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Vegetables―スピンオフ―
Starting happiness 14
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「千章――」
完璧にベッドメイキングされたシーツに下ろされ、その冷たさが火照った身体に心地いい。
すかさず覆いかぶさった律の髪からはほとんど拭かれていない雫が目元にぽとりと落ちた。思わず閉じてしまった瞼に今度は律の唇が落ちてくる。
全身に繰り返される、撫でるような優しいキス。
くすぐったくて甘ったるくて思わず目を開ける。間近にある律の目がぴたりと合い、互いにおかしくなって笑い声がこぼれた。
お返しにとばかりに律を押し倒してキスを降らせる。
「対抗すんなよ――」
おれの髪に指を絡ませながら律がからかった。
仕方ないじゃん。やられてばかりは性に合わない。
反論するように軽く歯を立ててやる。
「伸びたな……」
不意に呟かれた言葉の意味が一瞬分からず律を見つめる。
ああ――これか。
「髪? 去年の末に切ってそのままだから……鬱陶しいか?」
そういえばバタバタしていてほったらかしだった。思わず毛先をつまんで問いかける。
「いや? ちょうど触るのにいい」
言いながら律の長い指にクルクルと襟足の髪が巻き取られた。そのまま髪の毛ごと引き寄せられ静かなキス――。
再び背中にシーツの感触を受けた。
「律、お前――変……」
唇が離れた瞬間堪らずに笑った。
「こんな珍しいトコ来たから妙な空気に当てられたんじゃねぇの?」
「似合わねぇ」
図太さにかけてはかなりのはずの律がわざとらしくうそぶく様に吹き出した。
多分、これは律の照れ隠しなんじゃないかと思う。今日の律はどこか様子がおかしかったから――。
律には悪いけど、少し弱った――そんな姿を見せてくれたことがおれにはすごくうれしかったんだ。
けど――。
「そろそろいつもの律に戻れよ」
腹筋に力を入れ、上体を起こして律の耳に囁いた。
律の腕が背中に回り、一瞬だけ強くおれを抱きしめる。
「そうだな――」
楽しげな律の声にどこかホッとした。
同時に治まっていた熱を再び感じ始めた。なんかお預け食らってた状態だったから……。
それは律も同じだったようで、早急に唇が塞がれやや乱暴な舌がおれを絡め取る。
「っは……ぁ――」
嫌というほど慣れた息苦しさに必死で空気を求めた。全身が一気に熱くなる。
いつもよりも早く首筋へ胸元へと移動していく律の唇。
ヤバイ――なんだ、これ……。
いきなり最高潮に差し迫る欲を感じ、身体の中心へと熱が集中したことに焦る。
「っ……りつ――ちょ……と、ヤバい……おれ……っ」
下腹部に到達した律の頭を捕まえ必死に訴える。
「――千章?」
「……ゴメン、なんかおれ――も、律が欲し……い――」
思わず口をついた言葉に赤面し、天井だけが見ている自分の顔を両手で覆い隠した。真っ暗な両手の向こうに律の視線を感じ、全身の血液が沸騰してるみたいだ。
律が小さく喉を鳴らす振動。
「――千章、お前も大概に……」
変だ――そう呟いた律の腕が両脚を割って入る。
トロリとしたジェルを絡めた律の指先を後腔に感じ爪先に力が入った。目を覆っていた両手を移動させ必死に口を塞ぐ。
「……っふ――んん……ぁ、り……つっ」
中心に集まった熱が今にも爆発しそうに膨張を続ける。
まだ硬さを残す肉壁を解していく指がもどかしくて仕方ない。
「――もっ……いいから――律!」
自分の意思とは関係なく浮き上がる腰に、羞恥の余り脳の血管が切れてしまうんじゃないかという眩暈を感じた。
それでも――。
耐えるようにきつく瞑った目が熱く潤んできている。
「もうちょっと我慢しとけ――怪我する……」
なだめる様に囁く律に、嫌々をするかのように首を振った。
どうしてこんな状態になってるのか自分にも分からない。ただとにかく今すぐに律が欲しくて堪らない――。
「…………」
律が小さく深呼吸した気配と同時に、やや強く後腔を押し広げられる感覚に背中が反り返った。
耳元に感じる律の息遣いにまた一段と熱が上がる――。
「あんまり煽るな――」
呟く律の声も驚くほどに熱い。
荒い息遣いと熱に浮かされたかのように律の名を呼ぶ自分の声がどこか遠くで聞こえ、もう思考回路は完全に停止してしまった。
――千章……。
律の声がどこかで聞こえる。
押し上げられた両脚と、大きく浮き上がった自身の身体と――。
「――っあ――アッ……」
体内に侵入する律を感じ、更に深くへと律を抱き寄せた。ゆっくりとした動きを詰るように律の肩に爪を立てる――。
目尻から一筋の雫。
悲鳴のように甘い喘ぎ声が止まることなく吹きこぼれていく――。
申し合わせたかのような限界はすぐにやってきた。
高温でどろどろに溶けだしたおれが律を受け止める。溶けてるのは律も――?
