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第1章 転生
第13話 告白そして旅立ち1
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ファンタジック歴1095年。
オークと森で遭遇した一件から数ヶ月、そして、トロルの襲撃まで残り約半年という頃、僕はアッシュ兄ちゃんと魚釣りをするためにいつもの川に来ていた。もちろんコイツ(ベアーズ)も隣にいて。
アッシュ兄ちゃんは出発直前におばさんからどうしてもやって欲しい用事を頼まれたので後から来る事になった。
「ハァ、それにしても」先のオークの一件では村人に犠牲者が出なかったし、コイツらの一件でも父さんに大怪我を負わさせなかったので前世より戦力となる人は増えたが、未だにトロル襲撃に向けての対抗策を見出だせずにため息をついた。
(トロルが襲って来るまであと約半年しかないはずだろう。なのに一向に対抗策が思い浮かばない。やはり父さんや母さん、レオおじさんやアッシュ兄ちゃん、村の人達に知らせて皆で一時的に避難するか。でもそれはダメだと赤ん坊の頃神の使いに言われたし······)
そう赤ん坊の頃に転生してから一度だけ神の使いと話し、その時ーー大勢多数の者に伝えるのはならんーーと言われた。
ただその後ーー伝える相手をよくよく見極める事じゃ。そうすればお主の望む結末に出来る事も可能だーーとも言われた。
(つまり、伝える相手を見極めればトロル襲撃も何とか出来るという事だ。ただ誰に伝えれば良いのか······)
そう考えていたら、「どうだ、釣れてるか?」アッシュ兄ちゃんがやって来た。
「ううん、全然」「そうか」と短いやり取りをしてアッシュ兄ちゃんも魚釣りをやり始めた。
そして魚釣りをやり始めてすぐにアッシュ兄ちゃんが「なぁレックス」「何? アッシュ兄ちゃん」「お前、俺達に何か隠してる事があるんじゃないか?」
(ドキッ!)「な、何にも隠してる事なんて······」「そうじゃなきゃ色々説明がつかねぇんだから。まずコイツらと初めて会った時だって」と言ってベアーズを見た。
「あの時ベアーが出て来た時俺は腰を抜かしたのにお前は堂々とベアーを見ていたし、オークの時だって、俺やアリスはオークを見て震えていたのにお前は冷静に俺達に指示を出してきた。おかしいだろ? 年下のお前の方がしっかりしてたなんて」と言ってきた。「それに······」まだ何か言いたげだった。
「俺達を逃がす前やおじさん達とお前のところに行った時、お前『そうしないと村の人達も大変な目に遭うんだ』とか『こうでもしないと多くの犠牲者が出てたかもしれないんだ』って言ってただろ? まるでそうなるのが分かっていたみたいに」と言ってきた。
······確かに、あの発言はやっぱ不味かったかも。「なぁ、話したくなけりゃこれ以上聞かねぇけどよ、正直この気持ちをスッキリさせて欲しいんだ」と言われた。しばらく僕は黙って考えていた。
······ーー伝える相手をよくよく見極めーー······。
(神様、兄ちゃんなら大丈夫ですよね)そう決心し、「分かったよ、兄ちゃん。全部話すよ」と伝えた。
「っ! やっぱり何か隠してたのか?」「うん、実は······」全て話そう「これまでの主だった出来事なんだけど······」アッシュ兄ちゃんに「生まれた時から遭遇する事を······」僕の知っている全てを「知っていたんだ!」「······えっ?」
僕の突然の発言にアッシュ兄ちゃんはきょとんとしていた。「し、知っていたって?」「実は僕の心、魂は遠い未来、13歳の時から転生してきたモノなんだ」「じゅ、13歳から転生?」「うん」そして僕は前世での最後のあの魔王軍との決戦を思い出していた。
