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第2章 タイムリターナー

第15話 スカイマウンテンのハウル

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 トロルの襲撃に備えるための助言を賢者様に聞くためにスカイマウンテンへ向けて村を出て数日が過ぎた。

 その間いくつかの村に立ち寄って貰ったお金で食料などを購入したり、肩慣らしという意味合いで偶然見掛けた魔物を倒して手に入れたお金や素材などを換金したりして宿屋に泊まったりして旅を続けた。

 そして、「着いたね」「あぁ。にしてもやっぱり高ぇなぁ」僕達はとうとうスカイマウンテンの麓に辿り着いた。

 しかしアッシュ兄ちゃんが呟いたように本当に高い。頂上の方が全く見えない。

「んで、どうやって頂上に行くんだ?」僕もそう思ってて当然の質問だ。

 僕らは周りを調べてみたら洞窟と上へ向かう坂道が同じ所に存在していて、「アッシュ兄ちゃん、あれ」その近くに立て札が立てられているのを見つけて僕はアッシュ兄ちゃんに声をかけた。

「どうした?」「これ見て」と立て札を見たら~~ご用の方はどちらかの通路をご利用ください。但し、命の保証は致しかねますのでご了承を 賢者ハウル~~と書かれていた。

「やっぱり賢者様が住んでいたんだ」「うん。父さんの言った通りだったね」「あぁ。さて、取り敢えずどっちから行く?」「う~ん······」2人で考えた結果、坂道を登って行く事にした。


 所変わってここはスカイマウンテンの頂上。一面が平原状になっている所に切り株状の家(窓とドアが1つずつ付いているので)があった。
 
 その家の中では1人の老人ーー賢者ハウルーーが食事の準備をしていた。ちょうど準備が出来てテーブルに置いた時、その老人の後ろでまばゆい光が光った。老人が後ろを振り返ると白く輝いたもう1人の老人がいた。

 その老人が「久しぶりだな、6代目」と言い、ハウルも驚いた後に「お久しぶりです、初代」と返答した。

「今回はどのような赴きで?」「ここにもうすぐ"タイムリターナー"がやって来る」「タイムリターナーですと!? 何十年ぶりでしょうか」「うむ、その者の手助けをしてやるのじゃ」「分かりました」と受け答えをして老人は光とともに消えた(さて、一体今回はどのような者であるか······)。

 ハウルがそう思っているまさにその時、「「つ、着いたぁ」」坂道を登って来たレックスとアッシュが頂上の平原に辿り着いた。

「あ、あれか?」「た、多分。あそこに賢者様が······」2人ともここまで険しい通り道や鳥状の魔物の襲撃にあったりしてバテバテだった。

「取り敢えず行こう」「あぁ」そう言って家に近付いた。そして「賢者様、いらっしゃいますか?」と言いながらドアをノックした。

 するとドアが開かれ中から「誰じゃ?」と言いながらおじいさんが現れた。

「あ、あの、あなたが賢者ハウル様ですか?」「うむ、そうじゃ。お主らは?」「僕達はウッド村のレックスと」「アッシュと言います」「ウッド村。あんな遠い村から儂に何の用じゃ?」

「実は、もうじき僕らの村を始め多くの村がトロルに襲われてしまうため、それを防ぐ方法を賢者様にお聞きしたくて参りました」「っ! 何じゃと。取り敢えず中で聞かせてもらおう」「「はい!」」そう言って僕らは家の中に招き入れられた。

 そして家の中のテーブルに備えられている椅子に座ったところで、「さて、本題に入る前になぜトロルの襲撃が"ある"と知っておるのじゃ?」とハウル様から尋ねられた。

「それは」僕はそう言ってひと呼吸置き、「僕が未来からの"転生者"だからです!」「転生者?」その後アッシュ兄ちゃんと父さんに説明したことをハウル様にも説明した。

 すると「そうか、お主がタイムリターナーであったか」「「タイムリターナー?」」「ん、聞いてはおらんのか?」「はい。初めて聞く言葉です」ハウル様から突然これまで聞いたことのない言葉が出てきたのでそう答えた。

(初代め、まぁ良いか)「タイムリターナーというのは”時の戻り人”と呼ばれておってのぉ。レックス、さっき前世で無念の最後を遂げたと申したじゃろう?」確かにそう説明した。

「その者が死ぬことで本来その者が助けるはずの者が死に、逆に倒すはずの者が生き残ることで大きくその後の世界が変わる事態になることもある。ゆえにその者が死ぬということを無かったことにするために過去のある時期に魂を戻される事があり、その戻された者をタイムリターナーと呼ぶんじゃ。儂も以前に1人だけ会うた事があってのぉ」前に神の使いに教えてもらった内容とほぼ同じだ。

「その魂の戻される時期はその事態が起こる少し前の時もあればお主のように赤ん坊の時代まで戻される者もおる。全ては事態を防げる最善の時に神がお戻しになられるんじゃ」「そうだったんですか」ハウル様の説明に僕らは黙って聞いていて僕がそう言った。

「しかしそういう訳なら力を貸さんとならんのぉ」「本当ですか!」

「うむ。ちと待っておれ」そういってハウル様は何らかの方法で紙と筆を手元に呼び寄せ、その紙に何かを書いて「これを持って行くが良い」と渡してきた。

「これは?」と聞き返すと「それを持ってこの山より北西の方に半日ほど歩いて行くと砂漠地帯に行き当たり、その中で1部森に覆われた地帯に行き着くはずじゃ」

「砂漠地帯に森が?」僕がそう聞き返すと「その森にはエルフ族のひと集団が暮らしておる里があるのじゃ」

「エルフ族が?」アッシュ兄ちゃんが聞き返すと「その里の者に、スカイのジジィからの手紙だと伝えれば里の長の元に通されるじゃろうからその手紙をそいつに渡し、お主がタイムリターナーだと伝えるんじゃ。後はその者が何とかしてくれるじゃろう」

「ス、スカイのジジィ······」とても言えない。「まぁその辺はお主らに任せるわ。あとこの家の裏に果物やら食べ物があるからいくつか持っていき、湖の水も持って行くがよい」「「はい。ありがとうございます!」」

 そう言って僕らは立ち上がり家を出て行こうとしたら、「ところでレックスよ」「はい?」「お主、トロルの襲撃を何とか出来たら養成学校には入学せんのか?」

「っ! そ、それは······」「まぁまだ先じゃが、もし入学するのならその前か入学して早いうちに儂の所を訪ねてくるのじゃ」「······分かりました」そう言って僕達はハウル様の家を出て、食べ物と水を少しもらって山を降りた。

(フムあの2人、特にレックスの方は確かに何か大きな運命を背負っとる感じじゃった)2人が出て行った後ハウル様は先ほどの状態のまま考え込んでいた。

(じゃから儂の下に導いたのかもしれぬが、それにしても······)そうまで思って少し上空を見上げ(あまりにもこちらに丸投げしすぎではありませんか? 初代殿)と思いながらそこに掲げられていた肖像画を眺めた。

(まっいいか、さてご飯、ご飯)とだいぶ前に出来上がってて何処かに移していたご飯を食べだしたのであった······。 
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