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17(ジェーン)※
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私は何を見せられているのだろうか。
緊張した様子で現れたシェロート伯爵令息は、気圧されるままにすすめられた酒や料理を口にして、しばらくすると完全に動きを止めた。
ソフィア王女が紹介した通りその姿は人形だった。死体でなければ。
「パメラ夫人。あなたは本当にいい医師を飼っているわね」
食卓についたまま人形と化してしまった恋人の頬を撫で、髪を梳き、ソフィア王女は城の女主に声をかける。
「ありがとうございます。仰せの通り改良させましたが、効果の程は……」
「成功するまで挑戦し続けるのが研究よ。お人形はいくらでもいる。さあ、始めましょう」
邪悪な笑みを浮かべたソフィア王女の濃い琥珀色の瞳が残虐性を顕わにする。ねっとりと熱の籠るその視線に私は息を飲んだ。
併し、気取られないように努める。
幸い小広間は薄暗く、新しいお人形の伯爵令息に夢中な面々は私の顔など滅多に見はしない。新参者であり平民上がりの私がこの異様な集会で何をさせられるかわかったものではない。まずは隙を見せないことだ。
つい数年前まで平民だった私に王女様が声をかけてくださるなんて、やはり話が美味すぎた。
「しかし残念ですな。レディ・ヘレネときたら、これ程の上物をいたぶる機会を逃すとは」
ダーマ伯爵が上機嫌で言い、鴨のソテーを口に運ぶ。
「いいのよ。あの方は水兵さんに夢中だもの」
妻のイザベルが笑って会話の相手をする。その嗜虐的な視線は新しいお人形を舐め回している。
「すっかり《ユフシェリア》に入浸りだそうですわね。ヘレネ様ったら趣味が悪い。私はああいう粗野な男より、こっちの方が断然好みですわ」
モリン伯爵令嬢アイリスが興奮も顕わに椅子の上で身をくねらせて言った。
呆れた。
お人形もといシェロート伯爵令息の婚約者をあれだけ罵倒しておいて、汚らわしいのは自分の方ではないか。
「……」
すると、この集会は王女が貴族の美青年をさらってきて乱交するのが目的ということ?
「……」
見る限りシェロート伯爵令息に性行為はできそうにない。椅子の上で、眠っているとも表現し難い言うなれば硬直したような姿勢で時を止めている。
私は自分の前に配膳された料理をそれとなく視界に入れた。
絶品だった。
家の財力で物心ついた頃には贅沢な暮らしをしていたし、男爵令嬢となってからは更に豊かさを享受してきた。王女主催の昼食会は、格が違った。
それで……何が入っている?
「安心なさい、ジェーン。お前に使うほど安い薬ではありません」
「!」
内心思っていることをパメラ夫人に言い当てられ、ぎくりとした。
そこでソフィア王女が笑った。
「女は実験台にしない主義なの。あまり体力が無いと副作用に耐えられないかもしれないからね。理想の薬が完成するまでは、皆様と趣味の活動を楽しみながら調整を繰り返すのよ。美味しいでしょう?今日はたっぷり味わいながら観察おし、ジェーン。お前も大切なお友達よ」
明らかに異常者となり果てたソフィア王女が甘い猫なで声で私を言い包める。
「ありがとうございます。光栄です」
私は歓喜を装った。
余計なことは言わない方がいいと思いつつも、消極的な姿勢を見せてはお友達失格の烙印をおされ口封じを名目に消されるかもしれない。何か言わなくては。
「どのような研究ですか?」
とんでもない所に来てしまった。
そして、抜け出すのは容易ではない。
明確な説明が成されるその間、小広間にはパメラ夫人お抱えの医師と思われる白髪の男と白衣の助手たちが様々な器具を運び込んだ。
「完全に作り変えるのよ。猛毒や病、何か恐ろしい体験で人が変わってしまったという印象を与えないように、元から持ち合わせ上手に隠していた醜悪な本性が現れたように見せたいの。加減が難しいのよ。完全に壊してしまっては意味がないし、かといって薬がいい頃合いで抜けないと役に立たないしねぇ」
私に話しかけながらソフィア王女はお人形の脇に立ち、無理矢理に右の瞼を捲り上げた。
「ご覧、ジェーン。意識はあるのよ」
