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眠れない夜を過ごした私は、明け方にそっと扉を叩く音がしてレオンが訪ねてくれたのだと思い込んでしまった。疲労と睡眠不足に加え、蒙昧と願望が私を愚かにした。
扉を開けた直後、私に体当たりをして寝室に押し入ってきたのはウィリスだった。
「!」
驚愕と恐怖で声もあげられなかった。
私は二度突き飛ばされ、二度目に仰向けに転んだ。
幸いにも強く体を打ったり頭をぶつけることはなかったが、すぐさまウィリスが馬乗りになり完全に身動きがとれなくなった。
「ヒルデガルド……!」
カーテンの隙間から白い朝靄が微かに洩れ入る薄暗い部屋の中で、私に覆いかぶさるウィリスの顔はほぼ完全に闇に染められている。
併し怨嗟の炎を燃やす碧い瞳だけは私の目にもはっきりと映っていた。
私はもがいた。
未だ傷が癒えないウィリスでも本来は背の高い青年である。びくともしない。
「僕を利用して名声を得たんだな」
呻るように言葉を絞り出す。
その声は憎しみに満ちている。
「その上、男娼を囲ったのか?君は僕を裏切り平民の男に抱かれたのか……!」
「!」
私の中で怒りが爆ぜた。思い出を汚されたくはない。
声は出せなかったが必死で暴れた。
「だから僕と結婚しないんだな」
傷痕の残る顔を引っ掻いてもウィリスは更に顔を寄せてくる。
私の爪が与える痛みなど、もう痛みとも思っていないのだ。
「ん?そうなんだろう?あの男がいいんだろう?だから僕を無視して、あいつの為には泣くんだろう?」
「……っ」
ウィリスが私の頬を恐ろしい力で掴み顔を寄せ叫んだ。
「僕の為に泣けよ牝豚ァッ!!」
殺される。
或いは、穢される。
私は本能的な恐怖で全身が冷たく戦慄き、そして叫んだ。
それは言葉ではなかったが、意味のない叫びではなかった。誰かの耳には届くはずだった。
「黙れ!」
「!」
ウィリスが私の頬を叩く。
力に逆らえず横向きになった私の顔に硬い物が押し付けられる。
杖だった。
まだ歩くのには杖が必要で、ウィリスは常に肌身離さず携帯しその助けを受けていた。
杖は今、横向きに私の咥内へ押し付けられ、枷と凶器の両方を兼ねている。
歯の痛みより力尽くで裂かれそうな唇の端がとにかく痛い。凄まじい圧で頬と顎も痛かった。更には舌が圧迫され嘔吐しそうだ。私の叫び声はくぐもったものになり、更に吐気によって急激に弱まり、途絶えた。
私は必死で抵抗した。
併し杖を押し退けようとしても、どんなに足を動かしても、まるで意味がないように思われた。
「君の為に証言したら、君は僕に感謝すると信じていたのに……まさか平民の男に気を取られていたなんて……本当に汚れた。君は男娼を買ったんだな。そのくせ王女を嵌めたのか。どこでそんな悪知恵を覚えたんだ?あ?あの男か?汚れた野良犬に仕込まれたんだろう?」
「……っ、ぅぐ」
恐怖、激痛、そして悔しさに私は涙を流していた。
「汚れた君を僕だけは愛してやれる。もっと汚して壊してやるよ。ヒルデガルド。君は僕のものだった。男娼のお下がりに価値なんてない。君は僕と死ぬんだ。徹底的に辱めてやる。君を殺して、死んだ君を犯して、僕と同じだけぼろぼろになった死体を晒すよ。それから地獄で僕と結婚するんだ。永遠に苦しもう」