「13歳の僕とアリス、そして1歳年上、つまり14歳のアッシュ兄ちゃんは王都にある王国騎士団の養成学校を卒業後騎士団の一員になり、その頃勇者と呼ばれる人達が現れ僕達ヒト族を始め多くの種族の連合軍が魔王軍との決戦の場に赴くんだ」アッシュ兄ちゃんは黙って僕の話を聞いていた。
「そしてその闘いの最中、僕は同じ騎士団の誰かに殺されてしまうんだ」「お、同じ騎士団の誰かに?」
「そう」確かにあの時、騎士団が使用している小剣で腹を刺され、刺した相手も騎士団の中の養成学校にいた頃から知っている誰かであった。
「ただ、実は僕は本当はそこで死ぬはずじゃなかったんだよ」「し、死ぬはずじゃなかったって!?」
「うん。神の使いって人からそのすぐ後教えてもらって、その時僕が死んだ事でその後の世界に大きな悪影響が及ぶ事になるとも言われたんだ」
そう伝えると「あ、悪影響って?」と当然聞いてきたので「分かんない。それは教えてもらえなかった。ただ、今回の死を回避させるために僕の魂を赤ん坊時代に戻し、人生をやり直させる機会を与えると言われたんだ。しかも、それまで培った記憶と体力などの身体能力をそのままの状態でって」「す、凄ぇ」相当驚いていた。そりゃそうだろう。
「だ、だから今までもあんな行動が出来たのか? 起こる事が分かってたから?」と聞いてきたので「うん、そう」と答えると納得した顔をした。
「なぁんだ、ようやくスッキリ出来たぜ。ありがとなレックス。話してくれて」アッシュ兄ちゃんはスッキリしたみたいだけど、僕の本題はここからなんだ。
「アッシュ兄ちゃん」「ん? 何だ?」「アッシュ兄ちゃんにこの話をする事にしたのは、ここからが本題なんだ」「えっ?」
「実は今から約半年後に、僕達の村を始め森の周りの村々をトロルの大集団が襲ってくるんだ」「ト、トロルの大集団が?」
僕は無言で頷き「そして、僕達3人以外が······皆殺されてしまうんだ」「な、何だって!?」その声にはベアーズも驚いて飛び起きてしまった。
オークと森で遭遇した一件から数ヶ月、そして、トロルの襲撃まで残り約半年という頃、僕はアッシュ兄ちゃんと魚釣りをするためにいつもの川に来ていた。もちろんコイツ(ベアーズ)も隣にいて。
アッシュ兄ちゃんは出発直前におばさんからどうしてもやって欲しい用事を頼まれたので後から来る事になった。
「ハァ、それにしても」先のオークの一件では村人に犠牲者が出なかったし、コイツらの一件でも父さんに大怪我を負わさせなかったので前世より戦力となる人は増えたが、未だにトロル襲撃に向けての対抗策を見出だせずにため息をついた。
(トロルが襲って来るまであと約半年しかないはずだろう。なのに一向に対抗策が思い浮かばない。やはり父さんや母さん、レオおじさんやアッシュ兄ちゃん、村の人達に知らせて皆で一時的に避難するか。でもそれはダメだと赤ん坊の頃神の使いに言われたし······)
そう赤ん坊の頃に転生してから一度だけ神の使いと話し、その時ーー大勢多数の者に伝えるのはならんーーと言われた。
ただその後ーー伝える相手をよくよく見極める事じゃ。そうすればお主の望む結末に出来る事も可能だーーとも言われた。
(つまり、伝える相手を見極めればトロル襲撃も何とか出来るという事だ。ただ誰に伝えれば良いのか······)
そう考えていたら、「どうだ、釣れてるか?」アッシュ兄ちゃんがやって来た。
「ううん、全然」「そうか」と短いやり取りをしてアッシュ兄ちゃんも魚釣りをやり始めた。
そして魚釣りをやり始めてすぐにアッシュ兄ちゃんが「なぁレックス」「何? アッシュ兄ちゃん」「お前、俺達に何か隠してる事があるんじゃないか?」
(ドキッ!)「な、何にも隠してる事なんて······」「そうじゃなきゃ色々説明がつかねぇんだから。まずコイツらと初めて会った時だって」と言ってベアーズを見た。
