106 / 173
# 秋
文化祭⑥
しおりを挟む
「お待たせ! 買ってきたよ!」
「え……」
戸部君が両手に一つずつ持っているのは、お好み焼きとじゃがバターだった。
花火大会の時、どれを買うか迷っていたのを、戸部君はしっかりと覚えていたようだ。
あの時は結局焼きそばにしたけど、この二つは好物と言わざるを得ない。
悔しさを滲ませながら、両手でそれらを受け取る。
「ちゃんと覚えてたよ。花火大会の時、俺が提示した三択でしっかり悩んでいたことを。この二つも焼きそばと同じくらい好きなんでしょ」
「ずるいよ戸部君、勝算があって仕掛けたんだね」
「まあね! そんな睨まないでよ。これは俺の奢りだから」
「え、私の負けだけど」
「そんなの嘘だって、ほら、どこかで座って食べよう。冷めないうちに」
何だか踊らされたみたいで、真剣にゲームのことを考えていた自分が可笑しく感じてくる。
キャンパス内に入ると、模擬店で買った料理が食べられる、飲食スペースがすぐに見つかった。
二人でシェアしながら食べていると、戸部君は私の顔を意地悪そうに覗く。
「何か顔についてる?」
「違うよ、何の言うこと聞いてもらおうかなってさ」
「え? 嘘だったんじゃないの!?」
「あれは本当だよ。俺が勝ったんだし」
「何それー! もう、何を聞いてほしいのよ?」
「どうしよっかなー、まあ、考えておくわ」
不覚にも借りを作ってしまったことに、不貞腐れた表情をする。
戸部君はそんな私を面白がって、食べるのを止めて笑い出した。
その笑い声につられて、つい反抗的な顔を緩めてしまう。
全て食べきってお腹が満たされると、催し物が開かれているステージに行くことにした。
「え……」
戸部君が両手に一つずつ持っているのは、お好み焼きとじゃがバターだった。
花火大会の時、どれを買うか迷っていたのを、戸部君はしっかりと覚えていたようだ。
あの時は結局焼きそばにしたけど、この二つは好物と言わざるを得ない。
悔しさを滲ませながら、両手でそれらを受け取る。
「ちゃんと覚えてたよ。花火大会の時、俺が提示した三択でしっかり悩んでいたことを。この二つも焼きそばと同じくらい好きなんでしょ」
「ずるいよ戸部君、勝算があって仕掛けたんだね」
「まあね! そんな睨まないでよ。これは俺の奢りだから」
「え、私の負けだけど」
「そんなの嘘だって、ほら、どこかで座って食べよう。冷めないうちに」
何だか踊らされたみたいで、真剣にゲームのことを考えていた自分が可笑しく感じてくる。
キャンパス内に入ると、模擬店で買った料理が食べられる、飲食スペースがすぐに見つかった。
二人でシェアしながら食べていると、戸部君は私の顔を意地悪そうに覗く。
「何か顔についてる?」
「違うよ、何の言うこと聞いてもらおうかなってさ」
「え? 嘘だったんじゃないの!?」
「あれは本当だよ。俺が勝ったんだし」
「何それー! もう、何を聞いてほしいのよ?」
「どうしよっかなー、まあ、考えておくわ」
不覚にも借りを作ってしまったことに、不貞腐れた表情をする。
戸部君はそんな私を面白がって、食べるのを止めて笑い出した。
その笑い声につられて、つい反抗的な顔を緩めてしまう。
全て食べきってお腹が満たされると、催し物が開かれているステージに行くことにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる