてベアーズが今まで見つけた事のない金色に光った鉱石を僕に渡してきた。
何だろうと思ってアリスに聞こうとしたら、先生達が急にそわそわしだし、何か相談をしだした。
僕も先ほどの鉱石をポケットに閉まって様子を見ていた。
そのうち先生から「全員すぐに集合しろ!!」と号令がかかったのでアリスらも作業の手を止めて集合した。
その後先生からこの辺りに十数体のトロルの集団が近付いていると報告があった。
そのため作業は一時中断し、サポート科と武力科の少数はこの場から一時避難し、残りのメンバーでトロルを相手にする事となった。
僕やジャック、ロースはもちろんアイラやゲルガーらおなじみのメンバーは残る事となった。
今回は複数体相手となるため、流石に危険だと思いアリスにベアーズを預け一緒に避難させてもらう事にした。
そうしてサポート科らの避難が終了してすぐにトロルの集団が僕らのいた所に現れた。その雰囲気はまさにあの村近くの森で感じたものと一緒だった。
「ビビるな! まずは足を狙って動きを止めるんだ!!」バーミリアン先生の指示で足を狙って動きだした。
僕もジャックに「ジャック! 目の前の奴の右足を狙うよ!!」「わ、分かった!」と指示を出して目の前にいるトロル目掛けて向かって行った。
トロルが近付いてくる僕達に向かって棍棒を振り下ろしてきたが何とか避けた後、僕が短剣、ジャックが小剣で右足へ同時に斬り付けた。
斬り付けられたトロルは痛みに耐えかねてバランスを崩して倒れた。
(よし!)と思った直後、集中スキルの覚醒を発動させて弱点を探り、そこ(左の胸辺り)を短剣で刺して1匹倒す事が出来た。
「や、やったのかい?」「うん。弱点を突いたからね」「やった!」とジャックが喜んだが、「喜んでないで次行こう!」僕が別の奴を相手にするのを促したら「わ、分かった」と応じて他のトロルに向かった。
他のトロルも皆が必死に戦った事で次々と倒れていった。
あと数匹となったところで、突然昨日感じたのと似た大きな地響きが伝わってきた。
(この揺れは、まさか!?)と思ってその地響きの感じた方向を見たら、目の前のトロル達よりもサイズの大きいトロルーーハイトロルーーが現れた。
(あの時のと似た奴だ!)村を襲ってきたトロル達を倒していた時途中で現れたデカトロルの事を思い出していた。
ハイトロルを見て一瞬ビビってしまったけど、(あの頃とは何もかもが成長しているんだ!)そう気持ちを持ち直して僕はハイトロルに立ち向かい、それに呼応するかのように呆然としていた他の皆も僕に続いてハイトロルに立ち向かいだした。
ハイトロルも僕達に棍棒を振り下ろしてきたが全員間一髪避ける事ができ、多くがバランスを崩したが僕を始め数人は持ち堪えられたのでそのままハイトロルの足下に辿り着いて片足を一斉に攻撃した。
あまりの痛さにハイトロルも怯んで攻撃を行えなかった。
そのすぐ後に先ほどのハイトロルの攻撃でバランスを崩していた者が足下に辿り着いて反対側の足を一斉に攻撃した。流石に痛みに耐えかねてハイトロルは倒れだした。
倒れたところで集中スキルの覚醒を発動させて弱点を探り、そこ(やはり左の胸辺り)をみんなに知らせて一斉に攻撃を仕掛け、ハイトロルを倒す事が出来た。
その間に他のトロル達は先生や一部の生徒によって全滅させられていた。
(か、勝った······のか?)頭の中で思っていたらバーミリアン先生が「全員よくやった!! トロルどもを全滅させる事が出来たぞ!」と叫んだので、僕を始めその場にいた全員が「やったーー!!」と大歓喜したのだった。
子供の頃には植物やハウル様に助けられて倒せたあのトロルやハイトロルを、今は僕達養成学校の生徒や先生だけで倒せたなんて、信じられなかった。
そんな僕にジャックやロース、アイラなどが近寄って来て、
「やったね! レックス」「ホントにあたいらがこんだけのトロルをやっつけたんだ」「ほんとに、凄いや!」皆思い思いの感想を述べたのだった。
皆で喜んでいるところにバーミリアン先生が「ほれ、いつまでも喜んでいないで、サポート科の生徒らを迎えに行くぞ!」と仰った。
そうだ、今回の目的はサポート科の採掘作業の警護だった。その事を思い出して皆が避難しているであろう場所へバーミリアン先生を先頭にして向かった。
