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学校での出来事

第35話 お散歩

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 ハウルのおっちゃんのお陰もあり、コウチョウってヒトにたまにならスペースを抜け出すことを許してもらった日から3日後。

(今日ぐらいは良いかな)そう思い久しぶりにスタッ! とスペースを抜け出した。

(とりあえずは)そのまま目の前の森を走り抜け、あちこちが見渡せた場所に向かった。

 目的の場所に着き、改めて周りを見渡し(ホントに広い所だなぁ)と感じた。その時以前気になったたてものの次ぐらいに大きなたてものが目に止まった。

(あそこは何だろう?)そう思いそこへ向かった。そのたてものの下に着いたらやはり前のほどではないが、その大きさに驚いていた。

 少ししてからまた外側を歩き回り、ここには前のたてものにはあった窓が1つも無かったため、唯一の入り口と思われる場所を見つけ中に入れそうだったので中に入った。

 中は少し暗かったのでゆっくり進みながら(ここは一体何なんだろう?)と思った矢先、「おい、お前!」突然誰かに声を掛けられた。

「っ! だ、誰!?」突然声を掛けられたことにボクは驚き、周りを見ながらそう聞き返したが、誰かいる気配は感じられなかった。すると「こっちだ、こっち!」とまた声が聞こえた。

 その声のした方をみたら「え?」そこには小さな生き物がいた。


「きみ、だれ?」と尋ねたら「俺か? 俺はネズミってんだ」と答えてくれた。

「そういうお前は誰なんだ?」と聞かれたので「ボクはベアーズって言うの」「ベアーズ? 何だそれは?」「なまえだよ。レックスに付けてもらったんだ」「ああそうなんだ。で、ベアーズは何でおりの外にいるんだ?」「おり?」そこまで言われようやくそのネズミが小さなスペースの中にいることに気付いた。

 そこで(おりって、ボクがいつもいるあそこと同じような所の事かぁ)と理解したところで「あのね、コウチョウってヒトにたまになら外に出ることを許してもらったの」と伝えたら、「コウチョウにか!? だからかぁ」ネズミも納得してくれた。

 そこで改めて「ねぇ、ここってどんな所なの?」と尋ねた。

「ここか? ここは俺達のような生き物が過ごしている場所だろうが。何を今さらそんな······ってそういやぁ、お前いつもどこにいるんだ?」「いつもは原っぱの上のスペースの中だよ」「原っぱ? ······そうか、お前かぁ。少し前にやって来た子グマってのは」「うん。そうだよ」

「だからここの事を知らなかったのかぁ」「うん」「本来なら俺達のような生き物はここで過ごす事になってんだが、流石にお前をここでって訳にはいかなかったんだろうな。俺達の事を気にして」とネズミは色々教えてくれた。

「で、今日はおりから出たついでにここに来たって事か?」「うん。どんな所かなって思って」「そういう事な。ところで、まだおりに帰らなくて良いのか? もうすぐごはんが来ると思うが?」そうネズミが教えてくれたところで「いけない! レックスがお昼ごはんを持ってきちゃう! じゃあねっ!」「お、おう」ネズミに挨拶して急いでスペースに戻ろうとしたその時······。

(ん?)ほんの少し先にいくつかのおかしな形をしたモノが目に入り、(あれ、何だろう? 後で確かめに来よっと)と決めてまたスペースに向かった。

 今回もギリギリスペースに戻ったところでレックスがやって来た(あ、危なかったぁ)。そうしてレックスの持ってきた昼ごはんを食べ、レックスは帰って行った。


(よし)レックスの姿が見えなくなってからまたスペースを抜け出し、さっき目にしたおかしな形をしたモノの場所に向かった。

 その場所へ着き目の前にある様々な形をしたモノを見て(······)これまた言葉が出ないくらい驚いた。

(ホントにここって、一体なに?)と疑問に思うような三角の形をした高いモノや、高さの違う切り株が近い場所に点在していたり、いくつものヒモが縦横交互に交わってるモノがあったりと本当に様々なモノが存在していた。

 それらをキョロキョロ見ながらとりあえず一番近くにあったモノに近付いた。それはやや細くて長い丸太が3本ジグザクになるよう置かれていた。

 早速手前の丸太に上がれるようになっている所から丸太の上に乗った。乗ってよくよく眺めたら、(けっこう細いや)ボクが普通に歩くには問題なさそうだが、走ったりましてやレックス達が歩くとなると注意が必要だと感じるくらいの太さだった。

 そのためとりあえずは普通に歩いて渡るようにしたけど、やっぱり普通に渡るには問題なかった。

 そして反対側の端まで着いて丸太から降りた。降りたところで(結局これ、なに?)まだこれらが何なのか分からなかった。(まぁいっか)それ以上考える事をやめ次の場所に向かった。

 次に高さの違う切り株が近い場所に点々と存在している場所に向かった。近くに着いてまずはぐるりと回り見て、それから一番低い切り株に登った。(次は)とその次に低そうな切り株を探して飛び移った。(何とか移れた。次は······)と次に低そうな切り株を探したら、けっこう離れたところにあった。そのため······。

(······やめとこ)とその切り株に移ることは諦め、近くの切り株の中で一番低そうな切り株を探し、(あった)と見つけ出して飛び移った。

 ところが(うわっ!)後ろ足が上手く着地出来ていなくて危うく落ちそうになったが、何とか持ちこたえることが出来た。

(ふぅ、危ない危ない)と安心しつつ、(······これ面白い!)とこの存在には興味を持ったのだった。

 そこからは降りるために今までとは逆に低そうな切り株を探して飛び移っていって無事地面に着地出来た。

(こんなのもあるんだぁ)と今のモノに感激し、(他のはどんなの何だろう?)と他のモノにも興味を示しだした。

 けれど、(もうそろそろ戻った方が良いかなぁ?)まだここにいたいという気持ちを押し殺し、スペースに戻ることにした。(また来れば良いや!)という思いを持って······。

 ちなみにこの時ベアーズが利用した所というのは、レックス達が養成学校に入学する際受けた試験の時に用いられた特訓コースの、超初心者用コースなのであった······。


 その後もスペースにずっといる日と抜け出す日を数日の間隔で繰り返し、抜け出した日にはネズミ達のいた所に行ってみんなと会話を楽しんだり(以前レックスとのジュギョウの時に一緒だった犬のブルータスとも何度か話した)、様々な形をしたモノが存在していた場所に行って体を動かして過ごしたりした。

 またたまにあの一番大きなたてものの所にも行き、中を覗ける所からそれぞれの中を覗いたりしたのだった。

 その際数回ほどあのコウチョウってヒトのヘヤを覗き、その時にはそのヒトや一緒にいたハウルのおっちゃんと目が合ったりしちゃったけど、特に何も言われたり怒られなかったので、とりあえずすぐにその場を離れてやり過ごした(他の所で別のヒトを見掛けた時はすぐにその場を離れた)。

 そんな風に毎日過ごしていることで(ホントにここに来て良かったぁー!)とますます感じるようになったのだった······。
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