42 / 224
第8章 命の石
第42話 海人族
しおりを挟む
待ちに待った夏季休暇がやってきた。
早速多くの人達が故郷などへの家路に発った。そして、兄ちゃんやアリスもウッド村へ出発する時がきた。
「じゃあな、レックス。命の石探し頑張れよ」「もし早く探し出したら村に寄ってよね」「うん分かった。そう出来るように頑張るよ」と言って2人は旅立った。
僕も部屋に戻って出発の準備をし、そしてコンッ! コンッ! と部屋のドアが叩かれた。
僕はドアを開けて「行こっか、お姉ちゃん」目の前のお姉ちゃんに声を掛け、「うん」お姉ちゃんも笑顔で答えた。
あの全てを話した夜に、私も付いて行くわとお姉ちゃんが言い、僕も了承して今に至るのであった。
そうして僕達は王都を出発し、数日かけてスカイマウンテンの頂上、ハウル様の家に辿り着いた。
早速家のドアを叩き、「ハウル様!」と声を掛けたらドアが開き、「おお、レックス」ハウル様が出て来た。
「今日は何の用じゃ。······彼女を連れ」「違います!」「冗談じゃよ」とお姉ちゃんを(わざと)彼女と言い出そうとしたのを即否定しておいた。
改めてお姉ちゃんが自己紹介をして中に入った。そして今回訪れた理由とこれから起こる可能性のある出来事について話した。
「そうか、今度はそんな事が······」「はい。それを防ぐために命の石と呼ばれている赤い石が必要で、海人族に伝わる秘石の1つだという事までは分かったのですが、今どこにあるのかが分からなくて」
「ふむ。確かに儂もその石については聞いた事がある」「ホントですか!」「うむ」と言って命の石が誕生した経緯を話してくれた。
大昔、海人族はその容姿からヒト族や魔人族に攫われる事が度々起こり、それに怒った海人族が自分達の神に祈った。
そうしたらヒト族や魔人族の領土内で大雨が続き、海も大荒れとなり多くの人達に多大な被害が出て死亡してしまった者も多数出たという。
その惨状を知って流石に海人族達も後悔をし、そして多くの海人族の者が自らの血を出し合い、その血を固めたものが”命の石”と呼ばれた。
その石を用いて死んでしまった者を生き返らせた。初めはとても大きな石であったが、長年多くの者に使ってきた事で徐々に小さくなってきてしまい、今では海人族以外はもちろん、海人族の中ででもその石を知っている者はごく僅かだという。
「そうだったんですか」「うむ。それゆえに海人族の中でも知っている者はそうおらんかもしれんのぉ」そう言われて僕は落胆し、お姉ちゃんも暗い顔になった。
「じゃが」「じゃが?」「海人族にいる儂の知り合いに命の石の事を覚えとるかもしれない者がおるにはおる」「ホントですか!?」「うむ。あんまり会いに行きたくはないが、事情が事情ゆえに行って確かめてみるしかなかろう」「ありがとうございます!」「良かったわね、レックス君」「うん!!」それぞれそう言い合って早速その知り合いに会いに行くことにした。
ハウル様の瞬間移動で僕達は海人族の街の入り口前に来た。
「ここは?」「海人族の街”マリンタウン”じゃ」「確か授業で聞いた事がありますし、本で読んだ事もあります」とお姉ちゃんが言ったところでまた透視の術をかけながら街の奥の方へ進んだ。
確かに周りの人達を見ると、美男美女と言っても過言でない人が多い事がわかる。そしてあるバーのお店の前まで来て人影も全く無かったので透視の術を解き、お店の中へ入った。
カラーン「今は時間外でーす」とお店の人らしき(というか1人しかいない)海人族の老人が言ってきた。
「相変わらずな感じじゃな、"アーク"よ」とハウル様はその人をそう呼んだ。
「ん? その声、まさか?」とその人は僕らの方を見た。
そして「······ハウル? ハ、ハウルか!?」「やっと分かったか」相手がハウル様かと確認し、ハウル様もそう答えた。
「久しぶりだなぁ!! 何年ぶりだぁ!」「お主と口喧嘩別れした時が最後じゃから、40年ぶりじゃ」「そうだったなぁ」
再会の挨拶をし合ったと思ったら、「······で、今更何しに来たんだ?」とぶっきらぼうな言い方になってアークという人はハウル様に尋ねた。
「アークよ、お主命の石の事は知っておるじゃろう?」「っ! なんで今その名前を?」「実はな······」アークさんに運命の洞窟の水晶玉で見た内容を伝えた。