皆が避難している場所に近付いて僕の目には真っ先にアリスの姿が見えたが、そのアリスは······なぜか今回ペアを組んでいるオスターとではなく、あのマーシュと親しげに、しかも片手を握り合って話をしていたのだった······。
その光景を見て僕は歩いていながらも頭の中は真っ白になっていた。
その時アリスに反対の手で抱かれていたベアーズが僕に気付き、アリスの手から離れて僕に走り寄って来た。その動きでアリスを始め、全員が僕達に気付いた。
そこでトロルを全滅させたのでもう大丈夫だと伝え、先生方は今後の事を相談しだした。
生徒の方はトロルとの戦いの事を伝え合ったりして盛り上がっていた。
僕もジャックやロースとともにアリスらに話していたが、先ほどの光景が未だに頭から離れないでいたため、何を話したか覚えてなかった······。
その後先生達から採掘現場に戻り、今採掘しかけている物を取り出したところで今回は切り上げる事にすると伝えられ、再び採掘現場に戻った。
採掘現場に戻りアリス達も先ほどまで採掘途中だった鉱石を採り出していた。
そんなアリスを警護しながらもチラ見をし、ずっとあの光景を思い出し続けていたのだった。
そんな僕の雰囲気を察したのかベアーズが僕の足下に寄って来て、自分の体を僕に擦り寄せてきた。
それによって我に帰る事ができ、(ありがとう、ベアーズ)と言わんばかりにベアーズを撫でたのだった······。
そして全員が採掘作業を終えたところで下山した。麓に着いたところで先生方が今回の授業の感想、総括を述べられ、サポート科はそのまま学校への帰路についた。
僕達武力科は先のトロル戦の疲労もあるため今日も保養所で1泊する事となった。
部屋に戻ってジャックと少し話したところで僕はベアーズとじゃれ合いだし、そしてあの時の光景を思い出しながら今後の事を考えていた。
(別にアリスと付き合っているわけじゃないんだし、アリスが誰と付き合ったって構わないはずだ。それによってあの未来を回避出来るなら尚のことだ。それがきっと、皆にとって良い未来に繋がるはずだ。······なっ、ベアーズ)と自分の中で気持ちを整理させたところでベアーズを見たら、ベアーズはキョトンとした顔をして首を傾げていた。
翌日になって僕達も学校へ戻り、2泊3日という長い合同授業は終わりを告げた。
ちなみに、今朝になってベアーズが最後に見つけた金色に光った鉱石の事を思い出し、学校へ帰ってからサポート科の先生に提出したところ、それが滅多に採掘されない金鉱石だと分かり大騒ぎとなったのであった······。
サポート科が着くまでは各ペア昨日の下見での内容などを確認し合っていて、僕もジャックとサポート科が採掘中の配置などを確認し合い、たまに昨日の事やこれまでの訓練ならびに魔物との戦いの事について聞かれたので答えて時間を過ごしていた。
暫くしてサポート科が保養所に到着して先生方が昨日の下見での内容を伝えていた。
少ししてからサポート科の先生と生徒らが驚いた顔をしていたので、恐らくハイオークの事が伝えられたんだろうと感じた。
その後バーミリアン先生が「全員出発準備をして外に集合だ!」と号令をかけられたので僕達は外に出た。
外に出たところでまず武力科とサポート科が今それぞれ2人1組状態になっているので、今後は4人チームで動くことになるのでその組み合わせが発表された。
僕とジャックは偶然にもアリスともう1人はオスターという亜人族の男の子とのチームとなった。
全てのチーム分けが発表されたところで、武力科とサポート科の先生方から改めて今回の授業の目的やら注意事項が伝えられた。
そして各チーム内での情報伝達とサポート科生徒の休憩時間として30分与えられ、30分後に出発する事になったので僕らはアリス達と合流した。
アリス達と合流して軽く自己紹介などをした後、昨日下見をした結果をアリス達に伝えた。
アリス達からはどんな鉱石があったり多かったのか聞いてきたので鉄鉱石や銅鉱石、黒鉛などを見掛けたと伝えた。
そして伝える事を一通り伝えてまだ時間が残っていたので、やはりあの事を聞いてきた。
「ねぇレックス、ハイオークをバーミリアン先生と2人で倒したって本当?」やっぱりな。
「うん。ベアーズもいたけどね。あと子供の頃一度オークを見掛けた事があったよね?」「うん。森の中でよね?」「あの時のオーク、実はハイオークだったみたいなんだ」「ウソ!?」などと話していたら時間となった。
