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Vegetablesー2ー
嫉妬と葛藤 11
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「待たせたな」
車で待つ律に声をかけた。すでにドリンクホルダーにはいつもの缶コーヒーが置かれている。
「よかったのか?」
「ああ、なんか宣言したかったみたい。好きなやつに告白するんだってさ」
そういうと律は車を出して、いつもの防波堤下へと向かった。あそこはこの時間ちょうど太陽があたって、しかも防波堤で風が遮られるから絶好の休憩場所なんだ。ちなみに人目もない。
「千章、おまえ楽しい学生生活だったみたいだな」
「昔のことだろ……ってか普通だし」
うわぁ、律のやつ楽しんでる。
俺らはいつものように防波堤にもたれるように座ってコーヒーを飲んだ。
「ってか、律はどうなんだよ? モテなかったとは言わせねぇぞ」
いくら女に興味がなかったからって、相手にはわからないんだし、絶対なにかあったはずだ。
「なんだ? 気になるのか?」
「そういう言い方すんなよ。俺だけいろいろ知られて不公平じゃん」
「不公平ねぇ。まぁ俺は高校までしか行ってねぇし、そっからは店やってるしな、千章みたいな華々しい話はねぇよ」
「華々しいってなんだよ――じゃあ、高校んときは? どこ高?」
「田高」
この辺で一番の進学校だ。
「えー頭よかったんだ。俺なんか鹿島だからなぁ。で、その田高時代は?」
「……特定の相手がいたからな」
あ、聞かなきゃよかったかも……。俺はちょっと後悔した。
律はすごい真面目だ。仕事だってそうだし、恋愛だってそうで、俺のいい加減な恋愛遍歴とは比べ物にならない。
つまり、その特定の相手にだって本気だったってことなんだと思う。しかも律の相手ってことは男だろう? 相手だっていい加減に付き合ってたわけじゃないってことくらいわかる。
そういうのってやっぱり聞いてしまうと、心がざわざわして落ち着かない。
「律?」
ちょっと考え込んでしまった俺に律がキスをする。気にしたのが丸わかりだったかも知れない。
「昔のことなんだろ?」
「う、ん」
ふたたびのキス。今度は深い――。
「……ん・ふぁ……」
やばい。ゾクゾクしてくる――。俺は健全な二十代の男でさらには久しぶりの恋人とのキスで、それなりの反応は仕方ないんだけど、ここではやばい。
「……律、ちょっとタンマっ」
「やだね」
「待てって……んっ……やぁ」
俺が逃げられないように強く押さえて、律のキスはどんどん激しくなっていく。いつもの息もできないようなキス。
そのまま律の手が俺のジーンズに触れる。いくらなんでもここでそれはまずいと思う。けれど、すでに抵抗する力は残ってないんだ。
俺自身が外気に晒されたのが分かった。……恥ずかしさで全身が熱くなる。
「っひぁ・・律、ダメ、だってっ……やぁああっ……」
恥ずかしくて顔があげられない。俺は律の首に腕を回したまま硬直していた。
だってこともあろうに、真昼間の野外で――。俺、ありえねぇ。
「千章、キス」
「今、むり……見んな……」
「見たいから言ってんだ」
くそ~容赦ねぇ。俺は勇気を振り絞って顔をあげると、おずおずと律に口づけた。
今、気づいた。――律も反応してる。
「律……俺もおまえの……」
してやる……。小声で囁くと律が喉の奥で笑った。
「死にそうなほど恥ずかしいってツラしてんのに無理すんな」
ばれてる……。律がまたキス。今度は軽い。
「クリスマスは恋人と、なんだろ?」
さっきの社長の話をもってくる。クリスマスってまだまだ先じゃん。まぁ忘年会シーズンで十二月は休みが少ないんだけど。
「昼間は青年部のイベントあるけど夕方からは空いてるから、どっか行きたいとこでも考えとけよ?」
