18 / 224
第2章 タイムリターナー
第18話 祝勝、そして・・・
しおりを挟む
村へ帰る途中にもトロルの死体を何体か見掛けたので心配はしていたが、村の様子を見て特に襲われた様子が無かったので安堵した。
残ってた村人に話を聞くと、トロルが襲っては来たが草や木がトロルを動けなくしてその隙に村人がトロルを倒したとの事だ。
そして怪我を負わされた人達も、重傷を負った人や歩くことが出来なくなってしまった人も何人かいるが、前世と違って死んだ人は誰もいなかった。こうして誰1人として死亡することもなく僕達はトロルの襲撃を防ぐことが出来た。
後日周りの村の様子を聞いたところ、何体かトロルが襲撃してきたが草や木の助けもあって全員倒すことが出来たそうだ。ただし、こちらは建物などへの被害があった村も出たと聞いた。
そうした村々の復旧が落ち着いたある日、僕達の村で今回のトロル撃退の祝勝パーティーが開かれた。
周りの村の村長などは特に襲撃を最小限に抑えられた(表向きの)立役者である父さんやレオおじさんに感謝し、大人は大人で初対面の挨拶やら会話を交わし、そして子供達は子供達でパーティー会場や村の他の場所で遊び出したりと全員が楽しい時間を過ごしていた。
一方、僕は現在自室のベッドに横たわってある事を悩んでいた。
コンッコンッ! そこへアッシュ兄ちゃんが部屋の窓を叩いて開けて中に入って来た。
「よっと。どうしたんだよ、今回の本当の1番の立役者がパーティーに来ないで」「うん、ちょっと······」
「······ひょっとして、ハウル様に言われた事について考えてるのか?」「······うん」「やっぱり」
そう、あの時ハウル様の家を出る時ーーところでレックスよ、お主トロルの襲撃を何とか出来たら養成学校には入学せんのか?ーーと聞かれたのだ。
「別に入学する必要は無いだろ。実際トロルを撃退出来たんだから」と言ってきたが、「違うんだ」「違う?」そう言って僕は体を起こし、「養成学校に入学する事はもう僕の中では決めてるんだ」「えっ? じゃあ何を悩んでたんだよ?」「うん。養成学校へは来年10歳にならないと試験を受けられないでしょ?」「ああ」
王都の養成学校は10歳から15歳の人であれば生まれや種族などは関係なく入学試験を受けられ、また何度も受けられるため合格するまで毎年受験する人もいるようだ。
「だからそれまでの約1年間、ハウル様の下で修行をさせてもらおうかなと思っていて」「修行?」
「うん。あの時のデカトロルなんだけど、前の襲撃の時にはいなかったはずなんだ」「何だって!?」
「つまり、少しずつだけど歴史が変わってきたりしているから、今入学しなくても後々養成学校に入学する事となって騎士団に入団し、あの決戦の場に赴く事になると思うんだ。だからそれまで少しでも自分を鍛えようと考えてて、やっぱりハウル様の下で修業をしながら入学金を魔物などを倒しながら自分で稼ごうと考えてたんだ」
そこまで僕が言うとしばらく沈黙が続いたが、アッシュ兄ちゃんから「それで良いんじゃねぇか」「えっ?」そう言われたので僕は驚いてアッシュ兄ちゃんの方を向いた。
逆にアッシュはレックスの方を見て笑いながら「このまま村にいても無駄な時間を過ごすだけになるんだったら、ハウル様の下で修業した方がお前のためにもなるんじゃないか」と答えてくれた。
「アッシュ兄ちゃん」「俺も先に養成学校に入って強くなってるからよぉ」「っ! じゃあ······」「あぁ、俺も父さんや母さんを説得して次の養成学校の入学試験を受けるぜ」「うん!」と僕らがやり取りをしていたら、「養成学校って、何?」突然外から声が聞こえ、そこには「「ア、アリス!!」」が立っていた。
「養成学校って王都にある? 何で2人が養成学校に入学しなきゃいけないの?」と言いながら僕らの方へ寄ってきて、「ねぇどうして? 教えてよ!」と言いながら顔を窓からこちらに乗り出させた。
「どうして私には何も話してくれないの! 前回も私が村にいない時に2人だけで村を出て行って!!」そこまで言うとアリスは泣き顔になった。
