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# 秋
文化祭⑩
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またしても数秒、時が止まった。
あの時と同じ目? 今度こそ本気で理解ができない。
戸部君は何を頼りに判断しているのか、攻撃的に聞いてしまった。
「どういうこと? 私がどんな目をしてるっていうの」
「なんだか大きな壁を見つめるような、険しくて悲しい目をしているんだよ。花火大会の時と同じ目だ。だから、もしかしたら今日ステージで踊っていたのは、林田勇気なのかもしれないって思ったんだ」
攻撃的だったはずなのに、戸部君の返答に何も返すことができなかった。
言われた通り、私とユウキの間には壁がある。
岸井さんという大きな壁が。
その壁を見つめている時の目が、戸部君には伝わっていたってことか。
「俺は……そんな悲しい目にさせないけどな」
俯き気味に変わった戸部君が、弱々しい声を出した。
何が言いたいのか飲み込めない私は、もう一度言ってもらうように聞き返す。
「どういう意味?」
「だから、俺ならそんな悲しい目にさせないって言ったの。壁を感じさせることもないし、泣かせることもない。だって……」
「だって?」
「だって俺、ナオちゃんのことが好きだから!」
その声で、カラスが二羽ほど飛び立った。
静かな商店街に、戸部君の想いが響き渡る。
私の胸を揺さぶる、大きな想い。
ストレートにぶつけられた言葉を、どう返せばいいのか。
当たり前のように即答はできない。
「ごめん、ナオちゃん。つい勢いで言っちゃった。困らせる気はなかったんだけど……俺、本気なんだ!」
刺さるような目つきに、吸い込まれそうになる。
戸部君の本気の想いが、私を覆いつくしてしまいそうだ。
何も言えないままの見つめ合いが続くと、戸部君が痺れを切らした。
「いつでもいいから、ナオちゃんの答えを聞かせてほしい」
最後にそう言うと、駅とは違う方向に歩き出した。
その背中を見つめながら、私はベンチを動くことはしない。
握っている缶コーヒーは、まだ温度を保っている。
あの時と同じ目? 今度こそ本気で理解ができない。
戸部君は何を頼りに判断しているのか、攻撃的に聞いてしまった。
「どういうこと? 私がどんな目をしてるっていうの」
「なんだか大きな壁を見つめるような、険しくて悲しい目をしているんだよ。花火大会の時と同じ目だ。だから、もしかしたら今日ステージで踊っていたのは、林田勇気なのかもしれないって思ったんだ」
攻撃的だったはずなのに、戸部君の返答に何も返すことができなかった。
言われた通り、私とユウキの間には壁がある。
岸井さんという大きな壁が。
その壁を見つめている時の目が、戸部君には伝わっていたってことか。
「俺は……そんな悲しい目にさせないけどな」
俯き気味に変わった戸部君が、弱々しい声を出した。
何が言いたいのか飲み込めない私は、もう一度言ってもらうように聞き返す。
「どういう意味?」
「だから、俺ならそんな悲しい目にさせないって言ったの。壁を感じさせることもないし、泣かせることもない。だって……」
「だって?」
「だって俺、ナオちゃんのことが好きだから!」
その声で、カラスが二羽ほど飛び立った。
静かな商店街に、戸部君の想いが響き渡る。
私の胸を揺さぶる、大きな想い。
ストレートにぶつけられた言葉を、どう返せばいいのか。
当たり前のように即答はできない。
「ごめん、ナオちゃん。つい勢いで言っちゃった。困らせる気はなかったんだけど……俺、本気なんだ!」
刺さるような目つきに、吸い込まれそうになる。
戸部君の本気の想いが、私を覆いつくしてしまいそうだ。
何も言えないままの見つめ合いが続くと、戸部君が痺れを切らした。
「いつでもいいから、ナオちゃんの答えを聞かせてほしい」
最後にそう言うと、駅とは違う方向に歩き出した。
その背中を見つめながら、私はベンチを動くことはしない。
握っている缶コーヒーは、まだ温度を保っている。
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