サッロ伯爵の別邸は中庭を囲み、南向きの玄関と娯楽室に小広間、奥に使用人部屋があり、二階は東西で居室と客室が別れている。
不安定なウィリスにはシェロート伯爵と主治医が付添い、東の端の部屋から出てこないはずだった。シェロート伯爵はウィリスを二度と私に近づけないと約束した。私はそれを信じた。鵜呑みにした。ウィリスもジェーンのいる西側には来たくないだろうと油断していた。
愚かだった。
ウィリスは狂っている。
狂人を止める術など、私は持ち合わせていない。
「……っ」
私はただ一心にレオンを求めた。
レオンの顔が浮かぶ。レオンの声が聞こえる。ウィリスではなくレオンでなければならない。私の肉体も魂も愛し求めているのはレオンだけなのだ。
このままウィリスに汚されて死にたくない。
「無様だなぁ、ヒルデガルド。神の娘なんて、所詮、娼婦と同じだ」
ウィリスが嗤った、その時。
「!」
何かがウィリスの体を横向きに突き飛ばした。
私はまず解放されて喘ぎ、自分の体の上を横切るものが人の足であると理解する。誰かがウィリスを蹴ったのだ。
その人は私を跨ぎ越えていくと倒れたウィリスを掴み上げて更に投げ飛ばした。
家具が激しい音を立て、ウィリスが呻く。
私は身を起こした。
膝を擦り合わせ、涎と唾で濡れた口を押さえ、涙の溢れる目で救ってくれた人影に目を凝らした。
願望がそう見せたのか。
私には、それがレオンの背中に見えた。
「貴様ぁ……!」
壁際でのそりと立ち上がったウィリスが口汚く呻く。そして幾度も杖を壁に叩きつけながら叫んだ。
「僕は貴族だぞ!汚い野良犬が貴族の僕にこんなことして許されると思うなよ!」
杖が折れた。
「殺してやる!!」
「どうぞ」
レオンは低い声ではっきりとそう答えた。
本当にそうなってしまいそうで、私は凝然とレオンを見つめ息を呑んだ。
「なに……!?」
ウィリスが狼狽えている。
それほどまでにレオンは明確な意思を示し、私に背を向け、私を庇い、立っていた。
「聡明なお嬢様のことだからもう二度と同じ過ちは犯さないでしょう。むやみやたらに扉を開けない。男の良心など信用しない。組み敷かれたら目を狙うんです。そして立ち向かわずに逃げる。自分の身をしっかり守る。僕が今死んでそれを覚えていただけるなら本望ですよ。殺される甲斐もある」
「……!」
私は震えた。
ウィリスが杖を振り上げ喚く。暗がりで判別できないとしても、半ばで折れた杖の断面は木の繊維が裂けて飛び出し不揃いにひび割れているはずだ。鋭利な凶器に違いなく、ウィリスはそれをレオンの胸に突き立てようとしている。
「レオン!」
私が悲鳴を上げた瞬間、レオンは刺し込まれる杖を反射的に掴んだようだった。
「あれ?」
併し場違いな呆けた声を洩らし胸元を見下ろした。
ウィリスが更に力を込める。
「くそおぉぉぉっ、死ねぇぇっ!!」
「嫌ですよ。せっかくだから道連れにしないと────あんたを残して逝くかよ、くそ野郎」
聞いたこともない残虐な声だった。
レオンが私の為にウィリスと死のうとしている。此処で伯爵令息殺害の罪を犯し終わらせようとしている。冷静さを欠いた頭ではそう思えてしまう。
それなのに、どうして私は立ち上がることもできないの?
ただ泣くしかできないの?
こんなに無力なのに、どうして彼を守れると思ったの?
