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1章 金輪際人を見た目で判断しません
二人っきり
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私らしくないわね、こんなことで悩むなんて。
「・・・・・眠れないわ。」
そうだわ、外の空気でも吸ってきましょう。こういう時は新鮮な空気を吸って、あのお方のことは脳内から抹殺しましょう。
お城の中庭に出て、ベンチに腰を掛ける。ナナはもう寝たみたいだし、呼び出すのもなんだから、一人淋しく庭の薔薇を眺めてたら。
「ルミネ?」
「!」
後ろからの声に聞き覚えがあると思ったら、眠れない原因のリオ様。今会いたくなかったのだけれど。
「どうしたんだい?こんな夜更けに庭を出て。風邪を引くよ。」
そう仰って、さりげなく肩にショールをかけられた。あら、お優しい所もございますのね。
そして、リオ様は私の隣に腰を掛けた。うぐぐ、余り近づかないで欲しいのに。
「ありがとうございます。ただ眠れなかっただけですわ、お気遣いどうも。」
ですのでとっととこの場を去って頂けませんか、とはさすがの私でも言えず。
・・・・そういえば、お会いしてから初めてですわね、二人っきりになるのは。うう、妙に緊張してきてしまったわ。
「眠れない?何か悩んでいることがあるのかい?」
「・・・・・リオ様とのことですわよ。」
ぴくり、とリオ様が反応したのが分かった。そりゃあそうよね、別に悪口じゃありませんからご安心なさって。
「リオ様が、私に何を求めているのか、分からないのです。婚約破棄でも、お姉様でもないのなら───私、何をすればよいのか分からなくって。私、リオ様の望むことならなんでもしますわよ。」
今まで好きになった男性は大抵推し止まりで、推しの幸せのために行動してきた。だから、リオ様が望むのならば、お姉様とリオ様をくっつけるお手伝いも難なくこなして見せますわ。
すると、リオ様の頬が少し赤く染まった気がした。私、そんな恥ずかしいこと言ってませんわよね。それとも怒っているの?
「・・・・・そんなことを悩んでいたのか、ルミネ。」
リオ様が私の頬に手をかける。エメラルドの瞳が私を見つめている。顔にまつ毛でもくっついていたのかしら。
「ルミネはただ、僕の側にいてくれればいい。僕が望むのはそれだけだよ。」
「側にいるだけ、、!?それでリオ様が幸せになれるとは思えませんわ。」
「いいや、違うよ。僕が言うんだから間違いない。ルミネがいないと、僕は幸せじゃない。」
「なっっ!そんな甘ったるい言葉で私は騙されませんわよ!大体リオ様はお姉様のファンというのは建前で──」
本当は好きなんでしょう、そう言いかけた時、頬に生暖かく柔らかい感触が。あまりにも一瞬のことで、すぐに理解が追いつかなかったのだけれど、リオ様の顔がめちゃくちゃ近くなっていることに気づく。
も、もしかしてさっきの感触は、、、。
「───これで理解してくれたかな?」
「!!!!!」
「僕が誰も好きになったことがないのは、本当だから。ルミネ以外はね。」
そう言い放ち、リオ様は去っていった。
そして、私は放心状態に陥り、気づいたらベッドで寝ていた。ま、まあ寝れたからよしとするわ、そう、なんでもポジティブに変換するのよ、私!
「昨日のアレは、そう、スキンシップよ!婚約者との、親交を深める一環!義務!」
と、言い聞かせた。
「・・・・・眠れないわ。」
そうだわ、外の空気でも吸ってきましょう。こういう時は新鮮な空気を吸って、あのお方のことは脳内から抹殺しましょう。
お城の中庭に出て、ベンチに腰を掛ける。ナナはもう寝たみたいだし、呼び出すのもなんだから、一人淋しく庭の薔薇を眺めてたら。
「ルミネ?」
「!」
後ろからの声に聞き覚えがあると思ったら、眠れない原因のリオ様。今会いたくなかったのだけれど。
「どうしたんだい?こんな夜更けに庭を出て。風邪を引くよ。」
そう仰って、さりげなく肩にショールをかけられた。あら、お優しい所もございますのね。
そして、リオ様は私の隣に腰を掛けた。うぐぐ、余り近づかないで欲しいのに。
「ありがとうございます。ただ眠れなかっただけですわ、お気遣いどうも。」
ですのでとっととこの場を去って頂けませんか、とはさすがの私でも言えず。
・・・・そういえば、お会いしてから初めてですわね、二人っきりになるのは。うう、妙に緊張してきてしまったわ。
「眠れない?何か悩んでいることがあるのかい?」
「・・・・・リオ様とのことですわよ。」
ぴくり、とリオ様が反応したのが分かった。そりゃあそうよね、別に悪口じゃありませんからご安心なさって。
「リオ様が、私に何を求めているのか、分からないのです。婚約破棄でも、お姉様でもないのなら───私、何をすればよいのか分からなくって。私、リオ様の望むことならなんでもしますわよ。」
今まで好きになった男性は大抵推し止まりで、推しの幸せのために行動してきた。だから、リオ様が望むのならば、お姉様とリオ様をくっつけるお手伝いも難なくこなして見せますわ。
すると、リオ様の頬が少し赤く染まった気がした。私、そんな恥ずかしいこと言ってませんわよね。それとも怒っているの?
「・・・・・そんなことを悩んでいたのか、ルミネ。」
リオ様が私の頬に手をかける。エメラルドの瞳が私を見つめている。顔にまつ毛でもくっついていたのかしら。
「ルミネはただ、僕の側にいてくれればいい。僕が望むのはそれだけだよ。」
「側にいるだけ、、!?それでリオ様が幸せになれるとは思えませんわ。」
「いいや、違うよ。僕が言うんだから間違いない。ルミネがいないと、僕は幸せじゃない。」
「なっっ!そんな甘ったるい言葉で私は騙されませんわよ!大体リオ様はお姉様のファンというのは建前で──」
本当は好きなんでしょう、そう言いかけた時、頬に生暖かく柔らかい感触が。あまりにも一瞬のことで、すぐに理解が追いつかなかったのだけれど、リオ様の顔がめちゃくちゃ近くなっていることに気づく。
も、もしかしてさっきの感触は、、、。
「───これで理解してくれたかな?」
「!!!!!」
「僕が誰も好きになったことがないのは、本当だから。ルミネ以外はね。」
そう言い放ち、リオ様は去っていった。
そして、私は放心状態に陥り、気づいたらベッドで寝ていた。ま、まあ寝れたからよしとするわ、そう、なんでもポジティブに変換するのよ、私!
「昨日のアレは、そう、スキンシップよ!婚約者との、親交を深める一環!義務!」
と、言い聞かせた。
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