「お、落ち着けアリス!」「分かった分かった。話す! 話すから!」「本当に?」「うん。アリスにも直接関わる事だから」「えっ?」こうして僕達はアリスにも全容を話した。
そして、「じゃ、じゃあそのために養成学校へ?」「そう。どちらにしても養成学校へ入学しなければいけないことは避けては通れないだろうから」と僕が言うと、「······じゃあ、私も2年後養成学校の試験受ける!」とアリスが言った。
流石に僕らはそう言うだろうと思っていたので驚きはしなかったが、「けど、そのためにはおじさんやおばさんを説得しなきゃいけないぞ。しかもレックスの事は絶対に秘密にして」「それも頑張る!」「そっか、分かった。応援してるよ、アリス」「うん!!」と言い合ってこの話題は終わりとした。
「てことは、次に3人が会うのは王都でって事になるな」とアッシュ兄ちゃんが言うと僕とアリスは「うん」「そうだね」と沈んだ雰囲気で返した。
その後アッシュ兄ちゃんが片手を出しながら「じゃあまた2年後に会おうぜ!」と言い、僕が次にその手に片手を乗せて「うん! 王都で」と言い、最後にアリスが片手を乗せて「養成学校の試験に合格して!」そして、「「「おおっ!!」」」と叫び、パーティー会場へ3人で向かった。
そしてその夜、僕とアッシュ兄ちゃんはそれぞれの思いを両親に伝え、4人とも2人の思いを理解して了承してくれたのだった······。
その2日後の朝。「じゃあ父さん、母さん、アッシュ兄ちゃん、アリス、行ってくるよ」と僕が言ったら、「あぁ、頑張ってこいよ!」「いつでもいいからたまには村に顔を出しに来なさいよ」「先に養成学校に行って待ってるからな」「じゃ、じゃあねっ、レックス(グスッ)」それぞれ見送りの言葉を掛けてくれてアリスが泣き出しそうだったので、「だからもう会えないってわけじゃないだろ、アリス」と言うと、「分かってるけど」などとやり取りをして僕は村を旅立った。
運命の魔王軍との決戦の日まで、後5年······。
残ってた村人に話を聞くと、トロルが襲っては来たが草や木がトロルを動けなくしてその隙に村人がトロルを倒したとの事だ。
そして怪我を負わされた人達も、重傷を負った人や歩くことが出来なくなってしまった人も何人かいるが、前世と違って死んだ人は誰もいなかった。こうして誰1人として死亡することもなく僕達はトロルの襲撃を防ぐことが出来た。
後日周りの村の様子を聞いたところ、何体かトロルが襲撃してきたが草や木の助けもあって全員倒すことが出来たそうだ。ただし、こちらは建物などへの被害があった村も出たと聞いた。
そうした村々の復旧が落ち着いたある日、僕達の村で今回のトロル撃退の祝勝パーティーが開かれた。
周りの村の村長などは特に襲撃を最小限に抑えられた(表向きの)立役者である父さんやレオおじさんに感謝し、大人は大人で初対面の挨拶やら会話を交わし、そして子供達は子供達でパーティー会場や村の他の場所で遊び出したりと全員が楽しい時間を過ごしていた。
一方、僕は現在自室のベッドに横たわってある事を悩んでいた。
コンッコンッ! そこへアッシュ兄ちゃんが部屋の窓を叩いて開けて中に入って来た。
「よっと。どうしたんだよ、今回の本当の1番の立役者がパーティーに来ないで」「うん、ちょっと······」
「······ひょっとして、ハウル様に言われた事について考えてるのか?」「······うん」「やっぱり」
そう、あの時ハウル様の家を出る時ーーところでレックスよ、お主トロルの襲撃を何とか出来たら養成学校には入学せんのか?ーーと聞かれたのだ。
「別に入学する必要は無いだろ。実際トロルを撃退出来たんだから」と言ってきたが、「違うんだ」「違う?」そう言って僕は体を起こし、「養成学校に入学する事はもう僕の中では決めてるんだ」「えっ? じゃあ何を悩んでたんだよ?」「うん。養成学校へは来年10歳にならないと試験を受けられないでしょ?」「ああ」
