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第9章 アリス
第49話 合同授業2〜決意〜
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少ししてアリスも動いて大丈夫になったようなのでロックサイが下敷きとなっている辺りに向かった。
「完全に塞がれてるなぁ」「うん。そうだね」「どうしたものか」「きっと先生達が見つけてくれるよ」
「僕達がここにいると分かればね」「あっ」そこまで言い合って沈黙が続いた。
(本当にどうしたものか)と考えていたら、「キィー!」1匹の小さなヴァンパイアバットが岩盤の外側から飛んで寄って来た。
「あっ!」と思ったら条件反射で腕を出していてヴァンパイアバットも止まった。
「その子って?」「試験の時助けたヴァンパイアバットの子供だよ」アリスに説明をして(でもコイツ、今外から飛んで来たような······)そう思って上の方を見たら、小さな空洞が空いているのが見えた。
(あそこから······っ!)その時ふとある事を思い付いて首にぶら下げている牙を外した。
それをヴァンパイアバットの子供に見せて「頼みがある。これを持ってあそこから外に出て、外にいる"ヒト"の誰かにこれを渡してここまで誘導して来て欲しいんだ」と頼んだ。
ヴァンパイアバットの子供は僕をじっと見ていた後、その牙のひもを足でつかんで飛び立ち、あの空洞から外に出て行った。
「通じた、のか?」「きっとそうだよ。ベアーやベアーズのように」「うん。だと良いんだけど······」それから僕達は暫くの間その場で空洞を見つめ続けた。
ヴァンパイアバットの子供が出て行って大分時間が経過したため(ダメか)僕が諦めようとしたら、アリスが僕の手を握ってくれて彼女を見たら「信じて待ちましょ」と満面の笑顔で僕を励ましてくれた。
それを見て「うん! そうだね」と言い、また僕の中である気持ちの整理が付いた。
その直後、「キィー!」あの空洞からヴァンパイアバットの子供が入って来た。
そして外から、「レックス! そこにいるのか!!」間違いなくバーミリアン先生の声が聞こえた。
僕は大声で「ハイ! アリスも一緒にいます!!」と返答した。
「すぐに助けるから、待っていろ!」それを聞いて僕達は笑顔で顔を合わせた。
その直後にヴァンパイアバットの子供が近寄って来たので腕を出して休ませ、「お疲れ様」「ありがとね」2人で感謝を伝えたらヴァンパイアバットの子供は「キィー!」と笑顔で叫んだように見えた。
少ししてようやく岩盤が取り除かれて僕達は救助されたのだった。
「よく頑張ったな! お前達」「はい。何とか」「それにしても、コイツをお前に渡したのは正解だったな」とバーミリアン先生はあの牙を僕に返してくれた。
「やっぱり」「あぁ。それを掴んでいたヴァンパイアバットの子供が俺達の所に来てそいつを俺の手の上に離し、付いて来いと言わんばかりの動きをしたからここに来れたんだ」と説明してくれて僕達は洞窟を出た。
その後は今回の一件について流石に学校側も何もしない訳には行かず大騒ぎとなった。
まず引率で同行した先生達が職員会議にて経緯を説明した。
次にアリスは足の治療のため学校の保健室でしばらく休む事となったので、僕1人で校長室へ赴いてロックサイに追いかけられてからの経緯を説明(アリスが1度死んで僕が命の石を使用した事は省いた)した。
そしてあの洞窟はしばらく出入り禁止となった。
ただし、特別の特別(バーミリアン先生がお墨付きをして下さって)で僕だけは出入りが許可されたのだった。ヴァンパイアバットの事があるために······。
そうして、僕達とアリス達のクラスは合同授業の翌日から2日間全日お休みとなったのであった。
そのため僕とロースとメリーの3人は合同授業翌日の午前中にアリスのお見舞いに行った。
足を捻挫しただけという事になっているのでアリスは元気そうに僕達とも対応出来ていた。特に僕とのやりとりは本当に楽しそうにしていたのをメリーは見ていた。
そしてアリスのお見舞いが終わった後、僕はメリーと2人きりになって洞窟での一件の返事を伝えた。