「そうか。そういう理由で命の石を······」「そうじゃ」「話は分かった。が、残念だが今は無理だろう」「無理って?」アークさんの言ったことに僕が尋ねた。
「確かに今でも命の石は王族直系の者の血を原石に垂らせば作れるが、今原石を持って行っても城の前で門前払いされるだけだ」と答えたので「何があったのじゃ?」ハウル様が尋ねた。
「実は、数日前に国王の息子、つまり王子様が何者かに誘拐されたんだ」「「「ええっ!?」」」僕達は全員で驚いた。
「それで今城の者は街の者に気付かれる事なく全員総出で王子様を探しているし、俺達街の情報屋などにも聞き込みなどをちょくちょく行ってるんだよ」
「そうであったか」「じゃあ、本当に今お城に行っても」「うむ。門前払いされるのがオチじゃろう」
(そんなぁ)僕が落胆した雰囲気をしたら「しかし······」「しかし?」「今の内に原石だけでも手に入れておいても良いんじゃないか?」とアークさんは言ってくれた。
「原石を?」「あぁ。もし王子様が見つかれば頼みを聞き入れてくれるかもしれないだろうからな」
「確かにそうじゃな」「はい。それで、その原石はどこにあるのですか?」「この街の港の先から海に沿って歩いて行った先にある海底洞窟の最奥にあるはずだ」と教えてくれた。
「ありがとうございます」「とは言っても2、3日······イヤ余裕を見て4日は行けないがな」
「えっ?」「何故じゃ?」ハウル様が尋ねると「今の時期はちょうど海が満潮期で、特にここ数日が最も高くなるから海底洞窟への道が塞がれるんだよ」とアークさんが教えてくれた。
「うーむ。それでは確かに行きたくても行けんのぉ」「そうですね」「でも、まだ夏季休暇は数日残ってるんだから、間に合うわよ」とお姉ちゃんが言ってくれたので多少気持ちが明るくなった。
そうして満潮期が過ぎる4日間の間はスカイマウンテンのハウル様の家に戻って過ごし、4日後再びマリンタウンにやって来た······。
早速多くの人達が故郷などへの家路に発った。そして、兄ちゃんやアリスもウッド村へ出発する時がきた。
「じゃあな、レックス。命の石探し頑張れよ」「もし早く探し出したら村に寄ってよね」「うん分かった。そう出来るように頑張るよ」と言って2人は旅立った。
僕も部屋に戻って出発の準備をし、そしてコンッ! コンッ! と部屋のドアが叩かれた。
僕はドアを開けて「行こっか、お姉ちゃん」目の前のお姉ちゃんに声を掛け、「うん」お姉ちゃんも笑顔で答えた。
あの全てを話した夜に、私も付いて行くわとお姉ちゃんが言い、僕も了承して今に至るのであった。
そうして僕達は王都を出発し、数日かけてスカイマウンテンの頂上、ハウル様の家に辿り着いた。
早速家のドアを叩き、「ハウル様!」と声を掛けたらドアが開き、「おお、レックス」ハウル様が出て来た。
「今日は何の用じゃ。······彼女を連れ」「違います!」「冗談じゃよ」とお姉ちゃんを(わざと)彼女と言い出そうとしたのを即否定しておいた。
改めてお姉ちゃんが自己紹介をして中に入った。そして今回訪れた理由とこれから起こる可能性のある出来事について話した。
「そうか、今度はそんな事が······」「はい。それを防ぐために命の石と呼ばれている赤い石が必要で、海人族に伝わる秘石の1つだという事までは分かったのですが、今どこにあるのかが分からなくて」
「ふむ。確かに儂もその石については聞いた事がある」「ホントですか!」「うむ」と言って命の石が誕生した経緯を話してくれた。
大昔、海人族はその容姿からヒト族や魔人族に攫われる事が度々起こり、それに怒った海人族が自分達の神に祈った。
そうしたらヒト族や魔人族の領土内で大雨が続き、海も大荒れとなり多くの人達に多大な被害が出て死亡してしまった者も多数出たという。
その惨状を知って流石に海人族達も後悔をし、そして多くの海人族の者が自らの血を出し合い、その血を固めたものが”命の石”と呼ばれた。
その石を用いて死んでしまった者を生き返らせた。初めはとても大きな石であったが、長年多くの者に使ってきた事で徐々に小さくなってきてしまい、今では海人族以外はもちろん、海人族の中ででもその石を知っている者はごく僅かだという。
