野生子グマの人生変転記

きこうダきこう

文字の大きさ
上 下
39 / 61
学校での出来事

第39話 文字と言葉と······言語?

しおりを挟む
 それからまた何日か過ぎ、レックス達がまた学校へ行く事になる2日前······。

 アリスが部屋にやって来てレックスと色々話していた。その時、(そういえば······)ボクはふと部屋にあったの事を思い出した。

(あれはたしか······)そう思いながらレックス達の目を盗んでイスに登ってから机に登って本を探し、(あった!)目的の本を探し当ててそれを咥えて机から降りた。

 そして、ツンッ、ツンッ(アリス、アリス)その本でアリスの体を突ついた。

「ん? 何、ベアーズ······その本は?」「どうしたの。あれ、その本って?」アリスとレックスがボクの咥えている"各種族の言語"の本を見てそう呟いた。

 レックスがその本を手に取り「僕が授業で使ってた本だよ」「そうなんだ。でも、これが······あっ、そういえば」「何?」

「レックスとお兄ちゃんが村を出てってから私がベアーやベアーズと体力を付けてたって話をしたでしょ?」「あぁ、そういえば再会したとき話してたっけ」

「その時ベアーズにお父さんの部屋にあった本を用いて色々な言葉や文字を教えてあげたのよ」「そうだったんだ······あっ、そうか。それでコイツこのタイトルの"言語"って文字が気になってたんだな」とボクを見つめた。

 コクコク(そうそう!)とボクが頷くと「やっぱりそうだったんだ」「そういう事ね。ベアーズ、言語って言うのはね私達ヒト族をはじめ、ロース君や私のクラスメイトのメリー達エルフ族とかこの世界には様々な種族がいるのは知ってるでしょ?」と聞かれて以前にレックスからそんな話を聞いた事を思い出してコク(うん、知ってる)と頷いた。

「言語って言うのはね、それぞれの種族が使っている言葉······例えば私達ヒト族ならヒト語、エルフ族ならエルフ語って呼ばれているんだけど、そうした言葉を言いまとめた言葉なのよ」「そうそう」と説明してくれて、(そっか! つまり、レックス達とロース達はそれぞれ違う文字や言葉を使ってて、それを言い分けるのに言語って言葉があるんだ!)と理解したのだった。

 そんなボクの様子を見て「分かってくれたみたいだな」「みたいね」と2人が言い、それを聞いてボクもコク(うん!)と大きく頷いたのだった。

 それから2人はその本や他の本を用いたりしながらボクに色々な言葉や文字や言語を教えてくれたのだった······。

 それによって、ボクが学校で過ごすようになってから何度も聞いたりしたここの寄宿舎や先生、授業に教室、さらには王都の中にあるお店の事など様々な言葉や文字と、それらがどんな意味であるのかを覚えることが出来た······。


 翌日、明日からの学校生活に必要な物を買いにレックスと街中に買い物へ出掛けた。

「えーっと、あと必要な物は······」とレックスが考えていると、「おーい! レックスー!」(ん?)前方からレックスを呼ぶ声が聞こえた。

「ん? あっ、バーミリアン先生!」(あっ)レックスの担任だったバーミリアンって先生がこっちに向かって来た。

「久しぶりぶりだな。ベアーズと一緒に買い物かぁ?」「はい。明日からの学校生活で必要な物を買っておこうと思って。バーミリアン先生もお買い物ですか?」「あぁ、まぁな」「そうでしたか」

「じゃあまた明日からの学校でな」「はい、さようなら」(じゃあねー······)その時ふとボクは昨日レックスやアリスから教えてもらった言葉と、ある人物の事を思い出し、「ガァー!(バーミリアンの、!)」と叫んだ。

 ボクの声が聞こえたのかそのすぐ後バーミリアンのおっちゃんは振り返り、笑顔でボク達に手を振って歩いて行った。

 そんなバーミリアンのおっちゃんの様子を見て、(······バーミリアンのおっちゃんで良いんだ)と特に何も言われなかった(ベアーズの言葉が理解出来ないから当然)事もあり、ボクはその時から“ハウルのおっちゃん”のような"大人の男"と思われる者達を皆呼ばわりする事にしたのだった······。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

ループn回目の妹は兄に成りすまし、貴族だらけの学園へ通うことになりました

gari@七柚カリン
ファンタジー
────すべては未来を変えるため。  転生者である平民のルミエラは、一家離散→巻き戻りを繰り返していた。  心が折れかけのn回目の今回、新たな展開を迎える。それは、双子の兄ルミエールに成りすまして学園に通うことだった。  開き直って、これまでと違い学園生活を楽しもうと学園の研究会『奉仕活動研究会』への入会を決めたルミエラだが、この件がきっかけで次々と貴族たちの面倒ごとに巻き込まれていくことになる。  子爵家令嬢の友人との再会。初めて出会う、苦労人な侯爵家子息や気さくな伯爵家子息との交流。間接的に一家離散エンドに絡む第二王子殿下からの寵愛?など。  次々と襲いかかるフラグをなぎ倒し、平穏とはかけ離れた三か月間の学園生活を無事に乗り切り、今度こそバッドエンドを回避できるのか。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

処理中です...