そして昨日と同じバーミリアン先生を先頭に僕達のペア、近接攻撃が得意な生徒のいるペア、ここにサポート科の先生と生徒、遠距離攻撃が得意な生徒のペア、そして最後尾にスティーブン先生と並んで鉱山を登りだした。
今日はトロルだけでなくオークにも1匹も遭遇する事なく目的の採掘場所に辿り着いた。流石に初めて訪れたサポート科の生徒は全員が驚いていた。
「それじゃあ各自解散して採掘作業を始めるように。何かあれば近くの先生へ報告をするんだぞ!」と言われて各自解散して僕達も指定の場所に向かった。
場所に着いた所で早速アリスとオスターは採掘作業に取り掛かった。僕とジャックは事前に決めていた配置について周りを警戒し、そして······なぜかベアーズも僕の配置場所近くの地面を掘り出していた。
昨日はおとなしく周りを見回していたのに今日はなぜか所々の地面を掘っていたのだ。
(もしかして、昨日は下見だとわかっていたから大人しかったのかなぁ)と思いながらベアーズの動きも多少気にしていた。
暫くしてアリス達の採掘も順調に進んでいるみたいで、やはりこの辺りは鉄鉱石や黒鉛が多く採れ、たまに銅鉱石が採れるようであった。
他の場所では中には銀鉱石が採れた所もあったみたいで、一時周りが騒がしくなった時があった。
ちなみに、ベアーズの穴掘りでもやはりいくつかの鉱石(こちらは銅鉱石ばかり)が見つかったみたいでその都度僕に渡してきた。それを僕も合間を見てアリスやオスターに渡していた。
少ししてベアーズが今まで見つけた事のない金色に光った鉱石を僕に渡してきた。
何だろうと思ってアリスに聞こうとしたら、先生達が急にそわそわしだし、何か相談をしだした。
僕も先ほどの鉱石をポケットに閉まって様子を見ていた。
そのうち先生から「全員すぐに集合しろ!!」と号令がかかったのでアリスらも作業の手を止めて集合した。
その後先生からこの辺りに十数体のトロルの集団が近付いていると報告があった。
そのため作業は一時中断し、サポート科と武力科の少数はこの場から一時避難し、残りのメンバーでトロルを相手にする事となった。
僕やジャック、ロースはもちろんアイラやゲルガーらおなじみのメンバーは残る事となった。
今回は複数体相手となるため、流石に危険だと思いアリスにベアーズを預け一緒に避難させてもらう事にした。
そうしてサポート科らの避難が終了してすぐにトロルの集団が僕らのいた所に現れた。その雰囲気はまさにあの村近くの森で感じたものと一緒だった。
「ビビるな! まずは足を狙って動きを止めるんだ!!」バーミリアン先生の指示で足を狙って動きだした。
僕もジャックに「ジャック! 目の前の奴の右足を狙うよ!!」「わ、分かった!」と指示を出して目の前にいるトロル目掛けて向かって行った。
トロルが近付いてくる僕達に向かって棍棒を振り下ろしてきたが何とか避けた後、僕が短剣、ジャックが小剣で右足へ同時に斬り付けた。
斬り付けられたトロルは痛みに耐えかねてバランスを崩して倒れた。
(よし!)と思った直後、集中スキルの覚醒を発動させて弱点を探り、そこ(左の胸辺り)を短剣で刺して1匹倒す事が出来た。
「や、やったのかい?」「うん。弱点を突いたからね」「やった!」とジャックが喜んだが、「喜んでないで次行こう!」僕が別の奴を相手にするのを促したら「わ、分かった」と応じて他のトロルに向かった。
他のトロルも皆が必死に戦った事で次々と倒れていった。
あと数匹となったところで、突然昨日感じたのと似た大きな地響きが伝わってきた。
(この揺れは、まさか!?)と思ってその地響きの感じた方向を見たら、目の前のトロル達よりもサイズの大きいトロルーーハイトロルーーが現れた。
(あの時のと似た奴だ!)村を襲ってきたトロル達を倒していた時途中で現れたデカトロルの事を思い出していた。
ハイトロルを見て一瞬ビビってしまったけど、(あの頃とは何もかもが成長しているんだ!)そう気持ちを持ち直して僕はハイトロルに立ち向かい、それに呼応するかのように呆然としていた他の皆も僕に続いてハイトロルに立ち向かいだした。
