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25(マテウス)
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丁重に辞退するくらいの度胸はあるが、理由はない。
私はクアーク侯爵の招きに与り応接間で持成された。
「ラダリウスはいい子だろう?」
クアーク侯爵は上機嫌に口火を切った。
私は素直に応じた。
「はい。私にも慈悲深く友情を示してくれました」
「ああ。私が目をかけて育てたにも関わらずしくじった男はリドリー伯爵だけだ。あれは赤ん坊の頃から可愛がってきたが、娘を堕落させた上、被害者面で女々しく自己憐憫に浸っている」
親しい間柄ではない。
早速、身内の話題を振られて私は慎重に意図を探った。
赤ん坊の頃から成長を見守って来た相手を名前ではなく爵位で呼んだ。既に他人なのだと悟らざるを得ない。
クアーク侯爵はともすれば狡猾にさえ見える面長で堀の深い顔に温和な笑みを貼り付け、私に手振りで焼き菓子をすすめた。
「貴殿も家族団欒の為に来ているのだから無駄話で拘束したりせんよ」
「恐れ入ります」
「だが貴殿の愛犬の名前は実のところ気になる」
「ジュードです」
「ジュードか。犬はいいな」
「はい。仰る通りです」
犬猫馬について無駄話など存在しない。
私たちは一時間ほど犬について有意義な会話を重ねた。しかし会話の主導権を握っているのはクアーク侯爵だ。話題は唐突に一周して戻った。
「ジュリアンがまともに育つには親の愛情と揺るがぬ友情が必要だ。私は孫の父親が誰であれ、我が息子と思って育てるつもりだよ。一度は拒絶した事を後悔している」
話してみると意外に人情深い人格が窺えたが、当然ながら厳しさも持ち合わせている。
クアーク侯爵がジュリアンを後継者に据え、現在のリドリー伯爵タイロンを追い出しクアーク侯爵令息となったジュリアンにリドリー伯領を任せる心積もりでいるのは宮廷内でほぼ周知されていた。
「娘は私がジュリアンばかり贔屓していると言って臍を曲げてしまったよ。だったら始めからリドリー伯爵との結婚を許してくれたらよかったのにとね。しかし、リドリー伯爵には妻がいた」
リドリー伯爵と離婚し実家であるフィネガン伯爵家へ帰ったというアンジェリア嬢の勇敢な働きもまた宮廷ではほぼ周知されている。
「実に肝の据わった貴婦人だよ。リドリー伯爵には勿体なかった。余計な離婚歴をつけてしまった責任の一端は私にある。生涯、出来る限りのことをさせてもらうつもりでね。隣は、アンジェリアに贈った」
なるほど。
それで二棟並んでいるのか。
「ジュリアンが小母として慕っているが、娘はそれも気に入らないらしくてね。すっかりアンジェリアへの感謝も詫びる気持ちさえも忘れているようだ。女の育て方はわからんよ」
「人生いろいろですね」
「ああ、本当にそうだ。貴殿のような男と結ばれてカイラ夫人は幸せだろう」
私は照れた。
そして胸がほっこりと温まった次の瞬間にクアーク侯爵が笑みを潜めた。こちらも気を引き締める。
「前の男は実にまずい。一時は私の義理の息子であったなどと考えたくもないが、貴殿の細君と結ばれなくて本当によかった。あれは双子の孫の父親でもあるから注視していたんだ。奴は修道士になった」
「存じております。ブライトマン伯爵はさぞや悲しんだでしょうね」
かつては神童と持て囃された息子が研究を捨て信仰の道に入ったのだ。
無神論者であり修道院研究所から経費を捥ぎ取った過去のあるブライトマン伯爵にとって、息子の宗旨替えは裏切りであり悲劇に他ならない。
この親子が迎える末路には宮廷内でも関心が集まっている。
「公にならないよう手を回したのだが、実は、アンジェリアが孫たちを連れて来た時、奴は祭壇を作っていた」
「祭壇?」