メリーに背を向けながら「メリー、洞窟での一件の君への返事だけど······」そこまで僕が言うと、「はい、分かってます」「えっ?」そう答えられて驚き、僕はメリーに体を向き直した。
「アリスちゃんとの事だったんでしょ、あの時言っていた事は?」「······うん」「さっきの2人のやりとりを見ていて、間に入るのは無理だと感じました」
「······ごめん」「良いんです。でも······」「でも?」そこまで言ったらメリーが笑って「私も、レックスさんを好きでい続ける事は変わりませんから」
「メリー」「さようなら」と言って一礼してメリーは去った。
(メリー、本当にごめん。だけど······)満面の笑顔で「信じて待ちましょ」と言ったアリスの顔を思い出し(やっぱり僕はアリスの事を······)そう思いながら僕はその場で佇んでいた。
数日後、アリスが歩けるようになって保健室を出た日、久々に4人で夕ご飯を食べながら今回の事を兄ちゃん達に伝えた。
「そっか。何とかアリスちゃんの事も回避させる事が出来たんだ」「うん。何とかね」「本当にあの時はレックスから言われてて分かってはいたけど、やっぱり1度死ぬのは怖いなぁって思ったわ。でも······」
「でも?」お姉ちゃんが聞き返すと、「あの時レックスが『すぐに生き返らせるから』って言った時の顔を見たら大丈夫なんだって安心したら、不安な気持ちも吹き飛んだわ」「アリス」
その時僕達の会話を今まで黙って聞いていた兄ちゃんが、「······でぇ、レックスゥ?」「ん? 何? 兄ちゃん」「お前、今回の事も前々から知ってたんだよなぁ?」あっ。
「······」何となく気まずい雰囲気になりそうだと感じ僕はご飯を食べるスピードを早めた。
「俺の時もそうだったろうが、今回の事も入学前から知ってたんだよなぁ?」「······」
「しかも今回アリスが"一度死ぬ"と分かっていたのに、何で事前に教えてくれなかったんだぁ?」「そう言われてみれば······」アリスも僕の方を見た。
「······それは」「「それは?」」と聞いてきたところで僕は立ち上がり、「ごちそうさまでした!」と言ってその場を去った。
「······逃げやがった」「うん。そうだね」アッシュとアリスがそう言ったところで、「······言いたくても、言えなかったんじゃないかしら?」「「えっ??」」メリッサがそう言った事に二人が疑問に思った。
「自分が知った2人の事をアッシュやアリスちゃんに伝えたら、その事態を回避しようと行動してたんじゃない?」
「そりゃあ」「多分、そうしてたかも」「そうしたら、もしかしたら他の誰かが悲しい思いをする事になっていたかもしれないじゃない?」「「あっ!!」」
「今までも、それだけはしないように考えて行動してきたんじゃない?」「そう言えば、子供の頃トロルの事を俺に話してくれた時もそんなこと言ってたっけ」
「だから、大事な人が死ぬかもって分かってても誰にも言えなかったレックス君が、一番苦しい思いでい続けたんじゃない?」それを聞いて2人は黙り込んでしまった。
少ししてからアッシュが、「メリッサ、あの夜お前には全て話したのか? レックスは」「······うん」「そっか」そう言ってアッシュはメリッサの方を見た。
「やっぱり、お前に頼んで正解だったかもな」「えっ?」「だから夏季休暇ん時もあいつきっと何とかやり抜けたんじゃねぇのかな?」「······かも、しれないわね」
「それに」「それに?」「あいつが人生をやり直してくれたお陰で、俺達はメリッサと出会える事になったみたいだから、感謝したとしても恨む理由なんてどこにもないんだからなぁ」「アッシュ」そう言ってメリッサは微笑んでアッシュを見て、アッシュも笑ってメリッサを見た。
そんな2人のやりとりを見届けた後、レックスが去った方を振り返ってアリスは(でも、本当にありがとね、レックス)と思いながら笑顔になった。
一方、食堂から逃げるように立ち去った僕は一目散に部屋へ戻った。
(危ない危ない。あれ以上あそこにいたら何を追求されるか分かったもんじゃなかった)と思いながら窓の方に歩いて行った。
(だけど、これで運命の洞窟の水晶玉が見せた事は全て回避出来た。これからは何が起こるか僕にも分からない)そこまで思ってあの"騎士団の誰かに小剣で腹を刺された"場面を思い出していた。