レオンはいつだって私を支えてくれたのに。
レオンが私を守ってくれていたのに。
「ウィリス、やめて……お願い……」
私は手を伸ばした。
そこで開けっ放しになっていた扉からまた一人室内に突入して来るなり背後からウィリスの首を絞めた。
「え……?」
裾の広がったシルエットや髪型でジェーンだとわかった。
彼女はガウンの腰紐でウィリスの首を絞めているのだ。
「ぐ、がは……っ」
ウィリスが杖から手を離した。
杖はレオンの手に残され、そして、レオンは胸から抜く仕草を見せた。
その動きは極めて小さなものだった。でも、確実に、凶器と化した杖の先端はやはりレオンの胸に突き刺さっていたのだ。
「いや……」
レオンが首を掻き毟るウィリスを呆然と眺めている。
ウィリスなど、どうでもいい。
私のせいでレオンが……
「悪い。ジェーンに飲ませて、警備が手薄に……なってた」
呂律の回らないザシャが現れた。
ザシャはやおら室内に入ってくるともたつく足取りで全てを素通りし手荒くカーテンを開けた。薄ぼんやりとした朝の光は、それでも充分に視界を明るくする。
私はレオンの胸元を見た。
夜着の胸元が赤く滲んでいる。
「大丈夫か」
「ああ、うん。先がちょっと刺さったくらい」
「寝る時も手袋してんのか」
「何があるかわからないから」
「かぶれた甲斐があったなぁ。いい籠手になった」
「うん」
レオンは呂律の回らないザシャと普通に会話している。
「ちょっと!私、女なんだけど!」
ジェーンが怒鳴った。
窓際にいたザシャがもたつく足でジェーンとウィリスの方に向かって歩いていく。胸を晒す寛いだ格好で、目元も鬱蒼と潤んでいる。そういえば匂いがする。酩酊しているのだ。
ザシャがウィリスの腹部に拳を埋めた。
「う……っ」
「痛いの嫌いだろ?おやすみ、坊ちゃん」
ウィリスが崩れ落ち、倒れ、それきりぴくりとも動かなくなった。
扉を開けた直後、私に体当たりをして寝室に押し入ってきたのはウィリスだった。
「!」
驚愕と恐怖で声もあげられなかった。
私は二度突き飛ばされ、二度目に仰向けに転んだ。
幸いにも強く体を打ったり頭をぶつけることはなかったが、すぐさまウィリスが馬乗りになり完全に身動きがとれなくなった。
「ヒルデガルド……!」
カーテンの隙間から白い朝靄が微かに洩れ入る薄暗い部屋の中で、私に覆いかぶさるウィリスの顔はほぼ完全に闇に染められている。
併し怨嗟の炎を燃やす碧い瞳だけは私の目にもはっきりと映っていた。
私はもがいた。
未だ傷が癒えないウィリスでも本来は背の高い青年である。びくともしない。
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呻るように言葉を絞り出す。
その声は憎しみに満ちている。
「その上、男娼を囲ったのか?君は僕を裏切り平民の男に抱かれたのか……!」
「!」
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「だから僕と結婚しないんだな」
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「ん?そうなんだろう?あの男がいいんだろう?だから僕を無視して、あいつの為には泣くんだろう?」
「……っ」
ウィリスが私の頬を恐ろしい力で掴み顔を寄せ叫んだ。
「僕の為に泣けよ牝豚ァッ!!」
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或いは、穢される。
私は本能的な恐怖で全身が冷たく戦慄き、そして叫んだ。
それは言葉ではなかったが、意味のない叫びではなかった。誰かの耳には届くはずだった。
「黙れ!」
「!」
ウィリスが私の頬を叩く。
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杖だった。
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併し杖を押し退けようとしても、どんなに足を動かしても、まるで意味がないように思われた。
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「……っ、ぅぐ」
恐怖、激痛、そして悔しさに私は涙を流していた。
「汚れた君を僕だけは愛してやれる。もっと汚して壊してやるよ。ヒルデガルド。君は僕のものだった。男娼のお下がりに価値なんてない。君は僕と死ぬんだ。徹底的に辱めてやる。君を殺して、死んだ君を犯して、僕と同じだけぼろぼろになった死体を晒すよ。それから地獄で僕と結婚するんだ。永遠に苦しもう」
サッロ伯爵の別邸は中庭を囲み、南向きの玄関と娯楽室に小広間、奥に使用人部屋があり、二階は東西で居室と客室が別れている。