思い込みが激しく無駄に行動力のある元神童ならではの奇行といえばそれまでだが、思わず聞き返した。私は続く言葉に耳を疑った。
「双子を生贄にしようとしていたんだ」
「なんですって!?」
人命が危ぶまれるとなれば、もう迷惑などという軽い一言では済まない。しかも相手は実の子である。外道では足りない。悪魔の所業と言っても過言ではない。
「それは……」
「許し難い行為だ。あの男は狂っているよ。それで神を崇める為に修道士になったようだが、どんな神だか……最近、密かに分派を率いている」
「危険ですね。即刻手を打たなければ」
私たちは最早、和やかにお茶の時間を楽しんでいるのではなかった。
クアーク侯爵は孫を、私は妻を、あの悪魔から守り通さなければならない。
椅子から浮きかけた私をクアーク侯爵が手で制した。
「孫の命が掛かっているのだ、抜かりはないよ」
「閣下……」
密偵を送り込んでいると見て間違いないだろう。
クアーク侯爵は本気の声音で続けた。
「それに、義理とはいえ一時は奴の父親だったのだ。ブライトマン伯爵ができないならば私がけじめをつける」
眼光が凄まじい。
「奴は密かに謁見を申し込んだ。過激な分派である奴らは、双子こそ悪魔の遣いだと妄信し、王国中の双子乃至三つ子、四つ子、五つ子、六つ子を処刑すべきだと進言する気だ」
「な……っ」
当然、国王陛下は却下するだろう。だが歪んだ信念を無下にされた狂人が更なる発狂の境地に陥るのは目に見えて明らかである。
大虐殺だ。大虐殺が起こる。少なくとも企てるであろう一派がいる。
私は頭が燃えるように熱くなり眩暈を覚えた。
「だから私が異端審問官を手配した」
「え?」
私の熱は一瞬で冷め、更にはじわじわと言い知れぬ安堵に包まれる。
クアーク侯爵は真剣な眼差しで私を射竦めながら僅かに口角を上げ言った。
「そういうわけで、奴が謁見の間にて逮捕される様を見に行かないか?」
その後に異端審問官の手によって処刑されるまでを見越した誘いであることもまた、明らかだった。
私はクアーク侯爵の招きに与り応接間で持成された。
「ラダリウスはいい子だろう?」
クアーク侯爵は上機嫌に口火を切った。
私は素直に応じた。
「はい。私にも慈悲深く友情を示してくれました」
「ああ。私が目をかけて育てたにも関わらずしくじった男はリドリー伯爵だけだ。あれは赤ん坊の頃から可愛がってきたが、娘を堕落させた上、被害者面で女々しく自己憐憫に浸っている」
親しい間柄ではない。
早速、身内の話題を振られて私は慎重に意図を探った。
赤ん坊の頃から成長を見守って来た相手を名前ではなく爵位で呼んだ。既に他人なのだと悟らざるを得ない。
クアーク侯爵はともすれば狡猾にさえ見える面長で堀の深い顔に温和な笑みを貼り付け、私に手振りで焼き菓子をすすめた。
「貴殿も家族団欒の為に来ているのだから無駄話で拘束したりせんよ」
「恐れ入ります」
「だが貴殿の愛犬の名前は実のところ気になる」
「ジュードです」
「ジュードか。犬はいいな」
「はい。仰る通りです」
犬猫馬について無駄話など存在しない。
私たちは一時間ほど犬について有意義な会話を重ねた。しかし会話の主導権を握っているのはクアーク侯爵だ。話題は唐突に一周して戻った。
「ジュリアンがまともに育つには親の愛情と揺るがぬ友情が必要だ。私は孫の父親が誰であれ、我が息子と思って育てるつもりだよ。一度は拒絶した事を後悔している」
話してみると意外に人情深い人格が窺えたが、当然ながら厳しさも持ち合わせている。
クアーク侯爵がジュリアンを後継者に据え、現在のリドリー伯爵タイロンを追い出しクアーク侯爵令息となったジュリアンにリドリー伯領を任せる心積もりでいるのは宮廷内でほぼ周知されていた。
「娘は私がジュリアンばかり贔屓していると言って臍を曲げてしまったよ。だったら始めからリドリー伯爵との結婚を許してくれたらよかったのにとね。しかし、リドリー伯爵には妻がいた」
