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1章 金輪際人を見た目で判断しません

講演ホールにて

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「ナナ、私今日から食事は一人で食べるわ。」
「今度は一体何があったんです?」
「何も言わずYESと言ってちょうだい。」
「YES。」

 さすが、ナナ。聞き分けが良いわね。

 先日、余裕をぶっこくリオ様より優位に立ちたくて、つい仕返しをしてしまった私・・・。で、でもこれでリオ様は私に近づこうとはしないはずよ!ドン引きしてこの城からとっとと立ち去るに違いないわ!

「そういえば、ラミラお姉様を最近お見かけしないわね。」

 リオ様との関係は今どうなっていらっしゃるのかしら・・・・。一応白紙には戻しましたけれど、完全に疑いが晴れたわけではありませんのよね。
 あんなことをしてしまった手前、ラミラお姉様に会いにくいけれど、この際白黒つけてしまった方がいいのかしら。

「よし!今日はラミラお姉様と食事を摂ることにするわ。」
「ラミラ姫の本日のご予定は、今の時間ですと朝の練習へ向かわれているようです。」

 朝の練習?ああ、演劇の練習ね。お姉様は毎朝、苦手な発声練習をされている。私、お姉様のそういう努力を惜しまない所が、大好きなの。

「場所は、きっと講演ホールね。早速向かうわよ!」
「はいはい。リオ王子には伝言しておきますね。」

 ありがとうナナ。リオ様が万一こちらに向かわれても困るから、早く行きましょう。


        ******

 講演ホールは、いつもコンサートの劇団を招いたり、演劇の上演をしたり、王族達の娯楽の場として、よく使われている。
 ホールが使われていない合間を縫って、ラミラお姉様はこの場所を借りて、団員仲間と日々練習をしているの。

 講演ホールの入り口へ差し掛かると、声が聞こえてきた。この声はラミラお姉様だわ。

「ラミラお姉様、いらっしゃ・・・。」

 扉を開けた瞬間、飛び込んできたのは───リオ様と、ラミラお姉様!!!

 なにやら深刻げに会話しているわ。二人は私に気づいていないようだし、ここは、盗み聞きして様子を見ましょう。

 忍び足で、ホールの椅子にナナと隠れることに成功した。一体何を話しているのかしら。


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