「そうだったんですか」「うむ。それゆえに海人族の中でも知っている者はそうおらんかもしれんのぉ」そう言われて僕は落胆し、お姉ちゃんも暗い顔になった。
「じゃが」「じゃが?」「海人族にいる儂の知り合いに命の石の事を覚えとるかもしれない者がおるにはおる」「ホントですか!?」「うむ。あんまり会いに行きたくはないが、事情が事情ゆえに行って確かめてみるしかなかろう」「ありがとうございます!」「良かったわね、レックス君」「うん!!」それぞれそう言い合って早速その知り合いに会いに行くことにした。
ハウル様の瞬間移動で僕達は海人族の街の入り口前に来た。
「ここは?」「海人族の街”マリンタウン”じゃ」「確か授業で聞いた事がありますし、本で読んだ事もあります」とお姉ちゃんが言ったところでまた透視の術をかけながら街の奥の方へ進んだ。
確かに周りの人達を見ると、美男美女と言っても過言でない人が多い事がわかる。そしてあるバーのお店の前まで来て人影も全く無かったので透視の術を解き、お店の中へ入った。
カラーン「今は時間外でーす」とお店の人らしき(というか1人しかいない)海人族の老人が言ってきた。
「相変わらずな感じじゃな、"アーク"よ」とハウル様はその人をそう呼んだ。
「ん? その声、まさか?」とその人は僕らの方を見た。
そして「······ハウル? ハ、ハウルか!?」「やっと分かったか」相手がハウル様かと確認し、ハウル様もそう答えた。
「久しぶりだなぁ!! 何年ぶりだぁ!」「お主と口喧嘩別れした時が最後じゃから、40年ぶりじゃ」「そうだったなぁ」
再会の挨拶をし合ったと思ったら、「······で、今更何しに来たんだ?」とぶっきらぼうな言い方になってアークという人はハウル様に尋ねた。
「アークよ、お主命の石の事は知っておるじゃろう?」「っ! なんで今その名前を?」「実はな······」アークさんに運命の洞窟の水晶玉で見た内容を伝えた。
「そうか。そういう理由で命の石を······」「そうじゃ」「話は分かった。が、残念だが今は無理だろう」「無理って?」アークさんの言ったことに僕が尋ねた。
「確かに今でも命の石は王族直系の者の血を原石に垂らせば作れるが、今原石を持って行っても城の前で門前払いされるだけだ」と答えたので「何があったのじゃ?」ハウル様が尋ねた。
「実は、数日前に国王の息子、つまり王子様が何者かに誘拐されたんだ」「「「ええっ!?」」」僕達は全員で驚いた。
「それで今城の者は街の者に気付かれる事なく全員総出で王子様を探しているし、俺達街の情報屋などにも聞き込みなどをちょくちょく行ってるんだよ」
「そうであったか」「じゃあ、本当に今お城に行っても」「うむ。門前払いされるのがオチじゃろう」
(そんなぁ)僕が落胆した雰囲気をしたら「しかし······」「しかし?」「今の内に原石だけでも手に入れておいても良いんじゃないか?」とアークさんは言ってくれた。
「原石を?」「あぁ。もし王子様が見つかれば頼みを聞き入れてくれるかもしれないだろうからな」
「確かにそうじゃな」「はい。それで、その原石はどこにあるのですか?」「この街の港の先から海に沿って歩いて行った先にある海底洞窟の最奥にあるはずだ」と教えてくれた。
「ありがとうございます」「とは言っても2、3日······イヤ余裕を見て4日は行けないがな」
「えっ?」「何故じゃ?」ハウル様が尋ねると「今の時期はちょうど海が満潮期で、特にここ数日が最も高くなるから海底洞窟への道が塞がれるんだよ」とアークさんが教えてくれた。
「うーむ。それでは確かに行きたくても行けんのぉ」「そうですね」「でも、まだ夏季休暇は数日残ってるんだから、間に合うわよ」とお姉ちゃんが言ってくれたので多少気持ちが明るくなった。
そうして満潮期が過ぎる4日間の間はスカイマウンテンのハウル様の家に戻って過ごし、4日後再びマリンタウンにやって来た······。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
18
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる