二人で散歩……たまに毒母。

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二人で散歩……たまに毒母②

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「今日も夜散歩するか」

もう季節は、初夏。

それでもこの地域は、昼間は30°
超えていた。
(今ならそれよりも+5°以上当たり前だけど)

私がおじじと呼んでる叔父は、

夜散歩するのが、ブームなのか、

最近やたらと、夜外に出たがる。

この叔父の部屋だけ

エアコン入っていて

私は聞いたそっちのほうが快適。

でも、おじじは、

気分が違うらしい。

「いいよ。でも明日学校あるから

早めに帰ろう。」

と返答。

早速いつもの準備。

自動ベッド倒し、

自分の両腕の力で

電動式車椅子に乗り込む。

私は、いつものように、

服の準備。

今日こそは、服を着せるとき

袖を腕を通す際、

麻痺になって動かない指を

引っかけないようにしないと。

痛みに鈍くなっていても、爪の

間は、神経が出ていて、

当たるだけでも

激痛を感じるらしい。

(引っかけてよく怒られ躾タイム

突入)

今日は、

失敗しないように慎重に。

「乗ったから、服着せて。」

おじじからの合図で、車椅子の

後ろから大きめの服を

被せるように着せて、腕を細心の

注意を払い袖を通した。

どうしても、左の親指が

引っかかるので、

無理矢理引っ張らずに

袖口に手を通した。

今日は、引っかけなかった。

ほっとした。

「今日は、失敗しなかったな。

いつも、こうしろよ。」

と、おじじは、ニヤニヤ笑って

私を見た。

気付いていたんだ、やっぱり。

それは、そうだ、

本人は引っかける度に

痛いのだから。

(爪に針で突っつく痛みに近いらしい。うっ痛そう。)

いつも、何かしら

失敗してしまうので、すんなり

行けたので、気分もなんか

晴れやか。(夜だけど)

今日も私とおじじ二人で

(毒母親はまたも不在)夜散歩。

懐中電灯も忘れずに持って。

行く先は、船が接岸する

そこそこ大きな港湾。

夜は、あまり停泊してないので、

たまに、釣りをしている

人がいるが、今日は居ないので、

船を留めるために

ロープを巻き付ける、

椅子みたいな柱に座る。

(ビットだっけ?)

さすが、港湾は、外灯があちこち

着いている。

懐中電灯いらないぐらいだ。

おじじは、海側を見ていた。

夜の、海も静かで良いな、と

まったり。

少し蒸し暑いけど、

海から吹く微風は、なかなか

心地好い。

「飲み物そこで、これで、

買ってきてくれるか?」

おじじが、

ファスナーにホルダーリングを

付けた革製の小銭入れを、

(いつ下げたのか)

棒状の電動式車椅子の

ハンドルに下げていたのを、

目線と首で促した。

私は、それを取り、

意外に小銭入れが重いな、と

感じながら、それを持って近くの

自販機で飲み物を買った。

そして、走って、そこに戻り

鉄の椅子?に座り、(ビット)

おじじのお茶缶を開けて

持たせた。両手で器用に押さえる

ように掴み飲む。

指は全部麻痺してるので、

疲れると、太腿とお腹あたりに

もたれかけるように置く。

たまに溢すときもあるが。

私も甘いコーヒーを飲みながら、

いつもの学校の話、

ムカつく先生の話、

友達と言い争いして、

気まずくなったこと、

をいろいろ語った。

おじじは、頷き、腹が立つと

言って成績落とすな、

自分のために勉強しろ、と

語気強くいった。

友達は、たくさん作らなくても

良いから、ひとりでも

一生付き合える友達を作れ、と

笑った。

友達いっぱい作れないよ、と、

疲れるし、と私も笑った。

そして、2時間弱まったりして、

家に帰った……が!

