Vegetables

Vegetablesー３ー

始動 ５

　――で、俺は自分の過去を順番に語る羽目になったんだ。全部が全部しゃべれるわけじゃないけどな。

　でも、以前に律にちらっと言ったことと内容はほとんど変わらないんだ。大体どれも似たような付き合いなんだから。

　大抵は付き合おうと言われて、つまり告白されて付き合う。そういえば自分から告ったことないかも。――で、相手のペースに合わせてそれなりに過ごして――そのうちに振られる。

　振られるときの状況は基本一緒「千章くんは私のこと興味ないでしょ」みたいな感じだ。

　環にも言われたけど、彼女に浮気されても、振られてもそんなに落ち込んだことがない。こうしてみると来る者拒まず去る者追わずみたいな。

　俺って最低なやつだよなぁ――。

　そんなことを思いながら律を見ると――やっぱり笑ってた。

「情けねぇツラ」

「ほっとけよ！　一応、反省してんだよ」

　恥ずかしくて顔をそらす。

「もう、流されんなよ？」

「わかってるって！！」

「今度は「振って終わり」なんて簡単にはしてやらねぇぞ」

　目を細めた律に覗き込まれた。

「律、おまえ……怖ぇ……」

「最初から分かってたんだろ？」

「ま、流されてなんてやらねぇよ」

　そういって笑ってやる。

「流されるよりも、自分で決めたほうが気持ちいいってわかったからな」

　流されるのは楽だけど、なにも残らない。

　それを気づかせてくれたのは律だ。

　少しタバコの味がする律のキス。俺はなんだか無性に愛おしくなって、律の首に思いっきり腕をまわした。