死体かそれこそ本当に人形のように椅子に座ったままぴくりとも動かない美しい伯爵令息は、碧い瞳だけをぎょろぎょろ彷徨わせ、私にはそれが抵抗を試みているように見えた。
「あくまでも理性を残したまま正反対の物に変えるのよ。そのためには痛めつけて心を折り、強烈な屈辱で自尊心を挫き、血を抜いて弱らせて認めさせるの。痛みも、醜さも。すぐに清らかな自分の方が偽物だったと思うようになる」
ソフィア王女は誰を陥れたいのだろうか。
パメラ夫人が言った通り、そこまでの情熱をかけて真の標的の為に残虐非道な人形遊びをするのであれば私などお呼びではないだろう。仮に元平民の私を奴隷や娼婦に貶めたところで、ソフィア王女は何ら達成感を得はしない。
私はこの手で卵を投げつけ侮辱した大人しそうな伯爵令嬢を思い出さずにはいられなかった。
今、私の目の前で、豪華な料理のすぐ向こうで、鬘か付け髭用と思っておきたい糊のような粘液で右瞼を固定されている生きた美しいお人形の、元婚約者。
ビズマーク伯爵令嬢ヒルデガルド。
あんな感じの上品で清楚な令嬢なら、平民上がりの私より遥かに壊し甲斐があるだろう。でも、彼女は既に貴族社会から実質的に追放され完全に居場所を失っている。そのための昼食会だったはず。
ソフィア王女の探求心はまだ尽きていない。
慣れた手つきで左の瞼も眉の方へ捲り上げて糊で貼り付け、強引に開かれた瞼の下で暴れる碧い瞳を面白そうに覗き込んでいる。
実験台は男のみ。理由は、体力。そう言っていた。
「その方は、実験の後どうなるのですか?」
「男娼になるの」
ソフィア王女の返答は私に向けられたものであると同時に、新しいお人形への残酷な通達でもあった。
意外にも柔軟に答えをくれるので、私は流れに身を任せ尋ねる。
「男娼?ヒルデガルドに返すのですか?」
途端、薄暗い小広間は爆笑の渦に包まれた。
「面白いことを言うのね、お前」
パメラ夫人が目尻を拭う。
私は戸惑いを隠せなくなる。
「あんな小娘には過ぎた玩具だよ、レディ」
ダーマ伯爵が朗らかな笑顔で私を揶揄した。
内心では絶対に貴族とは認めない私をレディと呼びながら、本物の伯爵令嬢をも侮辱した。
「本物の男娼なんか目にした日には失神するんじゃないかしら。というか、今頃、羞恥に耐えかねて一人寂しく首を縊っているかもしれないわ」
同じ伯爵令嬢でもモリン伯爵家のアイリスは残酷だ。
容姿はヒルデガルドより遥かに美しいが、心の醜さも圧勝している。
「やめて、アイリス。可哀相じゃない」
ソフィア王女は一体どの口でヒルデガルドを庇うのか。
正気ではない。
「全く虐め甲斐のない子でしたね。一言も言い返さず逃げてしまって」
ダーマ伯爵の妻イザベルは夫の胸元に垂れたソースを拭いてやりながらソフィア王女に媚びた目を向ける。
ソフィア王女は声もなく仰のいて笑いながら私たちの方に体を向けた。そして、今まで愛でていた手つきから一変し、乱暴にお人形の髪を鷲掴みにする。
「それがいいのよ。無様で」
ソフィア王女が濃い琥珀色の瞳を爛々と燃やし、空想に耽る。
手の甲に筋が浮き出るほど力を込めて新しいお人形の髪を掴み、皮ごと毟りそうな勢いで揺らす。
「あなた方の話を聞いて、どんなに無様かしらと想像しながらあの女と重ねてみたわ……いい気味だった。最高よ。ヒルデガルドはあの女に少し似ている……弱り切るとあのような感じになるのかしらって……あぁ、無様ぁ……」
恍惚とするソフィア王女に私は嫌悪を抱いた。
つまり貶めたい相手は別にいて、あの伯爵令嬢は他人の空似で抜擢され、とばっちりで汚名を被せられ虐め抜かれて貴族社会を追放されたのだ。そして今も尚、貴族の皮を被った魔物たちに笑われている。
ふと、お人形と目が合った。
恐怖に慄く碧い瞳が私に助けを求めている。
新顔の私であれば懐柔できると思ったのだろうか。
圧倒的に身分が低い私など、この場を生き延びるので精一杯だ。
それに計略に加担した私でも、あんな人のよさそうな婚約者を捨てた薄情な男などいくら美しくても助けてやりたいとは思わない。
お人形の目から涙が零れた。
この男は婚約者であったにも関わらずヒルデガルドを汚れた令嬢に貶めるという計略に加担したのだ。これから何をされるか知りたくもないし見たくもないが、せいぜい苦しめばいい。
私は目を逸らした。