「あの時ベアーが出て来た時俺は腰を抜かしたのにお前は堂々とベアーを見ていたし、オークの時だって、俺やアリスはオークを見て震えていたのにお前は冷静に俺達に指示を出してきた。おかしいだろ? 年下のお前の方がしっかりしてたなんて」と言ってきた。「それに······」まだ何か言いたげだった。
「俺達を逃がす前やおじさん達とお前のところに行った時、お前『そうしないと村の人達も大変な目に遭うんだ』とか『こうでもしないと多くの犠牲者が出てたかもしれないんだ』って言ってただろ? まるでそうなるのが分かっていたみたいに」と言ってきた。
······確かに、あの発言はやっぱ不味かったかも。「なぁ、話したくなけりゃこれ以上聞かねぇけどよ、正直この気持ちをスッキリさせて欲しいんだ」と言われた。しばらく僕は黙って考えていた。
······ーー伝える相手をよくよく見極めーー······。
(神様、兄ちゃんなら大丈夫ですよね)そう決心し、「分かったよ、兄ちゃん。全部話すよ」と伝えた。
「っ! やっぱり何か隠してたのか?」「うん、実は······」全て話そう「これまでの主だった出来事なんだけど······」アッシュ兄ちゃんに「生まれた時から遭遇する事を······」僕の知っている全てを「知っていたんだ!」「······えっ?」
僕の突然の発言にアッシュ兄ちゃんはきょとんとしていた。「し、知っていたって?」「実は僕の心、魂は遠い未来、13歳の時から転生してきたモノなんだ」「じゅ、13歳から転生?」「うん」そして僕は前世での最後のあの魔王軍との決戦を思い出していた。
「13歳の僕とアリス、そして1歳年上、つまり14歳のアッシュ兄ちゃんは王都にある王国騎士団の養成学校を卒業後騎士団の一員になり、その頃勇者と呼ばれる人達が現れ僕達ヒト族を始め多くの種族の連合軍が魔王軍との決戦の場に赴くんだ」アッシュ兄ちゃんは黙って僕の話を聞いていた。
「そしてその闘いの最中、僕は同じ騎士団の誰かに殺されてしまうんだ」「お、同じ騎士団の誰かに?」
「そう」確かにあの時、騎士団が使用している小剣で腹を刺され、刺した相手も騎士団の中の養成学校にいた頃から知っている誰かであった。
「ただ、実は僕は本当はそこで死ぬはずじゃなかったんだよ」「し、死ぬはずじゃなかったって!?」
「うん。神の使いって人からそのすぐ後教えてもらって、その時僕が死んだ事でその後の世界に大きな悪影響が及ぶ事になるとも言われたんだ」
そう伝えると「あ、悪影響って?」と当然聞いてきたので「分かんない。それは教えてもらえなかった。ただ、今回の死を回避させるために僕の魂を赤ん坊時代に戻し、人生をやり直させる機会を与えると言われたんだ。しかも、それまで培った記憶と体力などの身体能力をそのままの状態でって」「す、凄ぇ」相当驚いていた。そりゃそうだろう。
「だ、だから今までもあんな行動が出来たのか? 起こる事が分かってたから?」と聞いてきたので「うん、そう」と答えると納得した顔をした。
「なぁんだ、ようやくスッキリ出来たぜ。ありがとなレックス。話してくれて」アッシュ兄ちゃんはスッキリしたみたいだけど、僕の本題はここからなんだ。
「アッシュ兄ちゃん」「ん? 何だ?」「アッシュ兄ちゃんにこの話をする事にしたのは、ここからが本題なんだ」「えっ?」
「実は今から約半年後に、僕達の村を始め森の周りの村々をトロルの大集団が襲ってくるんだ」「ト、トロルの大集団が?」
僕は無言で頷き「そして、僕達3人以外が······皆殺されてしまうんだ」「な、何だって!?」その声にはベアーズも驚いて飛び起きてしまった。
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