ゆっくりできるとこな、とつけ足された。うれしいような照れくさいような怖いような……俺は曖昧に笑って頷いておいた。
車で待つ律に声をかけた。すでにドリンクホルダーにはいつもの缶コーヒーが置かれている。
「よかったのか?」
「ああ、なんか宣言したかったみたい。好きなやつに告白するんだってさ」
そういうと律は車を出して、いつもの防波堤下へと向かった。あそこはこの時間ちょうど太陽があたって、しかも防波堤で風が遮られるから絶好の休憩場所なんだ。ちなみに人目もない。
「千章、おまえ楽しい学生生活だったみたいだな」
「昔のことだろ……ってか普通だし」
うわぁ、律のやつ楽しんでる。
俺らはいつものように防波堤にもたれるように座ってコーヒーを飲んだ。
「ってか、律はどうなんだよ? モテなかったとは言わせねぇぞ」
いくら女に興味がなかったからって、相手にはわからないんだし、絶対なにかあったはずだ。
「なんだ? 気になるのか?」
「そういう言い方すんなよ。俺だけいろいろ知られて不公平じゃん」
「不公平ねぇ。まぁ俺は高校までしか行ってねぇし、そっからは店やってるしな、千章みたいな華々しい話はねぇよ」
「華々しいってなんだよ――じゃあ、高校んときは? どこ高?」
「田高」
この辺で一番の進学校だ。
「えー頭よかったんだ。俺なんか鹿島だからなぁ。で、その田高時代は?」
「……特定の相手がいたからな」
あ、聞かなきゃよかったかも……。俺はちょっと後悔した。
律はすごい真面目だ。仕事だってそうだし、恋愛だってそうで、俺のいい加減な恋愛遍歴とは比べ物にならない。
つまり、その特定の相手にだって本気だったってことなんだと思う。しかも律の相手ってことは男だろう? 相手だっていい加減に付き合ってたわけじゃないってことくらいわかる。
そういうのってやっぱり聞いてしまうと、心がざわざわして落ち着かない。
「律?」
ちょっと考え込んでしまった俺に律がキスをする。気にしたのが丸わかりだったかも知れない。
「昔のことなんだろ?」
「う、ん」
ふたたびのキス。今度は深い――。
「……ん・ふぁ……」
やばい。ゾクゾクしてくる――。俺は健全な二十代の男でさらには久しぶりの恋人とのキスで、それなりの反応は仕方ないんだけど、ここではやばい。
「……律、ちょっとタンマっ」
「やだね」
「待てって……んっ……やぁ」
俺が逃げられないように強く押さえて、律のキスはどんどん激しくなっていく。いつもの息もできないようなキス。
そのまま律の手が俺のジーンズに触れる。いくらなんでもここでそれはまずいと思う。けれど、すでに抵抗する力は残ってないんだ。
俺自身が外気に晒されたのが分かった。……恥ずかしさで全身が熱くなる。
「っひぁ・・律、ダメ、だってっ……やぁああっ……」
恥ずかしくて顔があげられない。俺は律の首に腕を回したまま硬直していた。
だってこともあろうに、真昼間の野外で――。俺、ありえねぇ。
「千章、キス」
「今、むり……見んな……」
「見たいから言ってんだ」
くそ~容赦ねぇ。俺は勇気を振り絞って顔をあげると、おずおずと律に口づけた。
今、気づいた。――律も反応してる。
「律……俺もおまえの……」
してやる……。小声で囁くと律が喉の奥で笑った。
「死にそうなほど恥ずかしいってツラしてんのに無理すんな」
ばれてる……。律がまたキス。今度は軽い。
「クリスマスは恋人と、なんだろ?」
さっきの社長の話をもってくる。クリスマスってまだまだ先じゃん。まぁ忘年会シーズンで十二月は休みが少ないんだけど。
「昼間は青年部のイベントあるけど夕方からは空いてるから、どっか行きたいとこでも考えとけよ?」
ゆっくりできるとこな、とつけ足された。うれしいような照れくさいような怖いような……俺は曖昧に笑って頷いておいた。
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