「……」
併し、実験と称し拷問した男を男娼にするとはどういう理屈だろう。
緊張した様子で現れたシェロート伯爵令息は、気圧されるままにすすめられた酒や料理を口にして、しばらくすると完全に動きを止めた。
ソフィア王女が紹介した通りその姿は人形だった。死体でなければ。
「パメラ夫人。あなたは本当にいい医師を飼っているわね」
食卓についたまま人形と化してしまった恋人の頬を撫で、髪を梳き、ソフィア王女は城の女主に声をかける。
「ありがとうございます。仰せの通り改良させましたが、効果の程は……」
「成功するまで挑戦し続けるのが研究よ。お人形はいくらでもいる。さあ、始めましょう」
邪悪な笑みを浮かべたソフィア王女の濃い琥珀色の瞳が残虐性を顕わにする。ねっとりと熱の籠るその視線に私は息を飲んだ。
併し、気取られないように努める。
幸い小広間は薄暗く、新しいお人形の伯爵令息に夢中な面々は私の顔など滅多に見はしない。新参者であり平民上がりの私がこの異様な集会で何をさせられるかわかったものではない。まずは隙を見せないことだ。
つい数年前まで平民だった私に王女様が声をかけてくださるなんて、やはり話が美味すぎた。
「しかし残念ですな。レディ・ヘレネときたら、これ程の上物をいたぶる機会を逃すとは」
ダーマ伯爵が上機嫌で言い、鴨のソテーを口に運ぶ。
「いいのよ。あの方は水兵さんに夢中だもの」
妻のイザベルが笑って会話の相手をする。その嗜虐的な視線は新しいお人形を舐め回している。
「すっかり《ユフシェリア》に入浸りだそうですわね。ヘレネ様ったら趣味が悪い。私はああいう粗野な男より、こっちの方が断然好みですわ」
モリン伯爵令嬢アイリスが興奮も顕わに椅子の上で身をくねらせて言った。
呆れた。
お人形もといシェロート伯爵令息の婚約者をあれだけ罵倒しておいて、汚らわしいのは自分の方ではないか。
「……」
すると、この集会は王女が貴族の美青年をさらってきて乱交するのが目的ということ?
「……」
見る限りシェロート伯爵令息に性行為はできそうにない。椅子の上で、眠っているとも表現し難い言うなれば硬直したような姿勢で時を止めている。
私は自分の前に配膳された料理をそれとなく視界に入れた。
絶品だった。
家の財力で物心ついた頃には贅沢な暮らしをしていたし、男爵令嬢となってからは更に豊かさを享受してきた。王女主催の昼食会は、格が違った。
それで……何が入っている?
「安心なさい、ジェーン。お前に使うほど安い薬ではありません」
「!」
内心思っていることをパメラ夫人に言い当てられ、ぎくりとした。
そこでソフィア王女が笑った。
「女は実験台にしない主義なの。あまり体力が無いと副作用に耐えられないかもしれないからね。理想の薬が完成するまでは、皆様と趣味の活動を楽しみながら調整を繰り返すのよ。美味しいでしょう?今日はたっぷり味わいながら観察おし、ジェーン。お前も大切なお友達よ」
明らかに異常者となり果てたソフィア王女が甘い猫なで声で私を言い包める。
「ありがとうございます。光栄です」
私は歓喜を装った。
余計なことは言わない方がいいと思いつつも、消極的な姿勢を見せてはお友達失格の烙印をおされ口封じを名目に消されるかもしれない。何か言わなくては。
「どのような研究ですか?」
とんでもない所に来てしまった。
そして、抜け出すのは容易ではない。
明確な説明が成されるその間、小広間にはパメラ夫人お抱えの医師と思われる白髪の男と白衣の助手たちが様々な器具を運び込んだ。
「完全に作り変えるのよ。猛毒や病、何か恐ろしい体験で人が変わってしまったという印象を与えないように、元から持ち合わせ上手に隠していた醜悪な本性が現れたように見せたいの。加減が難しいのよ。完全に壊してしまっては意味がないし、かといって薬がいい頃合いで抜けないと役に立たないしねぇ」
私に話しかけながらソフィア王女はお人形の脇に立ち、無理矢理に右の瞼を捲り上げた。
「ご覧、ジェーン。意識はあるのよ」
死体かそれこそ本当に人形のように椅子に座ったままぴくりとも動かない美しい伯爵令息は、碧い瞳だけをぎょろぎょろ彷徨わせ、私にはそれが抵抗を試みているように見えた。
