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第6話 「魔王に勝利」

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 魔術師としての才能が明らかになったのは当時、俺が10歳の時だった。
 魔術の聖地「シュヴァリエ」で魔力の操作、魔力を増やすための精神修行をしていた時に聖地はドラゴンによって襲われた。

 燃え盛る故郷。
 山のような死体。
 それをすべて超えて、混沌とした世界から逃げだそうとする俺の眼前にはドラゴンが人の肉を喰らっていた。

 喰われていたのは幼馴染とその家族。

 当時、それを目撃していた俺はどうすべきか子供ながら判断ができなかった。
 視界が真っ黒になっていき、魔力が溢れんばかりに増幅していたことぐらいしか覚えていない。

 その後、長い夢をみた。

 ドラゴンを圧倒し、正義の味方のように倒してみせる!

 誰からも称えられ王様から英雄の称号を貰う!
 世界中を自分の足で旅をして、悪い奴らをやっつける!
 世界で一番強い魔術師になる!

 子供のような夢だ。


 ―――けど現実は違った。

 意識が覚醒した俺の目の前に広がっていたのは、崩壊してしまった故郷。
 そして足場にしている物体。

 無残に八つ裂きにされたドラゴンが絶命していた。








 ――――







 あの家族と別れてから六年後。
 仲間を増やして、軍勢を率いて魔王軍に挑んだ。

 魔王の支配する大陸『魔の大陸』で二つの種族による壮絶な戦争が繰り広げられていた。

 しかしそれも終わりを告げる。

 魔王サンダルフォン・マグレディンと結界の魔術師アルフォンスの一対一の激闘は、大陸中を更地にして山脈を消し灰にしてしまうほどの規模となっていた。

 魔力の根源『精霊樹』を利用した魔王は絞りだせるだけの力を解放。
 放たれたのは星をいとも容易く消滅させる破壊の光線。

 だがアルフォンスもあらゆるスキルの中でも至高、最強の破壊力をほこる最終奥義を放つ。

 概念、法則、時間をも捻じ曲げる力がぶつかり合い、世界を光で包み込んだ。


 勝ち残ったのはアルフォンスだった。
 魔王の存在は完全に消失し、人族はその日勝利したのだ。

 アルフォンスは栄光を手にして魔王を打ち破った『英雄』と呼ばれるようになった。


 ———スキル転生、獲得。







 かつての恋人レイラから手紙が届いた。
 内容は勇者と別れたので縒《よ》りを戻したいらしい。

 そして王国から帰還命令がかかったのだった。
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