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序章

第3話 レックス・アーノルド

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 僕ことレックス・アーノルドは、ヒト族の王都であるサンドリア王国より西へ1日半くらいで辿り着ける場所にあるウッド村と呼ばれる村で生まれ育った。

 そこは周りが森で囲まれていて森を出たところには他のいくつかの村があり、その村々の人達とも仲良く穏やかに暮らしていた。

 僕らの村は森にいる動物を適度に狩ったり生えている薬草や食物を採って自分達の食料にしたり、また周りの村々に売ったりして生計を立てていた。

 また極々稀にであるが森の中に魔物が出没することもあったので、その監視と出没した時の周りの村への連絡と討伐役も引き受けていた。

 僕もその村の男の1人ということもあって、子供の頃から村で一番信頼されている父親のゴーシュ・アーノルド(皆からはゴッシュと呼ばれている)と、僕の家の隣に住んでいて1つ年上のアッシュ兄ちゃんことアッシュ・ハーメルンやその父親のレオ・ハーメルンおじさんらとよく森に出掛けていた。僕らは主に動物の狩りをしながら魔物の監視を行っていた。

 またたまに母親であるマリーア・アーノルド(こちらも皆からはマリーと呼ばれている)と、なぜか毎回付いてくるアッシュ兄ちゃんの家とは反対の隣に住んでいる幼なじみのアリス・テレンシアと共に薬草の採集にも行っていた。

 そしてよくそのアリスやアッシュ兄ちゃんと、またたまに他の村の子供達と森で遊んだりして楽しい毎日を過ごしていた。

 だが僕が9歳になった時突然僕らの村を始め、森の周りの村々がトロルの集団に襲われ村人が全員殺されてしまった。

 ただ、その時たまたま村から遠く離れた森の中に遊びに行っていた僕とアリスとアッシュ兄ちゃんだけが奇跡的に生き残ったのであった。そのすぐ後に来た騎士団の調査隊によって僕らは王都に連れていかれ、そこの孤児院で生活する事となった。

 王都に来て数日過ぎた時に突然アッシュ兄ちゃんが騎士団の養成学校に入学すると言い出し、村を出る時に残っていたお金を持ち出していて僕やアリスにそれを使う許可を求めてきた。

 当然僕らは兄ちゃんを送り出すことにし、兄ちゃんから「お前達も来年までにお金を貯めて養成学校に入学しろよ。そして父さんや母さんの敵をとりつつ、俺達のような子供を出さないように国へ協力しようぜ」と言われ、それから僕とアリスは必死に働いたりしてお金を稼ぎ、翌年2人とも無事養成学校に入学出来たのであった。

 養成学校は入学時、主に武闘や剣術を学びつつ体力を鍛える武力科、魔法を修得、強化したり魔力を極める魔法科、そしてアイテムなどを研究したりして知識教養を深め、戦闘をサポートするサポート科から選ぶことになっており、僕と兄ちゃんは武力科、アリスはサポート科をそれぞれ選んだ。

 そして3年間学校で学習して卒業試験に合格したものが騎士団になる資格を与えられるのだ。ただし全員が騎士団に入るわけではなく、出身地の自警団などで活躍するために入学した者がいれば、王都に住んでいる貴族の子供らが教養を深める延長線で入学する者も中にはいた。

 そうして僕らは3年間学んだ後無事卒業でき、卒業後3人とも(兄ちゃんは1年早く)騎士団に入団したのであった。

 そして僕とアリスが入隊して間もない頃に勇者パーティーが聖剣を手に入れ、魔王軍との決戦に向けて有志を募集しだした話を聞き、3人とも応募して今に至るのであった。
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