繋がっている部分がどこまで自分なのか分からない。ただ律を感じていたくて全身で律を捕まえた。
一緒に――……。
呟いたつもりの言葉が届いたのかどうか自信がない。
だけど律の腕がしっかりと自分を抱きとめる感触にホッとして、おれは夢見心地のまま目を閉じたんだ……。
完璧にベッドメイキングされたシーツに下ろされ、その冷たさが火照った身体に心地いい。
すかさず覆いかぶさった律の髪からはほとんど拭かれていない雫が目元にぽとりと落ちた。思わず閉じてしまった瞼に今度は律の唇が落ちてくる。
全身に繰り返される、撫でるような優しいキス。
くすぐったくて甘ったるくて思わず目を開ける。間近にある律の目がぴたりと合い、互いにおかしくなって笑い声がこぼれた。
お返しにとばかりに律を押し倒してキスを降らせる。
「対抗すんなよ――」
おれの髪に指を絡ませながら律がからかった。
仕方ないじゃん。やられてばかりは性に合わない。
反論するように軽く歯を立ててやる。
「伸びたな……」
不意に呟かれた言葉の意味が一瞬分からず律を見つめる。
ああ――これか。
「髪? 去年の末に切ってそのままだから……鬱陶しいか?」
そういえばバタバタしていてほったらかしだった。思わず毛先をつまんで問いかける。
「いや? ちょうど触るのにいい」
言いながら律の長い指にクルクルと襟足の髪が巻き取られた。そのまま髪の毛ごと引き寄せられ静かなキス――。
再び背中にシーツの感触を受けた。
「律、お前――変……」
唇が離れた瞬間堪らずに笑った。
「こんな珍しいトコ来たから妙な空気に当てられたんじゃねぇの?」
「似合わねぇ」
図太さにかけてはかなりのはずの律がわざとらしくうそぶく様に吹き出した。
多分、これは律の照れ隠しなんじゃないかと思う。今日の律はどこか様子がおかしかったから――。
律には悪いけど、少し弱った――そんな姿を見せてくれたことがおれにはすごくうれしかったんだ。
けど――。
「そろそろいつもの律に戻れよ」
腹筋に力を入れ、上体を起こして律の耳に囁いた。
律の腕が背中に回り、一瞬だけ強くおれを抱きしめる。
「そうだな――」
楽しげな律の声にどこかホッとした。
同時に治まっていた熱を再び感じ始めた。なんかお預け食らってた状態だったから……。
それは律も同じだったようで、早急に唇が塞がれやや乱暴な舌がおれを絡め取る。
「っは……ぁ――」
嫌というほど慣れた息苦しさに必死で空気を求めた。全身が一気に熱くなる。
いつもよりも早く首筋へ胸元へと移動していく律の唇。
ヤバイ――なんだ、これ……。
いきなり最高潮に差し迫る欲を感じ、身体の中心へと熱が集中したことに焦る。
「っ……りつ――ちょ……と、ヤバい……おれ……っ」
下腹部に到達した律の頭を捕まえ必死に訴える。
「――千章?」
「……ゴメン、なんかおれ――も、律が欲し……い――」
思わず口をついた言葉に赤面し、天井だけが見ている自分の顔を両手で覆い隠した。真っ暗な両手の向こうに律の視線を感じ、全身の血液が沸騰してるみたいだ。
律が小さく喉を鳴らす振動。
「――千章、お前も大概に……」
変だ――そう呟いた律の腕が両脚を割って入る。
トロリとしたジェルを絡めた律の指先を後腔に感じ爪先に力が入った。目を覆っていた両手を移動させ必死に口を塞ぐ。
「……っふ――んん……ぁ、り……つっ」
中心に集まった熱が今にも爆発しそうに膨張を続ける。
まだ硬さを残す肉壁を解していく指がもどかしくて仕方ない。
「――もっ……いいから――律!」
自分の意思とは関係なく浮き上がる腰に、羞恥の余り脳の血管が切れてしまうんじゃないかという眩暈を感じた。
それでも――。
耐えるようにきつく瞑った目が熱く潤んできている。
「もうちょっと我慢しとけ――怪我する……」
なだめる様に囁く律に、嫌々をするかのように首を振った。
どうしてこんな状態になってるのか自分にも分からない。ただとにかく今すぐに律が欲しくて堪らない――。
「…………」
律が小さく深呼吸した気配と同時に、やや強く後腔を押し広げられる感覚に背中が反り返った。
耳元に感じる律の息遣いにまた一段と熱が上がる――。
「あんまり煽るな――」
呟く律の声も驚くほどに熱い。
荒い息遣いと熱に浮かされたかのように律の名を呼ぶ自分の声がどこか遠くで聞こえ、もう思考回路は完全に停止してしまった。
――千章……。
律の声がどこかで聞こえる。
押し上げられた両脚と、大きく浮き上がった自身の身体と――。
「――っあ――アッ……」
体内に侵入する律を感じ、更に深くへと律を抱き寄せた。ゆっくりとした動きを詰るように律の肩に爪を立てる――。
目尻から一筋の雫。
悲鳴のように甘い喘ぎ声が止まることなく吹きこぼれていく――。
申し合わせたかのような限界はすぐにやってきた。
高温でどろどろに溶けだしたおれが律を受け止める。溶けてるのは律も――?
繋がっている部分がどこまで自分なのか分からない。ただ律を感じていたくて全身で律を捕まえた。
一緒に――……。
呟いたつもりの言葉が届いたのかどうか自信がない。
だけど律の腕がしっかりと自分を抱きとめる感触にホッとして、おれは夢見心地のまま目を閉じたんだ……。
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