「あくまでも理性を残したまま正反対の物に変えるのよ。そのためには痛めつけて心を折り、強烈な屈辱で自尊心を挫き、血を抜いて弱らせて認めさせるの。痛みも、醜さも。すぐに清らかな自分の方が偽物だったと思うようになる」
ソフィア王女は誰を陥れたいのだろうか。
パメラ夫人が言った通り、そこまでの情熱をかけて真の標的の為に残虐非道な人形遊びをするのであれば私などお呼びではないだろう。仮に元平民の私を奴隷や娼婦に貶めたところで、ソフィア王女は何ら達成感を得はしない。
私はこの手で卵を投げつけ侮辱した大人しそうな伯爵令嬢を思い出さずにはいられなかった。
今、私の目の前で、豪華な料理のすぐ向こうで、鬘か付け髭用と思っておきたい糊のような粘液で右瞼を固定されている生きた美しいお人形の、元婚約者。
ビズマーク伯爵令嬢ヒルデガルド。
あんな感じの上品で清楚な令嬢なら、平民上がりの私より遥かに壊し甲斐があるだろう。でも、彼女は既に貴族社会から実質的に追放され完全に居場所を失っている。そのための昼食会だったはず。
ソフィア王女の探求心はまだ尽きていない。
慣れた手つきで左の瞼も眉の方へ捲り上げて糊で貼り付け、強引に開かれた瞼の下で暴れる碧い瞳を面白そうに覗き込んでいる。
実験台は男のみ。理由は、体力。そう言っていた。
「その方は、実験の後どうなるのですか?」
「男娼になるの」
ソフィア王女の返答は私に向けられたものであると同時に、新しいお人形への残酷な通達でもあった。
意外にも柔軟に答えをくれるので、私は流れに身を任せ尋ねる。
「男娼?ヒルデガルドに返すのですか?」
途端、薄暗い小広間は爆笑の渦に包まれた。
「面白いことを言うのね、お前」
パメラ夫人が目尻を拭う。
私は戸惑いを隠せなくなる。
「あんな小娘には過ぎた玩具だよ、レディ」
ダーマ伯爵が朗らかな笑顔で私を揶揄した。
内心では絶対に貴族とは認めない私をレディと呼びながら、本物の伯爵令嬢をも侮辱した。
「本物の男娼なんか目にした日には失神するんじゃないかしら。というか、今頃、羞恥に耐えかねて一人寂しく首を縊っているかもしれないわ」
同じ伯爵令嬢でもモリン伯爵家のアイリスは残酷だ。
容姿はヒルデガルドより遥かに美しいが、心の醜さも圧勝している。
「やめて、アイリス。可哀相じゃない」
ソフィア王女は一体どの口でヒルデガルドを庇うのか。
正気ではない。
「全く虐め甲斐のない子でしたね。一言も言い返さず逃げてしまって」
ダーマ伯爵の妻イザベルは夫の胸元に垂れたソースを拭いてやりながらソフィア王女に媚びた目を向ける。
ソフィア王女は声もなく仰のいて笑いながら私たちの方に体を向けた。そして、今まで愛でていた手つきから一変し、乱暴にお人形の髪を鷲掴みにする。
「それがいいのよ。無様で」
ソフィア王女が濃い琥珀色の瞳を爛々と燃やし、空想に耽る。
手の甲に筋が浮き出るほど力を込めて新しいお人形の髪を掴み、皮ごと毟りそうな勢いで揺らす。
「あなた方の話を聞いて、どんなに無様かしらと想像しながらあの女と重ねてみたわ……いい気味だった。最高よ。ヒルデガルドはあの女に少し似ている……弱り切るとあのような感じになるのかしらって……あぁ、無様ぁ……」
恍惚とするソフィア王女に私は嫌悪を抱いた。
つまり貶めたい相手は別にいて、あの伯爵令嬢は他人の空似で抜擢され、とばっちりで汚名を被せられ虐め抜かれて貴族社会を追放されたのだ。そして今も尚、貴族の皮を被った魔物たちに笑われている。
ふと、お人形と目が合った。
恐怖に慄く碧い瞳が私に助けを求めている。
新顔の私であれば懐柔できると思ったのだろうか。
圧倒的に身分が低い私など、この場を生き延びるので精一杯だ。
それに計略に加担した私でも、あんな人のよさそうな婚約者を捨てた薄情な男などいくら美しくても助けてやりたいとは思わない。
お人形の目から涙が零れた。
この男は婚約者であったにも関わらずヒルデガルドを汚れた令嬢に貶めるという計略に加担したのだ。これから何をされるか知りたくもないし見たくもないが、せいぜい苦しめばいい。
私は目を逸らした。
「……」
併し、実験と称し拷問した男を男娼にするとはどういう理屈だろう。
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