(とにかく、これかも兄ちゃんやアリス、お姉ちゃんやハウル様、他の皆とも協力してあの未来を何としても変えるんだ!)と僕はそう決意し直したのだった······。
「完全に塞がれてるなぁ」「うん。そうだね」「どうしたものか」「きっと先生達が見つけてくれるよ」
「僕達がここにいると分かればね」「あっ」そこまで言い合って沈黙が続いた。
(本当にどうしたものか)と考えていたら、「キィー!」1匹の小さなヴァンパイアバットが岩盤の外側から飛んで寄って来た。
「あっ!」と思ったら条件反射で腕を出していてヴァンパイアバットも止まった。
「その子って?」「試験の時助けたヴァンパイアバットの子供だよ」アリスに説明をして(でもコイツ、今外から飛んで来たような······)そう思って上の方を見たら、小さな空洞が空いているのが見えた。
(あそこから······っ!)その時ふとある事を思い付いて首にぶら下げている牙を外した。
それをヴァンパイアバットの子供に見せて「頼みがある。これを持ってあそこから外に出て、外にいる"ヒト"の誰かにこれを渡してここまで誘導して来て欲しいんだ」と頼んだ。
ヴァンパイアバットの子供は僕をじっと見ていた後、その牙のひもを足でつかんで飛び立ち、あの空洞から外に出て行った。
「通じた、のか?」「きっとそうだよ。ベアーやベアーズのように」「うん。だと良いんだけど······」それから僕達は暫くの間その場で空洞を見つめ続けた。
ヴァンパイアバットの子供が出て行って大分時間が経過したため(ダメか)僕が諦めようとしたら、アリスが僕の手を握ってくれて彼女を見たら「信じて待ちましょ」と満面の笑顔で僕を励ましてくれた。
それを見て「うん! そうだね」と言い、また僕の中である気持ちの整理が付いた。
その直後、「キィー!」あの空洞からヴァンパイアバットの子供が入って来た。
そして外から、「レックス! そこにいるのか!!」間違いなくバーミリアン先生の声が聞こえた。
僕は大声で「ハイ! アリスも一緒にいます!!」と返答した。
「すぐに助けるから、待っていろ!」それを聞いて僕達は笑顔で顔を合わせた。
その直後にヴァンパイアバットの子供が近寄って来たので腕を出して休ませ、「お疲れ様」「ありがとね」2人で感謝を伝えたらヴァンパイアバットの子供は「キィー!」と笑顔で叫んだように見えた。
少ししてようやく岩盤が取り除かれて僕達は救助されたのだった。
「よく頑張ったな! お前達」「はい。何とか」「それにしても、コイツをお前に渡したのは正解だったな」とバーミリアン先生はあの牙を僕に返してくれた。
「やっぱり」「あぁ。それを掴んでいたヴァンパイアバットの子供が俺達の所に来てそいつを俺の手の上に離し、付いて来いと言わんばかりの動きをしたからここに来れたんだ」と説明してくれて僕達は洞窟を出た。
その後は今回の一件について流石に学校側も何もしない訳には行かず大騒ぎとなった。
まず引率で同行した先生達が職員会議にて経緯を説明した。
次にアリスは足の治療のため学校の保健室でしばらく休む事となったので、僕1人で校長室へ赴いてロックサイに追いかけられてからの経緯を説明(アリスが1度死んで僕が命の石を使用した事は省いた)した。
そしてあの洞窟はしばらく出入り禁止となった。
ただし、特別の特別(バーミリアン先生がお墨付きをして下さって)で僕だけは出入りが許可されたのだった。ヴァンパイアバットの事があるために······。
そうして、僕達とアリス達のクラスは合同授業の翌日から2日間全日お休みとなったのであった。
そのため僕とロースとメリーの3人は合同授業翌日の午前中にアリスのお見舞いに行った。
足を捻挫しただけという事になっているのでアリスは元気そうに僕達とも対応出来ていた。特に僕とのやりとりは本当に楽しそうにしていたのをメリーは見ていた。
そしてアリスのお見舞いが終わった後、僕はメリーと2人きりになって洞窟での一件の返事を伝えた。
メリーに背を向けながら「メリー、洞窟での一件の君への返事だけど······」そこまで僕が言うと、「はい、分かってます」「えっ?」そう答えられて驚き、僕はメリーに体を向き直した。
「アリスちゃんとの事だったんでしょ、あの時言っていた事は?」「······うん」「さっきの2人のやりとりを見ていて、間に入るのは無理だと感じました」
