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Vegetablesー3ー
始動 2
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「先、行っとく」
律は前田さんと話があるため、俺は先に一人で野原に向かうことにした。この辺は虫好きな俺にはある意味楽園なんだ。まぁ、この時季はほとんどの生き物は活動していないんだけど。
ぶらぶらとあぜ道を歩きながら野原へ到着すると、ススキの穂は完全に開き、ふわふわの綿毛が風が吹くたびに少しずつ空へと舞っていた。そういえば昔、今は亡くなった母方のばあちゃんがススキの穂でフクロウを作っていたな、と思いだす。
手近な穂を折って、記憶を辿りながらなんとなく丸く形を作ってみた。なかなかうまくいかないもんだな――ってかコレ何で縛ればいいんだ?
「おい、何してんだ?」
どうやらかなり集中してしまってたみたいで、律が近づいてきたことも全く気がつかなかった。地面に座り込んでススキの穂と格闘していた俺は、向こう側からだと全く見えなかったようだ。
「いや、昔うちのばあちゃんがこれでフクロウ作ってたんだ」
「それでか……千章、服えらいことになってるぞ」
「っうわっ……」
呆れたように指差されて、慌てて立ち上がった。手で払ってもススキの綿毛はなかなか取れてくれない。服汚れるのも気付かずって、俺は子どもか、と思わず落ち込む。
「車ん中にガムテあるから、戻ったら取ってやる。なんか話があったんだろ?」
そうだった。社長に無理言って休んでまで、俺は律と話がしたかったんだ。綿毛まみれでちょっと格好つかないけど、仕方ない。
「……俺さぁ、律から聞きたいと思って――」
「なんの話だ?」
「……昔のこととか別にどうでもいいんだけど、俺だって恥ずかしいことばっかりだし……でもさ、他のやつから無理に聞かされるくらいなら、律から先に聞いときたいんだよなぁ」
一気にしゃべって律を見上げた。この前、木瀬から「昔の話が聞きたいか」って言われたとき、本当のところちょっと揺らいだ。それにあいつなら無理やり聞かせに来そうな予感だってする。
気にならないって言ったらうそにはなるけど、無理に知らなくても構わない。でも、もし知る機会があるなら、それは律からがいいと思う。
「おもしろい話じゃないぞ」
抽象的な言い回しの中の核心部分に律は気づいたのか、あぜ道に腰をおろしてポケットからタバコを取り出した。
最近気づいたこと、律は自分を落ち着かせたいときにタバコを吸う。
俺も隣に腰をおろした。
「あとでおまえも話せよ?」律はそう笑って、ゆっくりしゃべり始めた……――。
律は前田さんと話があるため、俺は先に一人で野原に向かうことにした。この辺は虫好きな俺にはある意味楽園なんだ。まぁ、この時季はほとんどの生き物は活動していないんだけど。
ぶらぶらとあぜ道を歩きながら野原へ到着すると、ススキの穂は完全に開き、ふわふわの綿毛が風が吹くたびに少しずつ空へと舞っていた。そういえば昔、今は亡くなった母方のばあちゃんがススキの穂でフクロウを作っていたな、と思いだす。
手近な穂を折って、記憶を辿りながらなんとなく丸く形を作ってみた。なかなかうまくいかないもんだな――ってかコレ何で縛ればいいんだ?
「おい、何してんだ?」
どうやらかなり集中してしまってたみたいで、律が近づいてきたことも全く気がつかなかった。地面に座り込んでススキの穂と格闘していた俺は、向こう側からだと全く見えなかったようだ。
「いや、昔うちのばあちゃんがこれでフクロウ作ってたんだ」
「それでか……千章、服えらいことになってるぞ」
「っうわっ……」
呆れたように指差されて、慌てて立ち上がった。手で払ってもススキの綿毛はなかなか取れてくれない。服汚れるのも気付かずって、俺は子どもか、と思わず落ち込む。
「車ん中にガムテあるから、戻ったら取ってやる。なんか話があったんだろ?」
そうだった。社長に無理言って休んでまで、俺は律と話がしたかったんだ。綿毛まみれでちょっと格好つかないけど、仕方ない。
「……俺さぁ、律から聞きたいと思って――」
「なんの話だ?」
「……昔のこととか別にどうでもいいんだけど、俺だって恥ずかしいことばっかりだし……でもさ、他のやつから無理に聞かされるくらいなら、律から先に聞いときたいんだよなぁ」
一気にしゃべって律を見上げた。この前、木瀬から「昔の話が聞きたいか」って言われたとき、本当のところちょっと揺らいだ。それにあいつなら無理やり聞かせに来そうな予感だってする。
気にならないって言ったらうそにはなるけど、無理に知らなくても構わない。でも、もし知る機会があるなら、それは律からがいいと思う。
「おもしろい話じゃないぞ」
抽象的な言い回しの中の核心部分に律は気づいたのか、あぜ道に腰をおろしてポケットからタバコを取り出した。
最近気づいたこと、律は自分を落ち着かせたいときにタバコを吸う。
俺も隣に腰をおろした。
「あとでおまえも話せよ?」律はそう笑って、ゆっくりしゃべり始めた……――。
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