初恋Returns

二一

文字の大きさ
上 下
29 / 48

初恋Returns 29

しおりを挟む
 武市はやっぱり余裕なんだろうな。熱くなった瞼をなんとか持ち上げた。

 俺の上の武市はまるで切羽詰まったみたいな顔で――。

「……っ!」

 武市が苦しげに眉を寄せた。激しい動きが一時停止をする。

「急に締めるんじゃねぇ……」

 イキそうになったじゃねぇか。武市がぼやく。

 そんなこと言っても仕方がないじゃないか。切羽詰まった武市の顔を見た瞬間、その原因が俺とのセックスだとか思ったら堪らくなった。この顔を見たやつって俺以外に何人いるんだろう。

「武市……もう終わりか?」

 馬鹿だ。俺はなに言っているんだろう。こんな煽るようなこと言って、どうされたいんだろう。

 案の定、武市は言うじゃねぇかとばかりに笑ってみせた。

 武市が俺にキスをする。

「……んん!」

 キスをしたままの不自由な姿勢に息が詰まる。武市だって苦しいだろうに、その動きはちっとも緩まない。

 息ができない。俺の抗議もなにもかも受け付ける気はないんだって言われているような気がした。

 あ、武市がイク。なぜか分かった。分かった瞬間、俺の中でなにかが弾け飛んだ。

 熱い塊が狭い管を通って一気に排出される。

 それは熱くて痛くて気持ちがいい。

 やっと解放された唇から大きく酸素を取り込んだ。火傷しそうな体内が少しだけ冷める。

 武市は俺の上に全体重を被せていた。俺より格段に大きな身体はずしりと重いけど、その重さはどこか心地いい。

 それでも重さに遠慮したのか武市はごろんと俺の横へ転がった。同時に俺の中から武市が抜け出す。ズルリとした感触に背中のあたりがぞくりとした。

 すぐ前にある武市はなにもしゃべらない。ただ、汗で張り付いた俺の前髪を指先で遊ばせている。熱が治まるにつれて恥ずかしさが込み上げるけど、なにも言われないことで少しは恥ずかしさもマシだと思える。

 俺は武市と寝たんだ。今度のは自分の意思で。思ったほどなにも変わらなかったことに、ちょっとだけホッとした。

 俺の前髪で遊んでいた武市がゆっくりと起き上がった。俺はまだ動けそうにない。そう見上げていたら、当たり前のように起こされ、抱き上げられる。

「ちょ、待てって……! 自分で……」

 さすがに横抱きに運ばれるのはプライドが許さないと、武市の腕でもがいた。武市はあっさりと俺を床に下ろす。

 さっきからなんでしゃべらないんだ。そう首をかしげつつ、いつもどおりに両足をふんばろうとして……。

「え……?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保育士だっておしっこするもん!

こじらせた処女
BL
 男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。 保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。  しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。  園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。  しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。    ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?

手作りが食べられない男の子の話

こじらせた処女
BL
昔料理に媚薬を仕込まれ犯された経験から、コンビニ弁当などの封のしてあるご飯しか食べられなくなった高校生の話

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

白薔薇を唇に

ジャム
BL
極道の家に生まれた蘭(16歳)は、世話係である矢島(30代)の事が大好きだが、矢島の過ぎる過保護には ついイライラしてしまい、素直になれない・・。が、矢島が過保護にならざるを得ない理由は8年前に起きた誘拐事件のせいだった。当時の事を蘭はよく覚えてはいないが、その事件に矢島が捕われている事を知っていた。そんなある日、蘭は駅で拉致されかける・・。 R18 ヤクザ x ツンデレ坊ちゃん 溺愛 一途

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

アムネーシス 離れられない番

山吹レイ
BL
諸富叶人は十七歳、高校生二年生、オメガである。 母親と二人暮らしの叶人はオメガという呪われた性に負けずに生きてきた。 そんなある日、出会ってしまった。 暴力的なオーラを纏う、ヤクザのような男。 その男は自分の運命の番だと。 抗おうとしても抗えない、快感に溺れていく。 オメガバースです。 ヤクザ×高校生の年の差BLです。 更新は不定期です。 更新時、誤字脱字等の加筆修正入る場合あります。 ※『一蓮托生』公開しました。完結いたしました。 

処理中です...