やらかした。私は、失敗する。

家路に着いて、家に入ったとき

「あ、!」

と、おじじが叫んだ。

びっくりした私。

「なに!?」

「おまえ、小銭入れどうした?」

真顔で、私を見る。

怒りにも近い表情だ。

胸のドキドキ動悸が痛い。

胃もキリキリ突き刺す痛み。

小銭入れを最後に

持っていたのは、私。

おじじに、返した覚えがない。

「探してくる。」

そう言って、呼び止める

おじじの声を尻目に

外を飛び出した。

(懐中電灯も持たずに)

自分の自転車で、港に行き、

自販機の周りを探す。灯りで

周りは、明るいかったが、

見当たらない。

ない、ない!革の黒い小銭入れ!

自分の注意散漫を呪う。

「あー、もしかしてあそこに…。」

さっきお茶してた、

場所に移動した。

自転車を停めて、探す。

まだ、外灯が明るく見やすい。

椅子代わりに座っていた船の

ロープを巻き付ける鉄のビットの

周りを探す。無いなあ…

すると、ちょうど外灯の下に

小さな黒い塊が。

「あ、あ、あった!。」

ホルダーリングが光っていたので

確信して駆け寄った。

今思えばなんで、そこを通って

無いのに、外灯の下に?と疑問に

思った筈だが、それよりも、

オツムが少々?弱々な私は

突発的に突進。

そして、それを拾って、

急いで自転車乗って帰った。

「あったよ、良かったー!」

とおじじに見せた。

一瞬驚いていたが、

真剣な顔になる。

「こんな遅い時間、

ひとりで出たら危ないだろ?」

と、注意。
「それと、これどこに落ちてた?」

と、私に尋ねる。

「外灯の下だけど…」

恐る恐る答える。

「財布、軽くないか?」

言われて見れば、ずっしり重み

があったのに、

極端に軽くなっている。

発見したことで、興奮して

気付かなかった。

「開けてみろ。」

そう言われて、ファスナーを

開ける。

飲み物買ったとき、500円玉、

100円玉が主に沢山入っていた。

今、残金は、1円玉と5円玉のみ。

「はあ、やっぱりな。」

おじじのため息。

「ご、ごめんなさい。」

「子供の仕業だな。大人だったら

全部盗んで、小銭入れごと海に捨

ててるだろうし、ご丁寧に、外灯

の下で、自販機で使える小銭だけ

盗ったんだろ。」

「でも、誰もいなかったよ」

人の気配は、確かになかった。

「俺らが帰った後、見つけたんじ

ゃないか?あそこは、外灯も明る

いし、いかにも、小銭入れと分か

るから。」

「とりあえず、ベッドに乗せろ。

話はその後だ。」

呆れた声で言った。

おじじの服を外し、

寝間着に着替えさせ、おじじは、

自分でベッドに乗って、

一度体を倒し、電動ベッドの

リモコンを自分の指で押さえつけ

起き上がった。

……そして、躾タイム始まる。

まず、あんな重い小銭入れを

落としてわからないとか、

あり得ないし、

責任感が無さすぎる。

その、注意散漫なとこが、

自分たちにとって、命に関わる

ことだから、

それじゃ介助頼みヅライ。


それに、お金は、大事だって

言ったよな?一円だって無駄に

したら、泣くことに……。

もろもろいろんな、説教…を

されたが、この躾タイムは、

夜中2時まで続き、

さすがに明日学校だった

ので、話はお開き、

私は部屋に行き就寝した。

その間、夜遊び母が帰ってきた

ようだが、ただいまも言わず、

自分の部屋に入っていったようだ。

(電気の明かりが漏れてた。)

私は、よく間違ったり、失敗する

ことが多かった。

天然とは、聞こえは良いが、

おじじには、死活問題だった。

このそそっかしさは、継続して

しまうが、それでも、おじじの

躾と称す時間は、無駄では、

なかったと…思う。

あの、教育がなければ、

人付き合いも、仕事もまともに

出来ず、ひとりで生きていけたか

わからないのだから。

そして、躾タイムは、続いていく。
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