ハイトロルも僕達に棍棒を振り下ろしてきたが全員間一髪避ける事ができ、多くがバランスを崩したが僕を始め数人は持ち堪えられたのでそのままハイトロルの足下に辿り着いて片足を一斉に攻撃した。
あまりの痛さにハイトロルも怯んで攻撃を行えなかった。
そのすぐ後に先ほどのハイトロルの攻撃でバランスを崩していた者が足下に辿り着いて反対側の足を一斉に攻撃した。流石に痛みに耐えかねてハイトロルは倒れだした。
倒れたところで集中スキルの覚醒を発動させて弱点を探り、そこ(やはり左の胸辺り)をみんなに知らせて一斉に攻撃を仕掛け、ハイトロルを倒す事が出来た。
その間に他のトロル達は先生や一部の生徒によって全滅させられていた。
(か、勝った······のか?)頭の中で思っていたらバーミリアン先生が「全員よくやった!! トロルどもを全滅させる事が出来たぞ!」と叫んだので、僕を始めその場にいた全員が「やったーー!!」と大歓喜したのだった。
子供の頃には植物やハウル様に助けられて倒せたあのトロルやハイトロルを、今は僕達養成学校の生徒や先生だけで倒せたなんて、信じられなかった。
そんな僕にジャックやロース、アイラなどが近寄って来て、
「やったね! レックス」「ホントにあたいらがこんだけのトロルをやっつけたんだ」「ほんとに、凄いや!」皆思い思いの感想を述べたのだった。
皆で喜んでいるところにバーミリアン先生が「ほれ、いつまでも喜んでいないで、サポート科の生徒らを迎えに行くぞ!」と仰った。
そうだ、今回の目的はサポート科の採掘作業の警護だった。その事を思い出して皆が避難しているであろう場所へバーミリアン先生を先頭にして向かった。
皆が避難している場所に近付いて僕の目には真っ先にアリスの姿が見えたが、そのアリスは······なぜか今回ペアを組んでいるオスターとではなく、あのマーシュと親しげに、しかも片手を握り合って話をしていたのだった······。
その光景を見て僕は歩いていながらも頭の中は真っ白になっていた。
その時アリスに反対の手で抱かれていたベアーズが僕に気付き、アリスの手から離れて僕に走り寄って来た。その動きでアリスを始め、全員が僕達に気付いた。
そこでトロルを全滅させたのでもう大丈夫だと伝え、先生方は今後の事を相談しだした。
生徒の方はトロルとの戦いの事を伝え合ったりして盛り上がっていた。
僕もジャックやロースとともにアリスらに話していたが、先ほどの光景が未だに頭から離れないでいたため、何を話したか覚えてなかった······。
その後先生達から採掘現場に戻り、今採掘しかけている物を取り出したところで今回は切り上げる事にすると伝えられ、再び採掘現場に戻った。
採掘現場に戻りアリス達も先ほどまで採掘途中だった鉱石を採り出していた。
そんなアリスを警護しながらもチラ見をし、ずっとあの光景を思い出し続けていたのだった。
そんな僕の雰囲気を察したのかベアーズが僕の足下に寄って来て、自分の体を僕に擦り寄せてきた。
それによって我に帰る事ができ、(ありがとう、ベアーズ)と言わんばかりにベアーズを撫でたのだった······。
そして全員が採掘作業を終えたところで下山した。麓に着いたところで先生方が今回の授業の感想、総括を述べられ、サポート科はそのまま学校への帰路についた。
僕達武力科は先のトロル戦の疲労もあるため今日も保養所で1泊する事となった。
部屋に戻ってジャックと少し話したところで僕はベアーズとじゃれ合いだし、そしてあの時の光景を思い出しながら今後の事を考えていた。
(別にアリスと付き合っているわけじゃないんだし、アリスが誰と付き合ったって構わないはずだ。それによってあの未来を回避出来るなら尚のことだ。それがきっと、皆にとって良い未来に繋がるはずだ。······なっ、ベアーズ)と自分の中で気持ちを整理させたところでベアーズを見たら、ベアーズはキョトンとした顔をして首を傾げていた。
翌日になって僕達も学校へ戻り、2泊3日という長い合同授業は終わりを告げた。
ちなみに、今朝になってベアーズが最後に見つけた金色に光った鉱石の事を思い出し、学校へ帰ってからサポート科の先生に提出したところ、それが滅多に採掘されない金鉱石だと分かり大騒ぎとなったのであった······。
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