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森での出来事

第18話 学校へ

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「レックスー!」ガシッ!「えっ!?」「あっ」「ん?」ボクが突然レックスの背中に飛び付いたことにレックス自身は驚きの声をあげ、父ちゃんやハウルってヒトは驚いた顔をしていた。

「お、おいベアーズ! 離れろよ」レックスがボクを振り落とそうとしてきたが、(絶対ヤダ!)レックスから離れまいと必死にしがみついた。

「ベアー、何とかしてくれよ」(父ちゃん)レックスは父ちゃんに助けを求めたが、「······」父ちゃんは動く気配がなかった。

「無視かよ!!」とレックスが叫んだがやっぱり動く気配がなかった。どうしてもボクが離れなくてレックスが困っているとハウルってヒトが「そのまま連れて行けば良いのではないか?」(えっ?)と言った。

「つ、連れて行くって学校に? イヤイヤイヤ、無理でしょ!」(えっ?)「案外何とかなるかもしれんぞ。のぉベアーよ」(と、父ちゃん?)と言われたら、何と父ちゃんは小さく首を縦に振った。

「と、父ちゃん!?」「どうせダメだと言っても付いて行こうとするだろうからな。仕方があるまい」「あ、ありがとう! 父ちゃん!」「ああ」

 そうボクらが会話をしている間もレックスとハウルってヒトが色々言い合っていたみたいだけど、結局「ほれ、行くぞ」ハウルってヒトがレックスの体に触れ、反対の手で持っていた何かで地面を突いたら······やっぱり周りの景色が見たこと無い景色となった。

 暫くレックスがその場で立ち尽くしているうちに「ではなレックス。後はお主で何とかするんじゃな」と言い残してハウルってヒトはいなくなった。

 残ったレックスは「はぁ、仕方ない。とりあえずバーミリアン先生に報告しに行こう」(うん!)ボクを背中にしがみつかせたまま、どこかへ歩き出した。


 そして建物の中に入ってまた少し歩いたところで、「バーミリアン先生!」「おぉレックス。もしや?」「はい。デザートフラワーのクエスト終わりました!」「おぉご苦労だったなぁ。ヨシ! 実技の試験は合格だ! 後はこっちで処理するから、教科の勉強を頑張るんだな」「はい! 失礼します」と言って後ろを向いた。

 その直後、「ん!? おいっ! ちょっと待てレックス!!」(ん?)バーミリアンってヒトが大声でレックスを呼び止めた。

 レックスが後ろを振り返り「な、何でしょう?」と言うと「何でしょうじゃないだろ! その背中のクマは何だ!?」(ボク?)と聞いてきた。

「えーっと、ですねぇ。コイツは僕の村がある森に住んでいる子グマでベアーズと呼んでいまして、今回の試験で力を貸してもらったのですが、終わって森で放そうとしたら背中に引っ付いて離れなくなりまして」(だって離れたくないんだもん!)

「それで?」「それで一緒にいたハウル様が『そのまま連れて行けば良いのではないか?』と仰りまして」「ハ、ハウル殿がそう言ったのか?」「やっぱり無理ですよねぇ? 学校で過ごさせるなんて」(そんなぁ。レックス)

 レックスがそう言ったら、「······いや、待て」「えっ?」(え?)バーミリアンってヒトがそう言った後しばらく静かになり、その後「しばらく待っていろ」と言ってそのヒトは出て行った。

「な、何だ?」(どうしたんだろう?)と思いながらそこで待っていた。


 暫くして、「レックス。一緒に来てくれ」「は、はい」(ん?)さっきのヒトにそう言われてレックスも移動しだした。

「あの、先生。どちらに?」「実はな、あの後ジルコニー校長に報告したらな······」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「校長、バーミリアンです。よろしいでしょうか?」
「入りたまえ」
「失礼します。校長、レックスが例のクエストを完了させて戻ってきました」
「もう終わらせたのか。やはり彼に任せて正解だったようだな」
「はい。ですが、その際に力を借りた子グマを連れて戻って来まして」
「こ、子グマを?」
「しかも、どうやらハウル殿がその子グマを学校に連れて行けば良いのではないかと仰ったみたいでして」
「ハウルがか?」
「はい。······如何致しましょう?」
「うーむ。奴がそう言ったのなら······受け入れるしかあるまい」
「では?」
「ああ······」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「という流れになってな。許可して下さったのだ」「······うそ?」(······え?)「それで、お前が学校にいる間だがな······」「は、はい」そう言った後はしばらくレックスもバーミリアンてヒトも何も言わなくなり、かなり歩いたところで······2人は立ち止まった。

「ここは?」「学校の敷地内の北端に当たる場所だ。見ての通り辺り一面原っぱ何だが、今日のうちにこの辺りへ柵を立ててコイツが過ごせれるスペースを設けておくから、明日からはお前が学校にいる間はここに放すようにすれば構わないと仰ったのだ」

「じゃあ、本当に良いんですか? 学校で過ごさせて」「ああ。基本は学校内と寄宿舎のお前の部屋の中だけで過ごさせるのならな。今寄宿舎の管理人には校長が話をつけて下さっている」「あ、ありがとうございます!」(や、やったぁー!)というわけで、何とボクもここ(学校)で暮らせるようになったのだった。

「とりあえず今後の色々な約束事は明日説明するとして、今日はこのままお前の部屋に連れて行って部屋から出さないようにな」「はい!」「あと、明日ここの柵が出来てコイツを放せるようになっても、他の生徒には内緒にしておくようにな」

「はい。あ······あの、バーミリアン先生?」「ん、何だ?」「出来ればサポート科のアリスと、2年生のアッシュ······先輩の2人にはコイツの事を話しておきたいのですが? 2人もコイツの事は知っていますので」(うんうん)「んー、まぁその2人だけなら構わんだろう」「ありがとうございます!」(やったぁ!)「うん。それじゃあな」とバーミリアンてヒトはいなくなった。

「本当に良かったなぁ、ベアーズ。学校で過ごせれるようになって」ボクと顔を見合わせてレックスが言ってきたので、ボクも満面の笑みを浮かべて(うん!)大きく頷いたのだった。


 こうして、その日からボクの新しい生活が始まるのであった······。
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