不安定なウィリスにはシェロート伯爵と主治医が付添い、東の端の部屋から出てこないはずだった。シェロート伯爵はウィリスを二度と私に近づけないと約束した。私はそれを信じた。鵜呑みにした。ウィリスもジェーンのいる西側には来たくないだろうと油断していた。
愚かだった。
ウィリスは狂っている。
狂人を止める術など、私は持ち合わせていない。
「……っ」
私はただ一心にレオンを求めた。
レオンの顔が浮かぶ。レオンの声が聞こえる。ウィリスではなくレオンでなければならない。私の肉体も魂も愛し求めているのはレオンだけなのだ。
このままウィリスに汚されて死にたくない。
「無様だなぁ、ヒルデガルド。神の娘なんて、所詮、娼婦と同じだ」
ウィリスが嗤った、その時。
「!」
何かがウィリスの体を横向きに突き飛ばした。
私はまず解放されて喘ぎ、自分の体の上を横切るものが人の足であると理解する。誰かがウィリスを蹴ったのだ。
その人は私を跨ぎ越えていくと倒れたウィリスを掴み上げて更に投げ飛ばした。
家具が激しい音を立て、ウィリスが呻く。
私は身を起こした。
膝を擦り合わせ、涎と唾で濡れた口を押さえ、涙の溢れる目で救ってくれた人影に目を凝らした。
願望がそう見せたのか。
私には、それがレオンの背中に見えた。
「貴様ぁ……!」
壁際でのそりと立ち上がったウィリスが口汚く呻く。そして幾度も杖を壁に叩きつけながら叫んだ。
「僕は貴族だぞ!汚い野良犬が貴族の僕にこんなことして許されると思うなよ!」
杖が折れた。
「殺してやる!!」
「どうぞ」
レオンは低い声ではっきりとそう答えた。
本当にそうなってしまいそうで、私は凝然とレオンを見つめ息を呑んだ。
「なに……!?」
ウィリスが狼狽えている。
それほどまでにレオンは明確な意思を示し、私に背を向け、私を庇い、立っていた。
「聡明なお嬢様のことだからもう二度と同じ過ちは犯さないでしょう。むやみやたらに扉を開けない。男の良心など信用しない。組み敷かれたら目を狙うんです。そして立ち向かわずに逃げる。自分の身をしっかり守る。僕が今死んでそれを覚えていただけるなら本望ですよ。殺される甲斐もある」
「……!」
私は震えた。
ウィリスが杖を振り上げ喚く。暗がりで判別できないとしても、半ばで折れた杖の断面は木の繊維が裂けて飛び出し不揃いにひび割れているはずだ。鋭利な凶器に違いなく、ウィリスはそれをレオンの胸に突き立てようとしている。
「レオン!」
私が悲鳴を上げた瞬間、レオンは刺し込まれる杖を反射的に掴んだようだった。
「あれ?」
併し場違いな呆けた声を洩らし胸元を見下ろした。
ウィリスが更に力を込める。
「くそおぉぉぉっ、死ねぇぇっ!!」
「嫌ですよ。せっかくだから道連れにしないと────あんたを残して逝くかよ、くそ野郎」
聞いたこともない残虐な声だった。
レオンが私の為にウィリスと死のうとしている。此処で伯爵令息殺害の罪を犯し終わらせようとしている。冷静さを欠いた頭ではそう思えてしまう。
それなのに、どうして私は立ち上がることもできないの?
ただ泣くしかできないの?
こんなに無力なのに、どうして彼を守れると思ったの?
レオンはいつだって私を支えてくれたのに。
レオンが私を守ってくれていたのに。
「ウィリス、やめて……お願い……」
私は手を伸ばした。
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「え……?」
裾の広がったシルエットや髪型でジェーンだとわかった。
彼女はガウンの腰紐でウィリスの首を絞めているのだ。
「ぐ、がは……っ」
ウィリスが杖から手を離した。
杖はレオンの手に残され、そして、レオンは胸から抜く仕草を見せた。
その動きは極めて小さなものだった。でも、確実に、凶器と化した杖の先端はやはりレオンの胸に突き刺さっていたのだ。
「いや……」
レオンが首を掻き毟るウィリスを呆然と眺めている。
ウィリスなど、どうでもいい。
私のせいでレオンが……
「悪い。ジェーンに飲ませて、警備が手薄に……なってた」
呂律の回らないザシャが現れた。
ザシャはやおら室内に入ってくるともたつく足取りで全てを素通りし手荒くカーテンを開けた。薄ぼんやりとした朝の光は、それでも充分に視界を明るくする。
私はレオンの胸元を見た。
夜着の胸元が赤く滲んでいる。
「大丈夫か」
「ああ、うん。先がちょっと刺さったくらい」
「寝る時も手袋してんのか」
「何があるかわからないから」
「かぶれた甲斐があったなぁ。いい籠手になった」
「うん」
レオンは呂律の回らないザシャと普通に会話している。
「ちょっと!私、女なんだけど!」
ジェーンが怒鳴った。
窓際にいたザシャがもたつく足でジェーンとウィリスの方に向かって歩いていく。胸を晒す寛いだ格好で、目元も鬱蒼と潤んでいる。そういえば匂いがする。酩酊しているのだ。
ザシャがウィリスの腹部に拳を埋めた。
「う……っ」
「痛いの嫌いだろ?おやすみ、坊ちゃん」
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