「······ごめん」「良いんです。でも······」「でも?」そこまで言ったらメリーが笑って「私も、レックスさんを好きでい続ける事は変わりませんから」
「メリー」「さようなら」と言って一礼してメリーは去った。
(メリー、本当にごめん。だけど······)満面の笑顔で「信じて待ちましょ」と言ったアリスの顔を思い出し(やっぱり僕はアリスの事を······)そう思いながら僕はその場で佇んでいた。
数日後、アリスが歩けるようになって保健室を出た日、久々に4人で夕ご飯を食べながら今回の事を兄ちゃん達に伝えた。
「そっか。何とかアリスちゃんの事も回避させる事が出来たんだ」「うん。何とかね」「本当にあの時はレックスから言われてて分かってはいたけど、やっぱり1度死ぬのは怖いなぁって思ったわ。でも······」
「でも?」お姉ちゃんが聞き返すと、「あの時レックスが『すぐに生き返らせるから』って言った時の顔を見たら大丈夫なんだって安心したら、不安な気持ちも吹き飛んだわ」「アリス」
その時僕達の会話を今まで黙って聞いていた兄ちゃんが、「······でぇ、レックスゥ?」「ん? 何? 兄ちゃん」「お前、今回の事も前々から知ってたんだよなぁ?」あっ。
「······」何となく気まずい雰囲気になりそうだと感じ僕はご飯を食べるスピードを早めた。
「俺の時もそうだったろうが、今回の事も入学前から知ってたんだよなぁ?」「······」
「しかも今回アリスが"一度死ぬ"と分かっていたのに、何で事前に教えてくれなかったんだぁ?」「そう言われてみれば······」アリスも僕の方を見た。
「······それは」「「それは?」」と聞いてきたところで僕は立ち上がり、「ごちそうさまでした!」と言ってその場を去った。
「······逃げやがった」「うん。そうだね」アッシュとアリスがそう言ったところで、「······言いたくても、言えなかったんじゃないかしら?」「「えっ??」」メリッサがそう言った事に二人が疑問に思った。
「自分が知った2人の事をアッシュやアリスちゃんに伝えたら、その事態を回避しようと行動してたんじゃない?」
「そりゃあ」「多分、そうしてたかも」「そうしたら、もしかしたら他の誰かが悲しい思いをする事になっていたかもしれないじゃない?」「「あっ!!」」
「今までも、それだけはしないように考えて行動してきたんじゃない?」「そう言えば、子供の頃トロルの事を俺に話してくれた時もそんなこと言ってたっけ」
「だから、大事な人が死ぬかもって分かってても誰にも言えなかったレックス君が、一番苦しい思いでい続けたんじゃない?」それを聞いて2人は黙り込んでしまった。
少ししてからアッシュが、「メリッサ、あの夜お前には全て話したのか? レックスは」「······うん」「そっか」そう言ってアッシュはメリッサの方を見た。
「やっぱり、お前に頼んで正解だったかもな」「えっ?」「だから夏季休暇ん時もあいつきっと何とかやり抜けたんじゃねぇのかな?」「······かも、しれないわね」
「それに」「それに?」「あいつが人生をやり直してくれたお陰で、俺達はメリッサと出会える事になったみたいだから、感謝したとしても恨む理由なんてどこにもないんだからなぁ」「アッシュ」そう言ってメリッサは微笑んでアッシュを見て、アッシュも笑ってメリッサを見た。
そんな2人のやりとりを見届けた後、レックスが去った方を振り返ってアリスは(でも、本当にありがとね、レックス)と思いながら笑顔になった。
一方、食堂から逃げるように立ち去った僕は一目散に部屋へ戻った。
(危ない危ない。あれ以上あそこにいたら何を追求されるか分かったもんじゃなかった)と思いながら窓の方に歩いて行った。
(だけど、これで運命の洞窟の水晶玉が見せた事は全て回避出来た。これからは何が起こるか僕にも分からない)そこまで思ってあの"騎士団の誰かに小剣で腹を刺された"場面を思い出していた。
(とにかく、これかも兄ちゃんやアリス、お姉ちゃんやハウル様、他の皆とも協力してあの未来を何としても変えるんだ!)と僕はそう決意し直したのだった······。
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