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1章 金輪際人を見た目で判断しません
リオ王子の策略
しおりを挟む「・・・本当よ。実は、」
お姉様が何か言いかけたのを遮るように、リオ王子は続ける。
「実はね、君との婚約話が持ちかかる前に何度か会っているんだ。」
「そ、そんな・・・。」
つまり、リオ様のお好きな方はラミラお姉様で、私はお飾り枠・・・・。
分かってはいたけれど、いくらポジティブ思考の私でもショックだわ。でも大好きなお姉様と争いたくはないし、私はまだそこまでリオ王子にのめり込んではいないし、身を引くなら今のうちかも知れない。それに、浮気する男なんてこっちから願い下げですわ!
「分かりましたわ。私、潔く身を引きます。なので、婚約は解消させていただきます。」
「あっ、いや、ちょっとそれは待って。」
はい?なぜ慌てておられるのかしら、リオ様。こんな回りくどいことをせずに、お姉様と婚約なさったらよろしいのに。遠回しのプロポーズなんでしょう?
「そうではなくってね、その、ゴホッゴホン。その~、僕がラミラと会ってたと聞いて何か感じたことはないかい?」
「そりゃあ、リオ様はイケメンですし、私が攻略できないのは残念ですけれど、お相手は大好きなお姉様ですし、祝福いたしますわ。」
「・・・・・。そう。」
なんだかビミョーな苦い顔をなさっているわね、どうしてなの?展開に付いていけてないのは、私だけ?そういえば、誰にも恋愛感情を持てないっておっしゃてたわよね、あれも嘘だったのかしら。
あっもしや、お姉様を嫉妬させることが目的だったのね。
「とにかく!婚約は解消しないから、わかったね。」
「はあ・・・。」
そういうと、リオ様は慌ただしく去って行かれた。なんだったのかしら、嵐のようなイベントだったわね。
「なんだか、リオ様のイメージがだいぶ崩れてしまったような。なんだか残念な方なのね。」
第一印象の宝石の化身から、浮気野郎のトンズラ王子になってしまったわ。まあ、顔面推しには変わりないのだけれど。
「お姉様、これで良かったんですの?」
「・・・・ええ、多分。」
婚約破棄をしないってことは、お姉様が愛人枠になってしまいますわ!それは死んでも阻止しないと。
「私に任せてください、お姉様!私が必ず婚約破棄して、お姉様にあの男をお返しします。」
「・・・・なんとなく分かった気がします、リオ王子の目的が。」
ナナが何かボソリと呟いた。ちょっと聞き取れなかったわ。
そうしてこれより、私の目的はイケメン攻略から、婚約破棄にシフトチェンジしたのでした。
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