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第7章 学校生活2

第39話 図書室にて2

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 パラ、パラ、パラ。ある休日、今日も赤い石の情報を求めて鉱石やストーンの本を読んでいた。

 ただし学校の図書室でではなく、先日お姉ちゃんに教えてもらった”王立図書館”でだ。

 流石に王立のというだけあってお姉ちゃんが言ってた通り、載っている種類も情報量も図書室の本とは比べ物にならなかった。とはいってもやはりあの赤い石の情報は見つからなかった。

 朝早くから来て関連する本をいつものように調べ続け、途中お昼を食べに1度外に出て再び調べ出したけれど見つからなかった。

「やっぱり全然見つからない」とぼやきながら時計を見たらもう夕方の時間になっていたので、(仕方ない。あと1冊調べたら帰るか)と思って見る本を探していたら、不意にある本の前で立ち止まった。何故かその本に惹かれたため手にとって調べ出した。

 パラパラといつもの如く調べていたら、(······っ!)僕はあるページを見て衝撃が走った。(あ、あった!!)そう、あの赤い石の情報が載っていたのだった。

(よ、ようやく見つけた!)そう思いながらその情報を凝視した。

 赤い石はどうやら命の石と呼ばれているもので、海人族の間で太古の昔から語り続けられている秘石の1つだそうだ。

 そして、ーーこの石を死んだ者の体に次の朝日が昇り始める時間までに乗せること。そしてその者を心の底から最も思っている者が生き返れと願えば生き返らせることができる。ただし、使用できるのは1つの石に対して1度きりである  初代海人王ーーと書かれていた。

 つまり、チャンスはたったの一度だけだということだ。

 あの運命の洞窟の水晶玉が見せた2枚目の衝撃的な光景である、”どこかの洞窟の中でアリスが死んだようにその場に横たわり、その近くに僕が寄り添っている場面”を防ぐためには······。

 (よし!)新たな気持ちになって本を閉まい王立図書館を出た。


 赤い石ーー命の石ーーのことは分かったけど、図書室に置いてある本に載ってるかもという思いから、図書室通いと石関連の本調べは継続することにした。

 またそれと同時進行で海人族に関する情報が載っている本も合間に見て調べるようにした。

 色々な本を見ていくうちに海人族の特徴や歴史、生活様式などは書かれていたが、あまり詳しい内容まではそれぞれ載ってはいなかった。

 さらに最も欲しいと思っていた語り継げられている伝承やら秘石などについても当然載ってはいなかった。また石関連の本の方もやはり進展は無しだった。

 恐らくどちらもここではこれ以上調べても新しい情報は得られないかもと思いだし、今後どうしようかと考えた。

 そして、いちおう時間があまり取れないときは図書室で、そこそこ時間を取れるときには王立図書館へ赴いて命の石や海人族の事を調べるようにした。

 またもうじき訪れる夏季休暇という長期休暇の間ハウル様の下を訪れ、命の石の事を相談して探し出す事にしようと思いたった。

 そしてその日はたまたまお姉ちゃんが図書委員の担当で、赤い石が命の石だと判明して以来会えてはいなかったので、お姉ちゃんの手が空いた時にその事を話した後図書室を出た。
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