With regard to you

あらら

文字の大きさ
上 下
19 / 31

約束

しおりを挟む
「上野さん、わたしが嫌い?」

「好きだな。最初はしょんべん臭かったけど、高校生になって大人になったな。」

「わたしは、ずっと上野さんが好きだったけど。」

「マジか?」

「うん。だからセックスしよう。」

未来は、恥ずかしげもなく言った。

「うーん。二十歳になったらな。お前が。」

礼二は当然という顔で言った。

「えー何で?」

「未成年としたら淫行で俺が捕まっちまうだろ。」

「合意の上でもダメなの?」

「ダメだ。俺はこう見えて背徳感とか罪悪感に押しつぶれやすい性格なんだ。」

未来は、ぽかーんとしてしまった。

「誰だ?」

と礼二は、ドアの外に叫んだ。

誰かの足音が聞こえて消えた。


「じゃあ、約束して。わたしが二十歳になったら結婚して下さい。」

「ああ、結婚してやる。約束だ。」

それから、二人でずっと映画の話を朝までした。

二人とも、邦画が大好きでいつか未来の原作を映画化してみたいと礼二は言った。

礼二は、元々は、映画監督になりたかったらしいがADというパシリをさせられるのが嫌だったから編集者になったらしい。

「今は、洋画が流行っているが、邦画の時代が必ず来ると俺は思う。」

と礼二は力説した。

未来は、そんな礼二を愛おしいと感じた。

粗暴で肉体派で感情的な礼二を見てると何故か心が揺れた。

朝が来て、礼二は未来のオデコにキスをして出て行った。

未来は、嬉しくてオデコを触ってニヤニヤした。


「えーマジで?」

と理恵と翼に驚かれた。

「マジで。二十歳になったら上野さんと結婚する。」

二人には、話ときたかった。

「だから、恋愛小説を書いてみようと思う。」

二人とも放心状態である。

放課後の教室は静かだった。

「応援するよ。」

と理恵と翼は言ってくれた。

わたしも結婚したいと理恵が言い出した。

翼は、物思いに耽っているらしく腕組みをしながら唸っていた。

そして『恋食う女』を未来は書いた。

学校一の美少女が学校一不細工な男子のストーカーになるという話である。


『恋食う女』は大ベストセラーになり、映画化、ドラマ化、アニメ化された。

茂は、編集長になって泣いて喜んでいた。

礼二には、底知れねー女だと言われた。

ゲーム化もされて、三人でプレイした。

ひたすら不細工な男子をストーカーして告白するまでクリア出来ない。

三人でゲラゲラ笑いながらプレイした。

花火丸で、初めてヒットした作品になった。

しかし、未来は、恋する気持ちを抑える事が限界に達していた。

理恵は翼と付き合う事になり、セックス済みだ。

自分だけ置いて行かれてる感じがした。

礼二は、忙しく週一ぐらいでしか来ないし二十歳までの約束を守らなくてはいけないしで未来の脳みそはグツグツ沸騰し始めた。

ある日、礼二は酷く疲れて未来の部屋に来た。

酔っているらしくいきなりキスされた。

そのまま、二人はベッドで朝まで求め合った。

未来は、初体験をしたのだ。

礼二は、裸のまま寝ている。

未来は、朝食を作って礼二の無邪気に寝ている顔を見つめて微笑んだ。

突然、礼二は目を覚ました。

「おはよう。」

「おはよう。」

礼二は、昨晩の事は全く覚えていなかった。

朝食を取って出勤した。

未来も、学校に向かった。

理恵と翼に報告した。

二人とも驚いていたが祝福してくれた。
しおりを挟む

処理中です...