王都の養成学校は10歳から15歳の人であれば生まれや種族などは関係なく入学試験を受けられ、また何度も受けられるため合格するまで毎年受験する人もいるようだ。
「だからそれまでの約1年間、ハウル様の下で修行をさせてもらおうかなと思っていて」「修行?」
「うん。あの時のデカトロルなんだけど、前の襲撃の時にはいなかったはずなんだ」「何だって!?」
「つまり、少しずつだけど歴史が変わってきたりしているから、今入学しなくても後々養成学校に入学する事となって騎士団に入団し、あの決戦の場に赴く事になると思うんだ。だからそれまで少しでも自分を鍛えようと考えてて、やっぱりハウル様の下で修業をしながら入学金を魔物などを倒しながら自分で稼ごうと考えてたんだ」
そこまで僕が言うとしばらく沈黙が続いたが、アッシュ兄ちゃんから「それで良いんじゃねぇか」「えっ?」そう言われたので僕は驚いてアッシュ兄ちゃんの方を向いた。
逆にアッシュはレックスの方を見て笑いながら「このまま村にいても無駄な時間を過ごすだけになるんだったら、ハウル様の下で修業した方がお前のためにもなるんじゃないか」と答えてくれた。
「アッシュ兄ちゃん」「俺も先に養成学校に入って強くなってるからよぉ」「っ! じゃあ······」「あぁ、俺も父さんや母さんを説得して次の養成学校の入学試験を受けるぜ」「うん!」と僕らがやり取りをしていたら、「養成学校って、何?」突然外から声が聞こえ、そこには「「ア、アリス!!」」が立っていた。
「養成学校って王都にある? 何で2人が養成学校に入学しなきゃいけないの?」と言いながら僕らの方へ寄ってきて、「ねぇどうして? 教えてよ!」と言いながら顔を窓からこちらに乗り出させた。
「どうして私には何も話してくれないの! 前回も私が村にいない時に2人だけで村を出て行って!!」そこまで言うとアリスは泣き顔になった。
「お、落ち着けアリス!」「分かった分かった。話す! 話すから!」「本当に?」「うん。アリスにも直接関わる事だから」「えっ?」こうして僕達はアリスにも全容を話した。
そして、「じゃ、じゃあそのために養成学校へ?」「そう。どちらにしても養成学校へ入学しなければいけないことは避けては通れないだろうから」と僕が言うと、「······じゃあ、私も2年後養成学校の試験受ける!」とアリスが言った。
流石に僕らはそう言うだろうと思っていたので驚きはしなかったが、「けど、そのためにはおじさんやおばさんを説得しなきゃいけないぞ。しかもレックスの事は絶対に秘密にして」「それも頑張る!」「そっか、分かった。応援してるよ、アリス」「うん!!」と言い合ってこの話題は終わりとした。
「てことは、次に3人が会うのは王都でって事になるな」とアッシュ兄ちゃんが言うと僕とアリスは「うん」「そうだね」と沈んだ雰囲気で返した。
その後アッシュ兄ちゃんが片手を出しながら「じゃあまた2年後に会おうぜ!」と言い、僕が次にその手に片手を乗せて「うん! 王都で」と言い、最後にアリスが片手を乗せて「養成学校の試験に合格して!」そして、「「「おおっ!!」」」と叫び、パーティー会場へ3人で向かった。
そしてその夜、僕とアッシュ兄ちゃんはそれぞれの思いを両親に伝え、4人とも2人の思いを理解して了承してくれたのだった······。
その2日後の朝。「じゃあ父さん、母さん、アッシュ兄ちゃん、アリス、行ってくるよ」と僕が言ったら、「あぁ、頑張ってこいよ!」「いつでもいいからたまには村に顔を出しに来なさいよ」「先に養成学校に行って待ってるからな」「じゃ、じゃあねっ、レックス(グスッ)」それぞれ見送りの言葉を掛けてくれてアリスが泣き出しそうだったので、「だからもう会えないってわけじゃないだろ、アリス」と言うと、「分かってるけど」などとやり取りをして僕は村を旅立った。
運命の魔王軍との決戦の日まで、後5年······。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる