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# 秋
文化祭①
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「うわぁー、これ美味しいね! 雑誌に載ってた通りだ」
入来ちゃんが幸せそうに頬張っているのは、今人気のモンブラン。
あまり行き慣れていない百貨店の最上階に、話題のスイーツカフェがある。
その特集を雑誌で見た入来ちゃんから、一緒に行こうと誘われてやって来た。
日曜日の昼下がりということもあって、幅広い年齢層の人が買い物や食事を楽しんでいる。
「それで、戸部君と文化祭に行くんでしょ?」
一口ずつ大事に食べ進めている入来ちゃんが、咀嚼しながら文化祭の話を持ち出す。
この百貨店に来た元々の流れは、文化祭の時に着ていく服を買うためだった。
戸部君から誘われたことを入来ちゃんに言うと、嬉しそうな顔で洋服選びに行こうと提案してくれた。
「うん。来週、千代大学の文化祭に行ってくる……」
「どうしたの? 楽しみじゃないの?」
入来ちゃんにはまだ、千代大学がユウキの通っている大学だということを告げていない。
隠す必要はないけど、口にするのが怖くて伝えられていなかった。
歯切れの悪い反応に対して、入来ちゃんから心配そうな目で見つめられると、洗いざらい話さないといけない気になる。
ユウキのことも、岸井さんのことも……。
そのまま包み隠さず打ち明けると、話を聞きながらモンブランを完食した入来ちゃんが、怒りの表情に変わっていた。
「何その彼女? ナオちゃんを邪魔もの扱いにして」
「本人は悪気があって言ったわけではないと思うけど。でも、傷ついちゃってさ」
「いくら何でも酷いよ。ユウキ君に構わないでほしいなんて、その人に言われる筋合いはないじゃない。しかも長い年月を重ねているのはナオちゃんなのに」
入来ちゃんが幸せそうに頬張っているのは、今人気のモンブラン。
あまり行き慣れていない百貨店の最上階に、話題のスイーツカフェがある。
その特集を雑誌で見た入来ちゃんから、一緒に行こうと誘われてやって来た。
日曜日の昼下がりということもあって、幅広い年齢層の人が買い物や食事を楽しんでいる。
「それで、戸部君と文化祭に行くんでしょ?」
一口ずつ大事に食べ進めている入来ちゃんが、咀嚼しながら文化祭の話を持ち出す。
この百貨店に来た元々の流れは、文化祭の時に着ていく服を買うためだった。
戸部君から誘われたことを入来ちゃんに言うと、嬉しそうな顔で洋服選びに行こうと提案してくれた。
「うん。来週、千代大学の文化祭に行ってくる……」
「どうしたの? 楽しみじゃないの?」
入来ちゃんにはまだ、千代大学がユウキの通っている大学だということを告げていない。
隠す必要はないけど、口にするのが怖くて伝えられていなかった。
歯切れの悪い反応に対して、入来ちゃんから心配そうな目で見つめられると、洗いざらい話さないといけない気になる。
ユウキのことも、岸井さんのことも……。
そのまま包み隠さず打ち明けると、話を聞きながらモンブランを完食した入来ちゃんが、怒りの表情に変わっていた。
「何その彼女? ナオちゃんを邪魔もの扱いにして」
「本人は悪気があって言ったわけではないと思うけど。でも、傷ついちゃってさ」
「いくら何でも酷いよ。ユウキ君に構わないでほしいなんて、その人に言われる筋合いはないじゃない。しかも長い年月を重ねているのはナオちゃんなのに」
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