お姉様から奪った結婚ですので泣き言なんて洩らせません!

ラーゲルベック伯爵家の令嬢ノーラは略奪婚を果たした。
結婚と併せて爵位継承が行われ、ノーラは晴れてノルドマン伯爵夫人となった。

誰からも祝福された結婚式には負けを認めた姉イーリスも出席していた。
地味で石頭の姉イーリスには、優しくお茶目で上品なエディが勿体ない。
皆そう思っている。だから皆、口々に言っていた。

「不愛想な姉よりも、美人で明るい妹の方がお似合いだった」

そう、ノーラは恥ずかしい略奪婚なんてしていない。
真実の愛が導いた結果なのだ。

だから……何があっても泣き言は洩らせない。
ノルドマン伯爵家に隠された悍ましい秘密がノーラを追い詰めようと、決して、助けを求めることはできないのだ。

「愛してるよ、ノーラ」
「愛してるわ、エディ」

ノーラには最愛の夫エディがついている。
愛があれば、どんな困難も乗り越えられる……はず!


・略奪婚を果たした悪役令嬢の奮闘劇なのでハッピーエンドとは申し上げにくい作品です。
・R15に該当する若干の残酷描写を含む回には話数の後に「※」を記載いたします。
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