リドリー伯爵と離婚し実家であるフィネガン伯爵家へ帰ったというアンジェリア嬢の勇敢な働きもまた宮廷ではほぼ周知されている。
「実に肝の据わった貴婦人だよ。リドリー伯爵には勿体なかった。余計な離婚歴をつけてしまった責任の一端は私にある。生涯、出来る限りのことをさせてもらうつもりでね。隣は、アンジェリアに贈った」
なるほど。
それで二棟並んでいるのか。
「ジュリアンが小母として慕っているが、娘はそれも気に入らないらしくてね。すっかりアンジェリアへの感謝も詫びる気持ちさえも忘れているようだ。女の育て方はわからんよ」
「人生いろいろですね」
「ああ、本当にそうだ。貴殿のような男と結ばれてカイラ夫人は幸せだろう」
私は照れた。
そして胸がほっこりと温まった次の瞬間にクアーク侯爵が笑みを潜めた。こちらも気を引き締める。
「前の男は実にまずい。一時は私の義理の息子であったなどと考えたくもないが、貴殿の細君と結ばれなくて本当によかった。あれは双子の孫の父親でもあるから注視していたんだ。奴は修道士になった」
「存じております。ブライトマン伯爵はさぞや悲しんだでしょうね」
かつては神童と持て囃された息子が研究を捨て信仰の道に入ったのだ。
無神論者であり修道院研究所から経費を捥ぎ取った過去のあるブライトマン伯爵にとって、息子の宗旨替えは裏切りであり悲劇に他ならない。
この親子が迎える末路には宮廷内でも関心が集まっている。
「公にならないよう手を回したのだが、実は、アンジェリアが孫たちを連れて来た時、奴は祭壇を作っていた」
「祭壇?」
思い込みが激しく無駄に行動力のある元神童ならではの奇行といえばそれまでだが、思わず聞き返した。私は続く言葉に耳を疑った。
「双子を生贄にしようとしていたんだ」
「なんですって!?」
人命が危ぶまれるとなれば、もう迷惑などという軽い一言では済まない。しかも相手は実の子である。外道では足りない。悪魔の所業と言っても過言ではない。
「それは……」
「許し難い行為だ。あの男は狂っているよ。それで神を崇める為に修道士になったようだが、どんな神だか……最近、密かに分派を率いている」
「危険ですね。即刻手を打たなければ」
私たちは最早、和やかにお茶の時間を楽しんでいるのではなかった。
クアーク侯爵は孫を、私は妻を、あの悪魔から守り通さなければならない。
椅子から浮きかけた私をクアーク侯爵が手で制した。
「孫の命が掛かっているのだ、抜かりはないよ」
「閣下……」
密偵を送り込んでいると見て間違いないだろう。
クアーク侯爵は本気の声音で続けた。
「それに、義理とはいえ一時は奴の父親だったのだ。ブライトマン伯爵ができないならば私がけじめをつける」
眼光が凄まじい。
「奴は密かに謁見を申し込んだ。過激な分派である奴らは、双子こそ悪魔の遣いだと妄信し、王国中の双子乃至三つ子、四つ子、五つ子、六つ子を処刑すべきだと進言する気だ」
「な……っ」
当然、国王陛下は却下するだろう。だが歪んだ信念を無下にされた狂人が更なる発狂の境地に陥るのは目に見えて明らかである。
大虐殺だ。大虐殺が起こる。少なくとも企てるであろう一派がいる。
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「だから私が異端審問官を手配した」
「え?」
私の熱は一瞬で冷め、更にはじわじわと言い知れぬ安堵に包まれる。
クアーク侯爵は真剣な眼差しで私を射竦めながら僅かに口角を上げ言った。
「そういうわけで、奴が謁見の間にて逮捕される様を見に行かないか?」
その後に異端審問官の手によって処刑されるまでを見越した誘いであることもまた、明らかだった。
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